Joshua Bell(Vn)、Steven Isserlis(Vc)、Ana-Maria Vera(Pf)によるコンサート。プログラムは下記の通り。
Fauré; Violin Sonata No. 1 in A Op. 13
Ravel; Sonata for violin and cello
Saint-Saëns; Romance in F Op. 36
Fauré; Romance Op. 69
Saint-Saëns; Piano Trio No. 2 in E minor Op. 92
変わらないジョシュア・ベルのヴァイオリンの音。特にE線、A線の、この緊張感に満ちた、輝かしく、セクシーな音。なぜこんな音を出すことが出来るのだろうか。本気で、一度その楽器を弾かせて!と頼んでみたい。この楽器の音なのか、あるいはジョシュが弾くからこういう音が出るのか。彼がこの楽器にロンドンで出会ったときの逸話が納得できる。こんな音を出せることに気がついたら、どんな代償を払っても他人には譲れないだろう、ヴァイオリニストとして。
今日特に楽しめたのは、ラヴェルのVnとVcのためのソナタとサン・サーンスのピアノトリオ。ラヴェルのソナタ、第四楽章は軍隊のファンファーレをモチーフにしているとのことだけれど、聞き様によってはまるで日本の祭りの音楽のような印象すらある。
クール過ぎて時々よそよそしい印象すら受けるジョシュだけれど、今日はこのところ共演の機会の多いスティーブンですっかり信頼しているのか、スティーブンに向ける笑顔もやわらかく素敵である。また、演奏中に見せる「協奏」の表情も極めて自然。それが音楽にも現れる。
美しい右手の動き、正確な左手。心も音楽を楽しみながら演奏している。演奏者が幸せそうだと、演奏を聴いている者も自ずと心も表情も緩む。今日のジョシュはこれまでに見た彼の中で一番人間として素敵な(好きな)感じがした。
金曜日の第二弾を楽しみに今週を乗り切ろう。