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『初夏の新派祭 一、螢 二、喜劇 お江戸みやげ』(三越劇場)2024/6/15午前の部:光源氏が「藤壺」の面影を求め、「紫の上」を妻にしたのと同じようだ!長襦袢の片袖!

2024-06-15 21:42:14 | 日記
一、「螢(ほたる)」 作:久保田万太郎(1889-1963)
浅草鳥越に二人の錺(かざり)職人がいた。実直な榮吉に比べ、兄弟子の重一(河合穗積)は、酒に明け暮れ、女房とき(河合雪之丞)の母親を刃物で傷つけ、刑務所暮らしとなった。「このまま夫婦ではいられない」との重一の心を汲んだ親方が二人を離縁させ、ときは榮吉と所帯をもった。大正の震災直後、重一は出所。親方の世話で苦労人の元芸者よし子(瀬戸摩純)を女房にし、重一は人が変わったように稼業に精を出した。ところが親方が亡くなり、心を入れ替えたはずの重一の暮らしがまた狂いだす。酒、ばくちに溺れ、よし子とは別に「しげ」という女と暮らすようになる。鳥越神社の祭礼の夕方、榮吉夫婦の家によし子が来て泣いている。榮吉がよし子を連れ、重一を諭しに出かける。その留守に入れ違いに重一が元女房ときのもとを訪れる。重一は「よし子を預かってくれ」とときに依頼する。重一は「しげと上方に行き暮らす」という。重一は榮吉夫婦の家を去る。重一は「しげ」を家の外に待たしていた。鳥越神社の祭礼の露店で蛍を買い、ときのもとにもってきた近所の子どもが、「しげ」(河合雪之丞)を偶然見て、ときに言った。「おばさんの妹かと思った。おばさんにそっくりだった!」

《感想》重一は元女房「とき」を実は忘れられなかったのだ。偶然、「しげ」が元女房「とき」とそっくりなのを知って、重一は「しげ」と暮らすと決め、「よし子」の身柄をときに任せ、自分は「しげ」と上方に去ることにしたのだ。Cf. 『源氏物語』で光源氏が「藤壺」の面影を求め、「紫の上」を妻にしたのと同じようだ。

二、「喜劇 お江戸みやげ」 作:川口松太郎(1899-1985)
天保初年の春。湯島天神の境内にある芝居茶屋。常磐津の師匠・文字辰(河合雪之丞)は養女のお紺を金持ちの妾にしたいのだが、お紺は役者の阪東栄紫(喜多村緑郎)と言い交わした仲であった。文字辰は「夫婦になりたければ二十両をよこせ」と栄紫に迫るが、ふたりにそんな金はない。そこに居合わせたのは結城から反物の行商に来ていたのんきな性格のおゆう(波乃久里子)と倹約家のお辻(渡辺えり)。江戸のみやげ話にと、栄紫の演じる芝居を見物していたのだ。すっかり栄紫に惚れ込んでしまったお辻は、酒の勢いで大胆な行動に出てしまう。栄紫とお紺が困っているのを知ったお辻は、栄紫に代わって、なんと反物の売上代金すべて十三両を文字辰に渡し、栄紫がお紺と上方へ行って所帯を持てるようにする。「生まれて初めて男に惚れたのだから金なんて惜しくない」と満足気に自分に言い聞かせるお辻。そのお辻を追いかけて栄紫がやってきた。ひとかたならぬ親切に礼を述べ、長襦袢の片袖を引き裂いてお辻に渡すと、お辻は小娘のように喜んで受け取った。「栄紫の片袖」がお辻の「お江戸みやげ」となった。

《感想》倹約家のお辻の変身がすごいが、おゆうが心配するように、「反物の売り上げ」をすべて失って、お辻は結城に帰ってからの生活が大変だ。

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