風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

ショウブの切手

2005年04月12日 | 清水ともゑ帳
今月初めのことです。
1枚のハガキが届きました。
そこには、花ショウブの美しい紫色の切手が貼られており、宛名は筆で書かれていました。
差出人は、先月、箱根で泊まった旅館からでした。
私はほのぼのとしたものを感じました。
もし、このハガキが、切手ではなく「料金後納」「料金別納」のスタンプが押されたもので、宛名がシール印刷だったら、あまり気にとめなかったことと思います。

それで、ちょっと思ったことがありました。
不況下でも安定している、または伸びている企業(店など)は、消費者、利用者との向き合い方にも大きな差があるのではないかと…。

以前、大手製パンメーカーに、パンがおいしかったという感想と、製造における苦心した点などを差し支えない程度でお聞きしたいと、手紙に書き送ったことがあります。
すぐに自宅に電話が入り、そして、数日後には、丁寧なお返事をいただきました。
また、大手小売店へ、クレームのメールを送ったときには、本部長と支店長から、すぐに返信がありました。

そして、有名な外資系企業のテレフォンオペレーターの方は、私のささいな問い合わせを覚えていてくれました。
私はこの会社のカレンダーを毎年、買っていました。
その年の10月、発売日を問い合わせたのですが、その時点では、まだ発売するのかどうかもわからないという返答でした。
11月の中旬になって私があきらめていたころに、もうすぐ販売になるとの返事がきました。
この会社にとってカレンダーはおまけみたいに販売しているだけで、たぶん利益率も少ないものだと思います。
1部千円のものを、私は1部しか買わないのに、こんなふうにしてもらえると、この会社のほかの商品まで欲しくなってしまうものです。

これらの企業(店など)は、たぶん何十万、何百万の消費者がいて、感謝の言葉やクレームも多いことだろうと思います。
なのに、私のような大口消費者でもハードユーザーででもない一人一人にまで、ちゃんと向き合った対応をしている誠実さがすごいと思います。
イメージアップを図るCMもいいけれど、より体温を感じるものです。
ご意見箱、ご意見メールなどの受付はどこでもやっていますが、その先を細部に渡って処理しているところは少ないように思います。

切手一枚に季節を織り込む細やかさ、切手一枚を貼る手間、筆文字の持つ温かみ。
もう終わってしまった旅でも、その後に届いた一枚のハガキによってさらに色を添えられ、再びかの地へ訪れてみたいと思いをはせました。