懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

白鳥

2014-02-24 01:32:22 | Weblog
【今、閉会式の序盤】
ソチ五輪の閉会式は、とても凝ったスペクタクルで、開会式より良いのでは?
次から次へと、色々なアイデアが出てきて、目の保養。
また、途中でゲルギエフが指揮したり、バシュメットも出てたり、選手たちが合唱。

【フィギュア・エキシのホワイト・レジェンド】
羽生選手のエキシ。以前に一回前の世界選手権のエキシでみた同作品には、詩情を感じたのだけど、その時と印象が違って、今回は、ちょっとドラマを感じたりもしながら、観た。ヘアスタイルも違ってるし。羽のボリュームが今回の方が多かったかも。

技術きっちり、滑りはしっとり。
これは元の音楽はチャイコ「白鳥の湖」。川井女史が「ホワイト・レジェンド」として、ちょっとニュアンス変えて演奏されてる。
以前と同じ演奏なのかもしれないのに、前に聴いた時とは、演奏すら違って聴こえた。胸の響き方が違うというか。時にすすり泣くようなきれいな音色。

以前は、物語を感じず、月光を浴びた幻想的で中世的な存在のような気持ちで、羽生選手の滑りを見た。ジークフリート王子というよりは、白鳥の化身みたいな。リリカルで、この人の感性でなんとなくやってるようにみえるけど、それでなんとなくムード的なものではあるけど、それでも白鳥の世界を見事に表現してるので、本当にびっくりした。白鳥の湖の世界には、タブーがいくつかあって、やってはいけないことがあるのだけど、そういうマイナスが一切なかった。これで、自分はこの人に完全にノックアウトされたことは、まだまだ記憶に新しい。

今回は、前より、もっと男性的に感じた。これは、元は「白鳥の湖」なので、ついつい、極く私的妄想が勝手に動き出して、もう途中から、「白鳥の湖」のつもりになってしまい、たぶん、羽生選手はそういうつもりじゃないんだろうけど、もはや、氷上の羽生選手が、私には途中からジークフリート王子にしか見えなくなってしまい・・・。

それで、十分に叙情的ではあるのだけど、同時にまた、今回のロミオよりずっと男性的に感じて、なんとなく、ジークフリート王子は白鳥姫に恋して、葛藤があったり、現実の困難があって、それを克服する、とか、或いは、そういえば悪魔が出てきてジークフリートは闘ったりもするんだな~とか、そんなことを思いつきながら見ていた。

ちょっと、男らしくて、闘うような要素を感じてたのだけど。

後から本人の解説のインタビュー部分を見て、震災の後の困難を乗り越えるというか、なんて言ったか失念したけど、そういう意味のメッセージを込めた滑りだったみたいで、ああ、だからちょっと前に観たよりドラマを感じたり、時に何か困難に立ち向かってく、闘うようなイメージをちょっと感じたのかも??と思った。

「白鳥の湖」は、青年の葛藤を描いた物語で、普遍性があるので。

(それにしても、「日本人男性には、ジークフリート王子役は無理」という長年の独断と偏見、というより、見てがっかりする王子役群を見続けて来た身としては、日本人にジークフリート王子を感じる、という稀有な経験をしましたねぇ。感慨・・。)

その羽生選手、新しいジャンプに挑戦とかのたまっているけれど、怪我しないでくらはいね!!!!ということに尽きる!!4回転半とか4回転ループとか言ってますが・・。大丈夫なんでしょ~~か、ねぇ???

【浅田真央選手のジャンプの基礎を見直す話】
五輪で成功できて、良かったね!!ってことで。本番で見せられなきゃ、ジャンプを修正すると言っても、意味ないんじゃないか、ってずっと思ってた。出来て本当に良かった。皆、自分の得意なことをやって成功するのが常道だと思うのに、あえて、困難な道を行った。6種類の3回転ジャンプを全部跳ぶ、という今回のプログラム。

金メダルを目指しながらも、結果として、金メダルとは別の価値を、皆に見せた。
佐藤コーチの指導で、スケーティングの基礎を見直すとか、3Aジャンプも修正して、
ほんとうにお手本になるようなことをやって、フィギュアスケートの奥の深さを、私も含めて、皆に教えるような仕事をしたと感じてる。
クローズアップされたのは、佐藤コーチのスケーティングスキルを教える奥の深さ。
そして、最後に固まってた浅田選手をFSの成功に導いた指導力。ってか二人とも必死で、火事場の力みたいな状況だったのかも?だけど。

自分的には、修正前のバンクーバーのトリプルアクセルには、重厚さ、迫力を、今回のトリプルアクセルには、””素軽さ”、を感じた。どちらも好き。

安藤美姫さんのコメントで、「あのショートがあったから、あのフリーがあった。やっと自分のために滑った、と思った」ってのがあって、へ?と思ってたら、浅田選手本人も、後から「あのショートがあったから、あのフリーがあった」ってコメントした気がする。はぁ~、そ~ゆーもんですかね~。

【リプニツカヤ VS ソトニコワ】
今回は、本当は、リプニツカヤ VS ソトニコワ、だったんじゃ、ないかしら。浅田真央 V.S. キム・ヨナとかじゃなくて。

もしも団体戦がなかったら、リプニツカヤが圧勝の展開もありえたのかもね、と思うと、リプニツカヤが気の毒すぎ。団体戦では、SP、FS、とも、いい出来でしたから。

【ソトニコワ】
ショートのピアノ演奏の変り種カルメンも、そしてフリーの「序奏つきロンド・カプリチオーソ」、序奏つけた分、表現としては難しくなってるのに、きっちりこなしてて、さすが芸術性に元々恵まれてる人は違うなと思った。
この曲は、自分的には、小塚選手の滑りで馴染みが上がったのだけど、本来は序奏つきの方が、曲の紹介の仕方としては本格的なんだろうな、と思ってみた。

あきれたのは、佐藤有香さんのコメントに、「ソトニコワより、コストナー、キム・ヨナの方に」なんたらと、ベテランの熟成された演技があるかのような評があったこと。そもそも佐藤有香さんは、現役時代、ありがちな、表現力を感じない、日本人の圧倒的多数のスケーターのタイプだった。スケーティング技術で押すタイプで、演技力がないのは、まあ、仕方ないっていう気持ちで、見てるこっちもあきらめの境地だった。
日本人でも表現力のある人が出てきたな、と思ったのは、村主選手が出てきた時。っていう話には、異論は少ないと思うけど。

むしろ、コストナー:大衆芸能路線。
キム・ヨナ:表現力があるっていうんじゃなくって、単にムードがちょっとあるくらい、なんじゃないの?

もともと、ソトニコワは、ロシアの選手の何割かに見受けられるけど、芸術性が元々ある方。さらに、音楽の使い方、格調高く芸術志向で、わかりやすい大衆迎合路線とは一線を画する。まだ17歳で、発展の途上だし、競技を通じて全人格的なものを育てるような教育で、育ったのかしら?と、思うような人柄も、反映されて、そんなに成功むけて性急に促成栽培みたいなタイプとは違うとは、思うから、見る目のない人にわかるほど、分りやすくはないのかもしれないし,完成されてはいないけど。

むかしは、フィギュアスケートって、女の子がスカートはいて、とんで廻って、きれいだな、かわいいな、時として色っぽいな、程度のものだったのでは、あるまいか、とは、昔の女子の画像みると、ちょっと思う。

その程度のものから、今は一部の選手、一部の振付は、もっとバレエに近く音楽の視覚化として鑑賞に堪える芸術性を備えたものも、出てきている。
ここらでソトニコワみたいなタイプが金メダル取るのも、悪くないのでは、と思う。

コストナーは、キム・ヨナ程度とは比べちゃいけないと思うけど。
今回がんばったのは、わかったけど、欲を言えば、やっぱあの「ボレロ」にしてもですね、・・・・ベジャールの「ボレロ」を知ってる我々からすれば、ちょっと辛いものがあったりするわけです。凹凸のはっきりした西洋人の体つきで、まあまあ舞台栄えするし、妙な色気があるので、「アヴェ・マリア」って感じじゃなく、エキシの「シェラザード」の方が、全然キャラ的にあってると思う。

コストナーは選手として技術もアップグレードして鍛えて出てきて、勝負にきた感じだったけど。
ショートのキム・ヨナ、お尻がポヨンポヨン。あれ見て、目が点に。
前も、ウエストが太くなって、びっくりだったけど。
まだ完全に体が戻ってないみたいで、競馬に例えれば、G1に出てくるG1馬みたいな、身の入った体になってない感じが透けて見えて、あの身体の件を、誰も言わないのが意外。「キム・ヨナにおける洗脳の研究」とか、誰か論文書いたらいいと、思った位。

滑ってても,随所で体の動き、氷上に描くラインが、最高でなく緩んで見えるし。
キム・ヨナって、こんなにスピンがのろのろの人だったっけ???
ステップシークエンス、浅田真央、ソトニコワと比べると、なんだか随分何もしてなくて動きも切れがないし、楽そうだな~~~、みたいな。
むしろ、中位のコストナー、ゴールド、ワグナー等々といった選手たちが、今回は随分頑張ったことで、キム・ヨナより彼らの方が上でいいんじゃないかと思ったし。

ましてユリア・リプニツカヤという最強スピンの人が出てしまい・・・。
キム・ヨナは、ユリア観た後で見ると、スピンの落差はいうに及ばず、何か、スピードがのろいなあ、と感じた。普通に滑ってる時、漕いでる時の背景の霞み加減が、えらく違うので。
キム・ヨナって上げた脚をすぐ下ろしてしまって、あっけにとられた。

表現力とやらは、私は今回ヨナ女史が、SP.FSとも、何を表現してるのか、さっぱり分りませんでした。

例えば浅田選手のほうは、2演目とも、私的には、「ロシアの春」みたいなテーマのつもりで見てました。日本の春じゃなくて、ロシアの、厳しい寒さの冬があって、その後に訪れる春のよろこび、みたいなイメージで。なんとなく見てたら勝手にイメージが湧いてくる。そういうイメージ喚起力が、キム・ヨナの方は全然なかった。というより、何だか、余裕がなくて、段取りに気を取られてそこそこ、ピンポイントでしか表現できてない。こういう所が、練習量が足りなくて、ずっとやってきてる選手たちに比べ基礎体力がないので、プラスアルファの表現をやれる余裕がないのだと、見た。或いは、オーサーと組んだ頃から、フィギュアの演技とか表現とかって、この程度と思ってるのか?
なにか、深みとか、内容がまるで感じられない。

例えば、好きな選手ではないけど、ゴールド選手の「眠り」は、編曲もまあ、理解できる編曲の仕方だったし、チャイコの名曲「眠り」を、振付、音楽のつなぎ方として、順当に表現はしてるし、彼女は若い金髪女性で、可憐なオーロラ姫を演じてると思えば(李子君選手ほど、はまってはないけど、それを忘れれば)見かけからしても、そん色なかった。名曲を使って、その音楽と物語を、見てもわかるように表現はしてました。

キム・ヨナのショートについては、本人も「最悪の出来」と言ってたし、私も、他選手と比べて、スピードが落ちるとか、スピンがのろくて形状もさほど美的でない、弛緩してみえるとか、衣装もなんだかなとか、とどめはヒップライン。あんなお尻って事は、鍛え方が足りないんじゃ?とは思った。

彼女については、ちょっと前から大したコとやってない割りに観客の拍手が大げさとか、今回はTV放送の実況の人がえらくまた、キム・ヨナ ミーハーで、あきれたとか、あるけど。やっぱり前回、疑惑の採点金メダルになり、トリプルアクセルよりも、3回転ー3回転のコンビやる方が得な採点基準で、審査の人が見て勉強する画像がキム・ヨナとか、全てがキム・ヨナ向けにお膳立てが出来てる環境の中で、こうなった経緯はあるけど、それにしても、改めて「観客は育つ」と思った。

洗脳されちゃってる観客層がいて、キム・ヨナがいいという宣伝があって、それを信じちゃう人たちがいるってことなんでしょうけど。

ラジオノワ、今回のソトニコワ、そして少し前の時期のリプニツカヤが、浅田選手を尊敬している、とコメントしたと報じられていた。現役の世界トップを目指す少女たちは、誰もキム・ヨナを良いとは、言わなかった。やはりその道の専門家としてやっていけば、何が正しいのか分る、ということでしょう。

キム・ヨナ自身が、この「キム・ヨナ現象」に、倦んでいる、飽き飽きしているんじゃないかと、気の毒にさえ、思ってます。自分でも最悪の出来と思っても、メディアも観客も称賛する。そして、一部から、冷ややかな目を感じる。王様は裸だと、誰も言わない。
ただ、彼女はもう、スケーターの苦業から、解放されたいのではないかしら。今回、違うかもしれないけど、金メダル取れなくても、そんなに拘ってなかったんじゃないか???とも思うのです。(違うと報じたスポーツ誌もあるけど)

表現力といえば、リプニツカヤ選手のフリー、演技が見るたびに上になっていくので、驚いてます。独創性もあるし、物語性のある内容を、よく伝えてる、衣装もよく工夫されてオリジナリティも抜群。さらに、彼女の容姿、戦争に翻弄され強制収容所に送られる、赤いコートの少女。悲しみを誘う音楽、そして、走り出したり、振りかえる演出、視線の使い方が上手い、あの目!淡いブルーの瞳。訴求力抜群で、見てるとちょっと悲しい気持ちになって、きついのだけど、五輪の演目として、平和を訴える内容は申し分ないし、・・・。こういうのと比べてしまうと、キム・ヨナの作品は、作品と言えるのか?とさえ思います。

フリーの方が、衣装はましだったけど。演技は、中途で、ちょっとコケットリーを出しただけ。ピアソラの曲を、動きで全然表現できてない、大味な動きに、まず不満が残ったのですが。後から、スポーツ新聞の記事で、あれが男と女の別れを描いたかなんかの曲だとあったので、・・・。そんなストーリー、微塵も感じなかった。あれのどこが演技か、表現か、と言いたくなります。百歩譲って、フィギュアスケートだから、安易でいい、ということかなと。

そんなキム・ヨナが、ソトニコワと比べられてるとは心外。
フリーの採点どころか、それをいうなら、あのショート。ダイジュスト版をあとから通しで見たら、なんであのキム・ヨナが、1位なのか、不思議でした。
ショートの出来なら、ソトニコワが1位で妥当と思いました。

キム・ヨナは、コストナー、ゴールド、等々、といった上位選手の下で順当だと思います。洗脳の怖さですね~。
リプニツカヤがあんなスピンを見せるのに、キム・ヨナのスピンがレベル3で不満な人が韓国にいるとネットで報じられてますが、いや、優しい審判で皆さん幸せですよ、と言って差し上げたい。私が審判なら、あのスピンはレベル2とかに落としますから。

会社の人が、ネット、ツィッターとか、見るらしく、自分の知らない媒体からの断片的は話を聞き、少し参考になりました。一方、TVの出演者の若めの人が言ってたのが、ネットというのも、見るのが初心者の人もいて、そういう人の書き込みにも対応しないといけないから、業界の人も大変なんじゃないか、と。
確かに。

それにしても、ラジオノワのエキシビション、「ゾンビーダンス」の方がよかったのに。

ソトニコワ選手、優勝おめでとう!
でも、リプニツカヤ選手が金メダルとれなくて、気の毒。
(彼女はマスコミ対応が愉快なツンデレぶりで、評判になってましたが、半面、次回冬季五輪は韓国開催で、いらぬ敵をつくったのでは??と、ちょっと心配。
10代の少女って、かわいいとおもうけど、アメリカの15歳の選手は、もっと体つきやダンスっぷりが、大人っぽくて、色っぽかったですね。
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