若い

　若いときなら、本能がすべてを教えてくれる。だが、年取ると本能が鈍るので、経験にたよらざるえない。

　若い者が人を殺したなら、それはどこかに本気で殺そうという殺意があったからだ。でも、年寄りは平気でやりすぎとかうっかりで人を殺す。限度がわからなくなるのが老人だ。

ケンタッキー

　若い時ならともかく、中年の疲労は極限となると食欲がなくなり、眠れなくなる。
　ただ疲労や疲れが慢性化して、それが当然の体調となる。
　だが、これではいけない。
　過労死してしまう。
　若い時なら疲れれば自動的に腹が減り眠くなった。
　若いなら欲望にまかせ食い眠れば良い。
　だが中年になると危険信号がシグならなくなるのだ。本当だ。

　疲れた。

　何も食いたくもないし、眠くもない。ただ疲労のみが身体を支配する。

　マジで何も食いたくない。
　食欲を刺激する為にケンタッキーを購入してみた。若い頃なら、ケンタッキーてなだけで我慢できずワクワクしたものだが、今の俺はワクワクのワもない。

風呂に入る

　今日は、さすがにもうどうしようもないなと判断したので風呂に入った。
　昨日も一昨日も風呂に入ってない。
　人間としてなら無風呂の二三日で終わったりは決してしないが、清潔好きの日本人としてなら最近の俺はもう終わっているなぁとは自負している。
　言っとくが、風呂が嫌いなわけではない。むしろ LOVE 愛している。

　だがだ、どんなに SEX が好きでもしたくない日もあるだろう。

　どんなに、マルちゃん赤いきつねが好きでも毎日食うとなるときつかろう。

　それと同じだ。本当は心の底から愛してやまないのだが、毎日はきつい。それが、俺の入浴スタイルだ。
　
　とうーか、風呂に入らなくても、毎日濡れタオルで体をふいて下着は取り替えている。臭わなきゃいいだろという適当な判断なだけで風呂には入らない。が、さすがに明日は臭いそうなので渋々と風呂に入る。
　入浴しないことを記事にするならともかく、入浴した事を記事にしている。
　こんな俺は、終わっているのかもしれないが、かまうものか。

　俺は疲れているのだ。風呂なんか入るより早く寝たい。

百個

　どう煮詰まっちゃたかというと、俺の働くパン屋の商店街がセールをしてしまい、それに合わせてうちのパン屋でも目玉商品を増産する事になったからだ。
　普段は、１４０円するうちのクリームパンが、本日に限りたったの税込み１０５円！
　当店自慢の自家製カスタード・クリームは、本物のバニラと新鮮卵を使用した香り高く甘々の超逸品。
　ただし、小汚い中年のおじさん達が、こねくりまわした生地を使用しているが、な～に焼けば問題はない。大勢に影響はない非常においしいクリームパンだ。

　これがだ、本日と明日に限り、たったの１０５円。
　安い安すぎる。
　とゆーか、こんな値段で売ったら罰があたるってしろものだ。
　食えば分かる。食わなきゃ分からない。
　本物のカスタード・クリームの旨さは、当店でしか味わえないと断言しよう。

　というものをセールにあわせて百個つくった。
　俺が全て整形して、店長が全て焼いた。

　しかし、パン屋ってのはもうけの薄い商売だ。
　一個１０５円カケル百個で、完売しても一万五百円にしかならない。
　俺の時給は、８００円ちょっと。今日は９時間近く働いたから、７２００円以上の収入だ。セールで増産しても、俺の人件費が浮いて、多少もうかったぐらいの収入でしかない。

　朝の６時半から、立ちっぱなしで仕事して、２時過ぎに昼休みを３０分とり、明日の用意までして仕事を終えたのは夕方の５時前。
　疲れた。足が痛くて、足の裏が熱い。

　俺が勤める店の宣伝はしない。具体的な店舗名も場所も書かない。
　そんな事を書いて勤め先に俺の正体がばれるのが怖いし、迷惑にもなるだろう。
　だいたい万が一にも俺が宣伝媒体となって客に来られると、店だけでなく俺も忙しくなる。俺は忙しいのは嫌いだ、疲れるから。

さぼる

　そんなわけで、俺はパタ中なんだけど、今日は新聞配達をさぼらせていただいた。
　理由は、今日のパン屋の仕事がとんでもなく煮詰まっちゃってて、とてもじゃないが夕刊なんか勇敢に配ってる場合じゃないやと判断したからである。