goo blog サービス終了のお知らせ 

あんな話こんな話

会津生まれの会津育ち…三匹の猫と柴ワンコや家族に囲まれ、家庭菜園に勤しみ都会には住めそうにないローカルな私の日常。

イチゴミルク牛乳

2005-06-25 14:36:47 | 介護
昨日投稿して、いろいろと思い出した。
そのなかで、じ~ちゃんのあれからの続編になってしまうが…。

発見されたじ~ちゃんは、市内のとある病院に一ヶ月ほど入院した。
3日間ろくな物を食べずに彷徨っていたので体力が落ちてしまっていた。
一ヶ月の入院後、ロングステイを組んでもらい、滑り込みで老人保健施設に入れる事になった。

たぶんに、ロングステイの後には家へ帰れると思った事だろうと今更ながら思った。

家で動き回るじ~ちゃんと寝たきりのば~ちゃんを同時に看る事は出来なかった。
正直、看たくなかった…と言った方が正しいのかもしれない。
そこでは、衣類は衣装ケースに一個しか持ち入れる事が出来なくて
まだオムツを着けていなかったじ~ちゃんの洗濯物は
頻繁に取りに行かなければ間に合わなくて、一日2回も往復した時もあった。

冬の日などはなかなか乾かず、ようやく乾いた洗濯物を
家にば~ちゃんを一人残して、往復1時間では帰って来れない距離を何度往復した事か…!
それでも、主人が会社から帰ってから行ったりして凌いでいたが
オムツの着用をお願いした。

これ以上は無理だ! そう 思った。

しかし…施設でのじ~ちゃんの暮らしは快適だったに違いない。
孫のような職員さんに手を引かれたり、トイレへ連れて行ってもらったり
おやつの時間やレクリェーション・花見や盆踊り…。
怒られる事なく、優しくされ声をかけられいつも誰かに見守ってもらえた。
それでもなお、家へ帰りたいという想い
そこにいるお年寄りは一様に同じ事を思っていたに違いない。

だけど…話すことは昔のことばかり
昔から現在までの記憶がスッポリと抜け落ちてるかのように。
昔はどんなに良かったか幸せだったか、繰り返し繰り返し話す。
でも 当人にとっては昔ではなく現在なのだ。
大きくなってしまった孫を見て、はて…どちらさんだっけか?と首を傾げる。

それでも 主人が洗濯物を取りに行ったついでに
いつも 入り口にある自販機から、イチゴミルク牛乳を買い手渡すと。
一緒に椅子に腰掛けて、両の手で包み込むようにそれを持って
ゆっくり ゆっくりと飲み干してゆく…。
まるで、少しでも長い時間、傍に居て欲しいかのように。

そして、いつもひと言。

あぁ  うまいなぁ…。

いつも 同じひと言だった。


当時と同じものはなかったが…

あの 甘いイチゴミルク牛乳を、ゆっくりゆっくりと飲みながら
じ~ちゃんの脳裏には何が思い浮かんでたのだろう?と思うときがある。
自分の幼い頃の事だろうか?
それとも、ば~ちゃんと結婚した頃の事だろうか?

あの甘いイチゴミルク牛乳は、幸せだった頃の象徴だったのかもしれない。

あれから 2年お世話になった施設で朝方に起こした脳出血の為に
3日間という短い入院生活の後旅立って行った。

一昨年の11月の始め、3年忌を終えた。

イチゴミルク牛乳を供えたかったのだが、あそこを思い出すようでやめた。
イチゴミルク牛乳は、後悔が残ったじ~ちゃんへの苦い思い出なのかもしれない…。