バラの葉の上、仕事中のハタラキバチか?
難しい漢文に唸っているばかりではない。
合い間には乱読です。
ベストセラー本は遅れて読むか、ほぼ読まない
(忘れられた頃に文庫になるなあ、それで読むこともある)。
資料と称して無知を隠すための専門書と俄仕込み、一夜漬けで格闘する。
読まねば書けない。(書かないと食えないともいえるし)
まあ、乙女チック雑誌以外はほぼなんでも読む、活字中毒気味である。
あたりまえといえば、あたりまえのことである。
友人の画家は絵画鑑賞はしないが、描いていない時の読書量は多い。
考えるためには、やはり読むことは必要である。
定期購読で面白いのは
彷書月刊、田村治芳編集長はすごくいい人、
たぶん変人です。
今月の特集は『釣法秘伝』。
この本は知る人ぞ知るの類い。知ってる人もあまり他人に教えたがらないかも。
七痴庵、ナナフシの散歩道が毎回楽しみなのだ。
(えーっと、うさこも教えたくはないが、興味のある方はHPでご確認ください。)
雨など降らなくとも年中毎日、本を読まない日はないという
この十数年。頭の中に埋め込まれたであろう活字の数々は
どのように収納されているのか。それを考えると、はてさて
読んだのか? おまえさん。そう疑問がなくもない。
わたくしなどおよびもつかない猛者が数多くいる古書狂いの世界。
読書家はつまり人生の大半を本の中で生きている。
ところで、
森見登美彦が好きである。
予備知識なしに手にとり、頁を繰るたび宝くじ1万円を当てた気分を
味わわせてもらって、大もうけであった。(くじ運のないわたくしがである)
文庫版分の投資、待ち合わせに読む本がなかったので
駅前書店で購入した。
椎名誠の味がする。
それは登美彦氏に失礼かいや大先輩リスペクトっす、と返ってくるか
そんなことはわからない。読者が勝手に思っていることに振り回されない
それが作家であるから、こちらも気にしないであれこれ言えるのである。
椎名誠より薄味であるが、登美彦氏は京都の人なのでトーゼンともいえる。
シーナは東京生まれの千葉育ちの東京暮らし世界股旅人生の人だが
味は東京がベーシックのスマートな人のようだ。けれども書くと濃い味。
元祖昭和軽薄体のシーナは平成も二十年も経た今日、チベットのラッパ犬
というとてつもない超メタリックな作品を展開して度肝を抜いて高笑いして
またどっかへ股旅している。
京都の登美彦氏は狸伝説など披露して、世の中をかく乱しつつ
その実痩身美男子、芥川と太宰を足して十で割ったような天才の悲哀を
秘めている。
その悲哀感が下ネタと幼児にしか受けないお笑い芸人のテレビに疲れた人々を
ほくそ笑ませ、静かに癒してくれるのである。
はたしてこれで登美彦氏を読む気になれるかどうか、意図していないので
責任はないと思う。
雨でなくても本を読む。
楽しみの少ない人生を、耐えるための秘策としておすすめである。
耐えた暁のことは、それぞれ勝手に決めてほしい。
気晴らし酒の量を減らしたい人にはもってこいである。
ちょっと登美彦調を意識してみたが、
あのような狂い方はやはり真似できるものではないと知る。
真似できないのが天才の仕事である。
凡人は葉っぱの上でじっと隠れたつもりの蜂の鼻を明かすくらいしか
できない。
パチリ。