Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

Rembrandt

2007-09-13 08:23:45 | ロンドン

今、National galleryThe Age of Rembrandt & Frans Halsという展覧会が開かれている。Tubeなどにも宣伝がされていて(でも何で宣伝用にあの絵を選んだんだ?客が入らないぞ)、ずっと気になっていたので、行ってみることにした。日曜日だし、昨日のチーズが山と余っているので、パンにチーズを挟んでサンドイッチを作り、お弁当にして、ちょっと(かなり?)臭うので袋に入れて、「お弁当提げてピクニック」状態。Hyde ParkからThe Green ParkSt. James’s Parkを抜けてGalleryまで歩く。日曜日の朝早いこともあってなんとRembrandt様だというのに、がらがら。東京の国立西洋美術館でのRembrandt展が嘘のよう(あれは満員電車のようにすごかった)。

いつものように、一通り作品を見渡して、1つを選び、その前に座る(海外の美術館には絵の前に椅子が置いてあってとてもありがたい)。じーっと見つめ、考える。人間の目は素晴らしく、見ただけで質感を理解することができる。モデルのおじさんの着ている洋服。首の部分が金属の甲冑のようで、全体はスウェード革のような素材。斜めにかけた飾りは、銀色に光って銀糸で細密に模様が描かれているのだろうか。一方で人間の目はだまされやすいとも言える。おそらく、上記のような格好をモデルはしていたのだろうけれど、Rembrandtの絵は、青が少し混じった濃い灰色の上に白い絵の具で甲冑の金属らしさを、灰色の上に白い絵の具で銀糸の飾りを描いているに過ぎない。近くへ行くと、単なる絵の具の塊だ。ところが離れてみると、きちんと絵になっている。

また理解できることと、実行できることの違いを思う。Rembrandtと私が仮に同時にこのおじさんを見て絵を描くとする。多分同じように脳にこのおじさんが投影されていることだろう。しかし、描かれる絵は、全く違うはずだ。音楽も。聴いて感動はする。素晴らしいと思う。でも、「弾け」と言われても、私は弾けない。

あまりにじっと長いこと見つめていたので、美術ファンと思しきおば様から「そんなにじっと見つめていると、石になっちゃうよ」と声をかけられた(こういうところが英国だ)。彼女はRembrandtの生涯についても詳しいのだろう。そんな話をして、最後に「本当に素晴らしい絵よね、写真みたい」と言って去っていった。でも、写真じゃないんだ、それ以上なの。だって、写真だったら、不要なところは省けないじゃない。Rembrandtは決してデッサンがぴか一、という訳ではない、と私は思っている。でも、見せるべきところを見せる焦点の当て方はぴか一で、そのモデルの着ている豪華な洋服の一部を際立たせ、またモデルを生き生きと非常な明度で描くのはやっぱりRembrandtだと思う。自分の肖像画を頼むならば、若いとき(1630年代前半)のRembrandtにお願いしたい(いいなぁ、サスキア)。そうそう、1660年代のRembrandtは、ちょっとF.ベーコンっぽい、と思うのは私だけだろうか。

それにしても、このモデルさん、お金持ちだったから、こうしてRembrandtに肖像画も頼めたんだろうけれど、いいお買い物をしたわよね。彼の末裔だったら、光栄だっただろうなぁ。この絵の飾ってあるリビングルームでゆっくりアフタヌーンティなんていただけたら最高の幸せだろうに。。。そうそう、あまりに絵に見とれていて題名を確認してくるのを忘れてしまった。というより、調べたらすぐに分かるだろうと思って、モデルのおじさんの名前を覚えてこなかった。後からネットで見てみても、この肖像画が見当たらない。もしかして、本当に個人蔵なのかも。。。いいなぁ。

お腹が空いたので、美術館を出て、再びSt. James’s Parkへ。ここで昼食。あー、何てチーズって美味しいのだろう。胡桃のパンとあいまって、最高。素晴らしい絵を鑑賞して、美味しいランチを頂いて、幸せ~。またお弁当作って美術館へ行こう。日曜日の朝はお客さんが少ない、って声をかけてきたおばさんが言っていた。今日のは特別展だから10£だったけれど、常設展は無料だ(23£の寄付は募っている)。日曜日の過ごし方としては悪くない。そうそう、常設展のRembrandtの若き自画像&老いた自画像にも再会しに行かなくっちゃ。


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