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映画・演劇のレビュー

かきつばたの会『楽屋 流れ去るものはやがてなつかしき』

2018-05-18 19:06:38 | 演劇

 

4月にオリゴ党公演を終えたばかりの岩橋貞典が公演終了と同時に稽古を初めて、5月11日に初日を迎える。前作は2プロの公演で大変だったはずなのに直後の1ヶ月の準備期間でまるでタッチが違うこの作品の演出に挑んだ。落ち着いた手触りで、ところどころにちゃんと持ち前のユーモアを滲ませて、とても丁寧な作品として仕立てた。

 

4人の女優たちの持ち味をきちんと生かして、そんな4人のアンサンブルで、この作品を作り上げる。バランス感覚が素晴らしいから安心して見ていられるし、作品世界に引き込まれる。重くならないのもいい。女優(幽)霊のお話なのだが、もちろんホラーなんかではない。楽屋に残る死んでしまった名もない女優たちの想い。見えない彼女たちの想いを姿にして、交わす会話劇。3世代の女優霊。まだ、現役で舞台に立つ女優。4人のそれぞれの想いが交錯する清水邦夫の名作戯曲を、軽やかなタッチで見せる。

 

センターに立つ阿矢の堂々とした芝居から始まり、(でも、実はその奥には秘められた弱さを抱える)2人の霊たち(古川智子、誉田万里子)の掛け合いへと流れるようなタッチが心地よい。4人目のキャストである新人、安封香音の初々しい芝居もいい。4人のキャストがそれぞれとても生き生きしているのが素晴らしい。これは演出が役者たちを信じて作り上げたことの勝利だろう。

 


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