懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

英国ロイヤルバレエ「ロミオとジュリエット」26日

2010-06-27 03:30:08 | バレエ
終幕を見ると、{コジョカル+マクミランーヨハン・コボー}という方程式を思いつくような舞台だった。
代役ロミオ、ペネファーザー。
1,2幕は私にとってはロミオじゃなかったが、急な代役頑張ってた。
3幕は、自分には感動的な演技だった。等身大的で。

しかし、彼の好演をもってしても、「恋人たちが運命に敗北していく」感じはぬぐえず。
もちろん、マクミラン版はそうだといえばいえる、でも、・・・。

過去のマクミランダンサーと、コジョカルの違いを端的に考えさせられた。

3幕は、この版と、自分の恋愛観との違いを感じざるを得なかった。
コジョカルは、1幕のドレスからむき出した肩が少女性を、2幕の結婚式場面でのうなじに、処女性を、3幕のロールした髪に女らしさをと、衣装ヘアスタイルからして役作りを感じさせた。繊細で、型どおりでない演技は魅力的。駆けると小鹿のよう!つぶらな瞳が見開かれるとさらに可愛いが、同時に少女の自意識や、内に沈静する性格を思わせるジュリエットだった。いい所はいっぱいあった。

バルコニーの場などで、彼女特有だった演技は「感情のゆり戻し」の部分。
笑顔で大胆な行動に出たかと思うと、あっという顔をして恥らったり、とまどったり。

ただ、終幕に向けて、寂しく悲しく悲劇的になってしまうので・・・。

愛の強さを感じさせる情熱的なジュリエットの方が、フィクション、娯楽としてという意味でなく、私自身の恋愛経験とか、恋愛観に通底して、自分的にはどうしても共感しやすいと解った。だから、コジョカルが良くなかったという意味では、ぜんぜんないんだけど。

コジョカルは少女的、から小児的な位、か弱さを感じさせるジュリエットだったけど、愛を知って成長する少女像も、私にとっては魅力的。

或いはパートナーがコボーだったら、これがはまったのか?
(それは言わない約束って・・・。)
でも、ペネファーザーも格下なりに頑張ってた。
彼は、1,2幕でリフト降ろすとき、ハンサムなパリス役の人より、ソフトに降ろすところが良かった。

全体に割りと上品な作りで、誰もがかわいそうで、そんなに憎まれ役的な人がいないキャラ立てだった。

今日のティボルトは、容姿は町の乱暴もの。すぐ暴力に訴える男、として登場した。けど、勝手に深読みすると、・・・。
彼が通ると、皆が引く。町で孤立してる人みたい。集団から浮いてる人。自己表現や、集団内コミュニケーションが下手なために、虚勢を張って、時に暴力に訴えないと、集団内で自分を顕現できない人、見たいに、私には見えてきてしまった。そんなティボルトもなんとなくかわいそうで。このティボルトに剣を向けるロミオも可哀想だった。どこかにある若者の悲劇、そんな気がした。

あと、あまり公演パンフを人が買ってなかった。

ところで、公演パンフの内容の一部は、舞台を見た限りでは、違うように思うけど。これは日本人としては、割りびきして見た方がいいと思った。(イギリス人の言ってるプロコ論議)とにかくプロコフィエフはこうじゃないはずと思う、いようにテンポのゆるい箇所があって、あれをみせられると、パンフ内イギリス人の音楽論議は、にわかには信用しがたい気分になる。マクミランの思いについては、この公演パンフでは解らない部分もある、とだけ指摘して・・・、寝ます。

あ、でも、コジョカル、繊細な表現は、良かったですよ。
ペネファーザー終幕だけは(凄くうまくはなくても、)共感できるロミオでした。
装置、衣装がおおむね以前の「ロイヤル日本公演のロミジュリ」より、ずっと豪華になってた。あと、マクミラン独特のにおいが消えていた。
(その分、一般的には見やすくなってたかも)

ジュリエット:アリーナ・コジョカル
ロミオ:ルパート・ペネファーザー
マキューシオ:ホセ・マルティン
ティボルト:ベネット・ガートサイド
ベンヴォーリオ:蔵健太(かっこよかったよ、蔵さん!)
パリス:ヨハネス・ステパネク(容姿が適役)
キャピュレット公:クリストファー・サウンダース
キャピュレット夫人:エリザベス・マクゴリアン(今回はキャラ立てが静か目だった。前に見た役の方が派手な演技。箱入り娘の貴婦人という感じ。)
ヴェローナ大公:ギャリー・エイヴィス
ロザライン:タラ=ブリギット・バフナニ
乳母:ジェネシア・ロサート(やっぱり上品めな役作りだった)
僧ロレンス:アラステア・マリオット
モンタギュー公:アラステア・マリオット
モンタギュー夫人:クリステン・マクナリー

ジュリエットの友人:リャーン・コープ、べサニー・キーティング、イオーナ・ルーツ、
エマ=ジェーン・マグワイア、ロマニー・パジャク、サマンサ・レイン

3人の娼婦:ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ、ラウラ・モレーラ
(昔のロイヤルほど下品な役作りではなかった。踊りは楽しかった。)

マンドリン・ダンス:セルゲイ・ポルーニン、
ポール・ケイ、リアム・スカーレット、ミハイル・ストイコ、アンドレイ・ウスペンスキー、
ジェームズ・ウィルキー
(マンドリンが本物らしさが合って立派な小道具。踊りが楽しかった。)


<場割り>
第1幕1場:市場
2場;キャピュレット家のジュリエットの控えの間
3場:キャピュレット家の外
4場:舞踏会場
5場:キャピュレット家の外
6場:バルコニーの場

第2幕1場:市場
2場:教会。結婚式
3場:市場:ロミオの殺人

3幕1場:ジュリエットの寝室
2場:教会:薬をもらう
3場;ジュリエットの寝室
4場:キャピュレット家の墓室(地下室)


指揮:ボリス・グルージン
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
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