スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

勧誘 パート Ⅱ

2018年08月02日 | 雑感
今般2泊でしたが、七飯町の実家を訪ねた時に持参し、暑くて寝苦しさのなかで読んだ本がある。

著者は 林 郁夫 ( オウム事件で無期懲役 )  刊行されてからすでに20年の歳月が流れた。 

生い立ちから医師、阿含宗との10数年の出会い、オウム真理教入信、そしてあの地下鉄サリン事件、逃亡・逮捕
・自供に至るまでを獄中で克明に記した500ページほどにもなる告白本だ。


当時読んだ時にも衝撃的、罪は罪として裁かれなきゃとは思いつつも、もしこの人が次の世に自分の前に
現れたなら、心酔してついていくだろうな、などとそんな思いを抱いたものです。

今回再び読み直してもその思いは変わらなかった。  

          

江川紹子(ジャーナリスト)さんがいうように、いい歳をした、しかも医師としての実績もある林郁夫が
麻原ごときに、オウムにからめとられていった心の軌跡とその呪縛・葛藤。


宗教って恐ろしい、だけではかたずけられない深層心理が克明に描かれている。   

いまだに全国でオウム関連(3団体)の勧誘が、毎年100人ずつ(1650人内外)増え続けているとの事。 
札幌にも<アレフ>の拠点あり。  生きにくい世の中になってきている現れ、なのかも知れませんね。

≪ 仏教に限らず、人間の意志の健全であることが、いかに大切なものであることかを
  麻原の心の分析と 結果の悲しみを見たいま、痛切に感じている。≫  
そう記していた。

先日 麻原をはじめとするオウムの死刑囚13人の刑執行がされた。

地下鉄サリン実行犯で二人の命を奪い、余罪もある林郁夫だけがなぜ無期懲役なのだろうか、
先進国でアメリカと日本だけが死刑制度があるという。 その論議も深まらない日本という国。

それにしても 人間の罪って不思議なものですね。

学者が書いた宗教哲学本とはレベルが違い、まさに鬼気迫る凄い一冊であった。