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映画・演劇のレビュー

『マッドマックス フュリオサ』

2024-06-01 19:01:22 | 映画

最初は『マッドマックス2』である。一作目の『マッドマックス』はB級カーアクション映画でしかなかった。一応SF仕立てにはなっているが、評判ほどの映画ではない。だが、続編の『マッドマックス2』は信じられないくらいに狂った映画だった。初めて見た日の興奮は今でも鮮明に覚えている。今は亡き梅田ピカデリーの大スクリーンで見た。

 
本作は前作『怒りのデス・ロード』の続編であり、前日譚だ。『マッドマックス』3部作からかなりの歳月が経つ。今更『マッドマックス』はないでしょ、と思ったけど、メル・ギブソンの出ないマッドマックス『怒りのデス・ロード』はまさかの傑作だった。
 
そして、また『マッドマックス』である。ジョージ・ミラー監督は『マッドマックス』と討死する覚悟なのだろう。今回は前作でマックスから主人公を引き継いだフュリオサの少女時代から成長して大人になるまでを全編怒濤のアクションの連続の中で描く2時間半に及ぶ大作である。凄まじいカーチェイス、過酷で派手なスタントのつるべ打ちには驚かされる。ここまでやるのか、というまさかのスタントが炸裂する。思わず目を背けるような残酷で息を飲む迫真のド迫力。そんなシーンが広々とした砂漠で展開する。これは絶対大スクリーンで見るべき映画だろう。
 
フュリオサはほとんど喋らない。最初の誘拐されるシーンから最後まで、無口を貫く。子役の女の子が素晴らしい。さらにはシャリーズ・セロンから引き継いだアニャ・テイラー=ジョイが見事に怒りのヒロインを体現する。
 
やりたい放題の破壊と凄まじいカー・アクション。ストーリーなんて吹っ飛ばしてしまい、ノンストップアクション。砂漠を突き進むバイカー軍団、砂漠に聳え立つ鉄壁の要塞、オイル工場。栽培場。そんないくつかの拠点だけが点在する見渡すばかりの砂漠を舞台にした激しい戦いが延々と続く。彼女は世界の終わった後の世界を生き抜く。これが最期とばかりにジョージ・ミラーは持てる力のすべてをこの一作に注ぎ込んだ。

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