懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

演技の鮮度

2014-12-05 01:44:38 | Weblog
12/4、ボリショイバレエ「ラ・バヤデール」に行ってきて。
マチネに行って、ソワレも見たくなったけど、明日の仕事を考えて我慢した。

(★インフォメーション★
この後の、12月6日、7日の、東京文化会館公演、「ドン・キ」のチケット、ちけぴで、”A,B席をネット購入で、各々4500円値引き”って企画が、ぴあHPに出てた。例えばB席なら、10500円で、通常のC席11000円より安かったと思う。ごめん今更書いて。もう間に合わないかな。
どなたか参考になりましたら幸い。)

前週、スターのザハロワの方のキャストで、ライブビューイングで見た後なので、キャストの違い部分を比べて見てたりして。
で、ガムザ役のバレリーナが、まだ若い、キャリアも長すぎないクレトワだったので、まだ色んなことが新鮮なんだなあ、と思った。

念の為、双方の一部キャストを以下に。

12月4日マチネ

①ヒロインの巫女・ニキヤ:アンナ・ニクーリナ

②その恋人、戦士・ソロル:ミハイル・ロブーヒン

③ヒロインの恋敵、藩主の娘・ガムザッティ:クリスティーナ・クレトワ

ライブビューイング

①スヴェトラーナ・ザハーロワ

②ウラディスラフ・ラントラートフ

③マリア・アレクサンドロワ


ライブビューイングは、舞台で見るより、見えすぎてしまうせいもあるかもしれないが、アレクサンドロワは、ガムザのような若い女の子を演じるには、本人が大人になりすぎてる気がした。見かけだけじゃなく、内面的にも。

クレトワは、そんなにすごいバレリーナというわけでは、全然ないんだけど。

クレトワが良かったというよりは、若い女の子の等身大の思いが伝わってきて、結婚前の女性の心理の部分が、なかなか微笑ましかった。アレクサンドロワも、もっと若い時に踊ったガムザを2006年に見ていて、私的には、どちらかといえば、その時の演技の方が、心を動かされた。

今のアレクサンドロワのガムザは定番演技といえば、そうなんだけど。型どおりを、凄みをもって演じてるけど、動機づけが弱い。

ラントラートフ=ソロルが、この女二人の争いの原因にしては、そこまでの強烈な魅力を発散するに至らず、アレクサンドロワのガムザッティがこだわってるものは何なのか、ソロルが欲しいということなのか?、それとも「私が一番!」、というプライドか?、と考えると、どう見てもプライドのようにしか見えなかった。

クレトワの方がアレクサンドロワより演技力があるって意味ではなくて、芝居がマンネリしてないから、動機づけがしっかり入ってた。つまり、ソロルが欲しいとか、結婚したいとか、切ない乙女心や、ニキヤに醜い心を抱く姑息な面も、娘特有の懊悩として、ある意味、可愛らしかった。

妙齢の女性だから、「自分がガムザだったら、何をどう思うのか?」と考えて役作りしてるんだと思う。

(そういえば、数年前見た金髪美人のシプリナのガムザは、こういう普通の女の子系でも、なく。
今のアレクサンドロワみたいな、大見得を切る演技で、どろどろんちょを表現するのでもなく。

美人で自信があって、タカピーで、パパには甘えっ子。我儘な所が憎めない。少女漫画の敵役の縦ロールの人みたいなキャラで。

一方、アレクサンドロワの若い時のガムザは、普通の女の子系だった。
でもその後、別公演の画像で見た時は、アレクサンドロワも、シプリナみたいな、美人で金持ちの高慢お嬢様系の役作りだったから、同じダンサーでも諸般の事情で(相手役の要求とかも含めて?)、キャラが変わるっていうこともある。

ついでに、シプーリナの方が、クレトワよりずっと演技力はあるので、1幕の最後に、ニキヤを許さない!とポーズした時、メラメラと燃える憎悪の炎が、舞台の上に見えるように、私は感じた。こういう高度な演技は、クレトワとかではできないんだけど。)

誤解しないでほしいのは、別にクレトワを特別褒めてるわけじゃないってこと。演じ続ける、という事は、マンネリに陥りやすい。誰しも。

一方、年ごろの女の子というものは、恋や結婚に関する演技は、それぞれいい演技ができやすい条件を備えているのかもね。自分の身に引きつけて考え易いから。


バレエ全体の感想にぜんぜんなってないけど。全体感想は、またそのうちに。

なお、この回は、キャスト表見たら、脇は2番手キャストの日みたいで・・・。
2幕のディベルティスマンの踊りも…一部は二番手キャストに・・。

・太鼓の踊り:夜キャストも見たかった。昼キャストは、太鼓の男は第一キャストじゃないっぽい雰囲気ただよってた。
けど、中央の女性は、夜のカラショーワに比べても、昼の女性は、この役の人の中では色っぽさはちょっとだけあったのは、良かった。ここのキャラクテールの指導は、マルハシャンツあたりが入ってるのか、女性のこの役は、手堅い。

・マヌーの人(壺の踊り):アンナ・レベツカヤ
見せ方は心得ていて、さほどバレリーナ然とはしてないタイプ。
以前に別のキャストで見た時は、もっとポアントで長くやった個所を、レべツカヤは、すぐかかとを下すので、私の脳裏に前見た別のダンサーの踊りがよぎって、物足りなさを覚えてた。(自分が我儘なのか???)

花はあるし、アピールもあるから、一部のお客さんには好感度あったかな。
髪飾りのお花の付け方が、上手でセンスいいのは、ボリショイのヘアメークさんのレベルの高さなのか。

脇の子役は、日本人より、ライブビューイングでアップで見た、ロシア人の女の子がとってもとっても良かった、ので・・・。日本人だと…比べた私が間違っていた・・・非国民で、すまん。

・主役、ニクーリナも、クレトワよりは認められてキャリアも築いてる立ち位置としても、まだまだ若い女性の馥郁たる色気のあるプロポーションなので、2幕の赤い衣装は、やっぱりああいう娘さんがこういう衣装を着た方がいいわよね、と思って見た。踊り演技も大事だけど、一方で衣装が似合うかどうかも、大事。

数年前に見た大御所プリマは、こういう露出の高い衣装は、痛々しかった。

ただ、ニクーリナのニキヤについては、別に悪くはないんだけど、演技・踊りは、もうワンパンチあったらもっといいって水準。

今の彼女って、こういう立ち位置なのか、ふうん、と思ってしまうような内容でした。ボリショイの社会は複雑だから、色々あったかな?なんてね、思ったり。彼女は、前回来日の「スパルタクス」の時の方が、演技も熱入ってた。

・ソロルのロブーヒン:頑張ってたけど、やはりこの人もまた、こういう結婚前の男を演じるには、実年齢が、落ち着いた大人の男になりすぎてる気がした。私的には、ソロルよりも、2幕ソロルの両サイドの2人のソロルの友人役の若手に目がいって。特に向かって左側の青年の方が、見かけだけならソロル役みたいだった。真ん中がロブーヒンでなく、もっと花のある正統派の王子役だったりしたら、このサイドの青年位じゃ、目立たなかったはず。ロブのジャンプ、回転、まあまあかな。プロ意識で頑張ってるのは、好感持てたけど。若手の方が、つい、目が行く。

そうはいっても、2006年のボリショイ来日公演「バヤデルカ」の第3キャスト、マチネ公演で見た時の、フィーリンのソロルよりは、今回のロブーヒンの方が、踊りは、なんぼか良かった。当時、30代前半だったフィーリンは、既に20代当時の水準を失っていて精彩に欠け、目立たず、ブラボーとか全くなかった。地味でびっくりしたし、それにしても拍手が少ないので、”フィーリンのファンは何やってるのかしら?”と思った位。


それにしても、ガムザもずいぶん、色んなガムザがあるもんだなあと、歴代のこの役のいろんな人たちを思い出して、思った。ボリショイのだけでなく、印象に残ったガムザすべてに。

・2幕の結婚式のGPPD、最後のガムザのフェッテは、ダブル5回。質はそこそこ。そもそもクリサノワほど安定したテクニシャンではないのだろうと思ってみてたので、音楽外さずに周りとタイアップして盛り上げて。あのくらいやってくれれば、自分的には充分。

・2幕ニキヤの花籠の踊り:う~ん、なんか、・・・・ニクーリナ、演技もう少し、上のことができる人なんではないのかなあ??
別に悪くはないけど。スミルノワが重用されて、普通に堅実で終始するようになったとか?ニク。もう少し一生懸命やってくれた方が、自分は好み。ここのことは、気が向いたら、また書くかも。平日マチネ公演なら、これでも十分なレベルなのかもしれないが・・・。

ザハロワの方がニクーリナより演技力があるとか思ってるわけではないけれど、ザハロワはスターで、皆が彼女に注目する立場で、一生懸命やるから、ずっと説得力はあるわね。大バレエ団の中で、トップになるとか、ならないとかは、その芸術家の芸術の内容をも、左右してしまうものなのかも(?)と思って、複雑な気持ちでした。

二人とも、そこそこセクシーな衣装姿。この衣装は、スタイル悪いと着れない、残酷な衣装だと思う。踊りは当然ザハロワの方がより脚も大きく動くしうまいけど、舞踊はニクーリナ位でも、充分。
何だかな~、ニクーリナ、芝居が・・・。ソロルを思ってる真実味とか、胸破れる想いとか、そういうの、もっと出してほしかったな。環境によっては、彼女はそれはできる才能はあった人なのでは?と思うから。(って、そんなによく知ってるバレリーナではないけど)それと、ザハロワ以外のボリショイの人では、以前見たグラチョーワのニキヤは、ザハロワほど脚上げがハデとか、ではないけど、今回のニクーリナよりはもう少し、しっとり踊っていて、丁寧だった。ニクーリナが決して雑なわけでは、ないんだけど。

今まで見た何人かのニキヤ、今回よりは、恋する巫女の悲しさとか、もう少しあったと思う。演技を続けることによって、マンネリとか新鮮味に欠ける演技になりがちなのは、年齢の高いプリマだけではないのかも。
ニクーリナは、ニキヤとして容姿は申し分ないので、見る方も欲が出ただけで、そんなに悪くはないです。

・ロブーヒンのソロルの解釈は、あくまでニキヤを誠実に愛してる、って感じかな?

・コールド:ボリショイは、2幕の後ろに配されてるコールドのバレリーナがスタイルが良くて、そっちばっかり目が行っていた。

今どき、この位の水準のコールドを見られるのは、例外的なことだと思う。
揃いすぎるほど揃ってたとか、足音無音とか、そういうのじゃないんだけど。

・3幕、影の王国:バレリーナ32人整列シーン、壮観。後、白鳥のコールドと共通して感じたのは、コールドの腕の使い方が、昔のボリショイとちと変わった気がするというか、丁寧になって綺麗だったような気がする。

それと、やはりマチネだからなのか、もっと盛り上がってもいいんじゃないのか?と思うような所を、あえてやらずに、サクサク舞台進行。

例えば指揮(クリニチェフ。腕は超良い指揮者だけど。)が、3幕の主役二人のヴァリアシオンの後、いったん舞台そでに引っ込んだダンサーが、観客の拍手でもう一回出てきて、舞台の進行をいったん中断してレべランス、という段取りにするかと思ったのに、そうせずに、すぐに次の演奏に繋げてた。

あれでは、余韻を消す。ヴァリの後の主役拍手で時間食ったりさせないように、と段どってて、その分、ますます盛り上がりが今一つになったり・・。ちょっと勿体なかった。同じ踊り・演技の技術でも、その辺の舞台の呼吸一つで、観客の印象は多少変わるので。

【ラスト】以前は、このグリゴローヴィチ版、最後に神の巫女を裏切った代償としてソロルは神罰を受けて、ガラガラどっしゃーん、と寺院崩壊してその下敷きになって死ぬ、という形だったのが・・・。
寺院崩壊がなくなって・・・。

あれれ?ロブーヒン、ソロルさんは、死んでないのね?みたいな終わり方。

グリゴローヴィチ版は、以前はもっとも男性に厳しい版だったのが、今回のは、他の版に似てきたかも、で。
これはこれで見て、昔のグラチョーワの市販ビデオで出てた、寺院崩壊、下敷きバージョンの、某ダンサーのお笑い演技(あえて名を秘す。)とか、他のダンサーの感動的な演舞とかの記憶は、「今回のとは別のグリゴローヴィチ版」の記憶として、大切にとっておこう。

ニクーリナさん、「舞台を見た後、あなたの心の中に大切な何かが残るよう、願っています・」だったっけ、インタビュー内容。

私の心に大切な何か、残してくれた、過去のダンサーの名演、そうね、あったわ、ね。そんなことを思い出した。

・クリニチェフ指揮:相変わらずいい味出してた。
太鼓の踊りの時、踊り見ないで演奏聞いた方が一層興奮する位。(でも、太鼓の踊りの男性ダンサーさんは一生懸命でかわいかった。高く投げた太鼓を、落とさないでよかったわ。音を取りまくるより、そった背中を見せるとか、足高く上げるとかを意識した踊り。今の時代は脚上げ高くて、大変ね。)



★ライブビューイングに行く⇒舞台に行く⇒ザハロワ、ラントラートフの「ラ・バヤデール」DVDを買いそうになる・・

って、中毒。DVDは、買ってしまうと同じキャストで延々と見る羽目になって、そのうちそのキャストに飽きてくる傾向が自分的にあるので、迷い中。

★ドン・キホーテの3公演も、みたいけど、他の誘いもあって、断念・・・。

散漫勝手適当感想、素人ですから、ご容赦。
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