ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第1節FC東京vs浦和レッズ@味スタ20180224

2018-02-25 15:24:02 | FC東京

開幕ましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

Jリーグの2018シーズン開幕です。東京はクラブ設立20周年を迎える節目の年です。気分一新。新しい時代の門出にふさわしいシーズンを過ごしてほしいと思います。

大杉漣さんが開幕を間近にした2月21日に急逝されました。ぼくら一般のサッカーファンと同じ目線、同じスタンスでサッカー、そしてJリーグを愛されていたお姿は、ぼくら日本のサッカーファンの誇りです。どうか、天国から、いついつまでもJリーグを見守り続けてください。やすらかに。

今シーズンはモリゲとともに闘います。

開幕戦の相手は因縁多し浦和。でも開幕を祝い、漣さんを追悼する想いのほうが強く、例年のように浦和を意識することはありませんでした。You'll Never Walk Alone♪東京スカパラダイスオーケストラのミニコンサート

先制するも直後に同点にされる悔しいドローです。

東京のシーズンスタートオーダーはPSMと同じです。シフトは中盤スクエアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎とヨネ。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと遼一です。

浦和はブランニューオーダーです。シフトは4-1-4-1。GKは周作。CBは槙野とマウリシオ。SBは右に航左に宇賀神。アンカーはカピ。IHは右に陽介左に長澤。WGは右にマルティノス左にムトゥ。1トップは慎三です。

開幕に先んじて、PSMで健太サッカーをお披露目した東京でしたけど、案の定、三味線とまではいいませんけど、練習試合モードだったようです。今日の開幕戦で、隠していた本領を披露します。

PSMとの相違点は主に二つ。まずコンタクトがタイトです。それも、フィッカデンティ体制のような守備に特化する意図的なダーティーさはなく、全体の作戦のなかの一機能のように見えます。チームとしてのコンセンサスが合っていて、ディシプリンが整っていることが伺えます。

攻撃面でも、PSMでは見せなかった作戦があります。トップ同士、メイヤ同士のポジション変更を頻繁に行います。トップについては、ディエゴは右遼一は左とポジションを分担していたのですけど、今日は左右入れ替わるシーンも多かったと思います。相手CBとの関係もあるのかもしれません。

メイヤについては、ポジションの交換というよりか、同サイドに偏るシーンがあります。サイドに数的優位を作る意図です。メイヤにはポジションレスというか、ある程度自由が与えられているのかもしれません。メイヤがバイタルエリアでビルドアップに絡めるとビッグチャンスを演出できていたので、攻撃を機能させるために鍵になるポジションかもしれません。

ディエゴはPSMの好印象を確信に変えさせるプレーをみせてくれました。マウリシオや槙野を背負ってもボールをロストしない、体とボール扱いの巧みさがあります。ディエゴと遼一は出し手と受け手としての関係性ができてきているようです。またメイヤやSBとの距離が遠い場面もあるので、このあたりが課題のひとつだと思います。

PSMとの違いを一番感じたのはメイヤです。とくに晃太郎。慶悟は宏介との攻守のコンビネーションに加えて、トップとも縦のポジションチェンジを行っていて、裏を狙う動きをみせます。そして晃太郎。PSMでは、質量ともらしさを感じられませんでした。でも今日は違います。右サイドの守備は当面の重点課題だと思っていました。先週のマリノスと同等かそれ以上の威力と実績を持ったムトゥ+宇賀神のコンビを向こうにまわしても、十分な安定感でした。ムトゥと宇賀神がペナルティエリアに入ってアタックするシーンはほとんどありません。何度も対戦している経験値があるからかもしれません。でも、晃太郎+室屋のセットは国内公式戦では初ですから、ディスアドバンテージがあっても不思議ではありません。今日は室屋が、頻繁にポジションを変えるムトゥと宇賀神に振り回されるようなシーンはありませんでした。これはやっぱり、晃太郎が厳しくパスの出し手にコンタクトしていたからだと思います。晃太郎はインターセプトも何度か見せていて、トランジションの起点にもなれることを印象付けました。攻撃面でも、バイタルエリアで基点になり、ワンタッチスルーでビッグチャンスを演出するプレーもありました。足元の技術も高く、かつ安定しています。ガンバユースのクオリティの高さを目の当たりにした想いです。

浦和が様子見する入りかたをしてくれたおかげで、PSMのときよりチームプレーを確認する時間をもらえました。4+4の2ラインをベースとしたコンサバティブな志向を基本とすることは間違いないようです。ただ、けして過度にリトリートする、受けのサッカーではありません。中盤のトランジションからすばやく縦につないでゴールに迫る作戦を基調とします。ブロックをより高い位置に保つことで中盤の優位性を確保できるわけですから、考えとしては、ブロックをコンパクトに保ちつつ全体を高く位置取らせようとしています。

言い換えると、中盤の支配力が攻撃権を持てるか持てないかのターニングポイントになります。PSMでは、サイドで優位に立たれたため中盤のプレスが受け身になり、結果的にリトリートさせられていました。結論を言うと、今日も中盤を支配されます。とくに後半、浦和が作戦を変更したことでそれが顕著になります。まず、当面の一番の課題はここだと思います。中盤の支配力は中盤だけに問題があるわけではありません。洋次郎とヨネのコンビは、守備面で中盤を支配するためにベストチョイスだと思います。中盤でより有効にボールを奪えるかたちをチームとして作っていくことが必要です。

PSMでも目についたことですけど、やっぱりボールの基本的な扱いにミスがあります。パスミスやトラップミスが直接的なピンチの原因になっていました。一瞬のミスで相手に流れが渡ってしまいます。今日、中盤を支配された原因のひとつはミスの多さだと思います。基本的なトレーニングの積み重ねだと思いますから、日々取り組んでほしいと思います。

さて浦和です。堀さんの体制になってからの浦和をほとんど観ていません。なのでミシャサッカーからブランニューするプロセスのなかの、今どのあたりにいるのかはわかりません。シフトだけを見ると、ミシャ時代の攻撃モードを基調にしつつ、守備の安定を加える方向を目指しているように思えます。そういう意味では、正常進化なのかなと思います。

ただし、シフトを変えたことはポジションの流動性を失うことにもつながっています。ミシャサッカーの特長として、アタッカーの流動性とWBの攻撃参加による迫力満点の超攻撃スタイルがありましたけど、その長所は失われています。まだ新スタイル確立への途上のことだとは思いますけど、ちょっと御しやすい、言うなればオーソドックスなチームになったなという印象を受けました。とくに前半は、おとなしいプレーが目立ちました。作戦だったのだろうと思います。フォアチェックをせず、守備網を安定させることを優先していました。健太東京が受動的なスタイルということもあって、まずはボールを持たせてみようという意図だったと思います。つまりニュー浦和の主旨は、東京同様、受動的になりつつあるのかもしれません。

今年の新加入の目玉は武富とマルティノスと岩波。武富と岩波は従来の浦和らしいチョイスだと思いましたけど、圧倒的な加速をストロングポイントとする純粋なサイドアタッカーのマルティノスを採用することに違和感を覚えました。サイドに偏った選手を放出し、インサイドでもプレーできるマルチロールな選手を重用していた印象がありますから。でも、今日のニュー浦和を観ると、なんとなく理解できました。受動的なスタイルとともに、サイドに重点を置いた攻撃プランを基調としているようですから、マルティノスを浦和に合わせるというよりか、マルティノスが活きるサッカーをしようとしているように感じました。ただ、肝心のマルティノスはまだフィットできていません。マリノス時代の躍動感や迫力は見られませんでした。もともと宏介はマルティノスとの相性が悪くはないので、そのせいかもしれません。

前半の浦和は、選手間の距離を広めに取っていました。それがチームが目指す作戦に合致しているのかは分かりません。ただ結果的には、攻撃が散発に終わっていた原因になっていたと思います。中央の使いかたがまだ整理できていないように思えます。今日目立ったプレーは、さすがに浦和らしい正確なサイドチェンジで左右にゆさぶり、サイドプレイヤーをフリーにしたうえでその選手に直接付けるフィードを送る作戦です。でも、このときサイドはサイドアタッカーが単独でプレーする状況になっていました。WGにIHやSBを絡めた厚みのあるサイドアタックができればより脅威だろうと思います。

中盤では、長澤が高めの位置をキープしつつ左右に動くことでチャンスメークをします。陽介は中盤のバランスを保ちます。ビルドアップがうまく機能しないと陽介が下がってパス回しに加わりますけど、それが攻撃の厚みを失う原因になっているようです。陽介とカピが縦にポジション変更するシーンもありますから、中盤の流動性を確立できれば、中央の攻撃ももっと活発に行えるようになると思います。

浦和の攻撃はこれまで、ペナルティエリアに複数のアタッカーがうろつくことで相手に脅威を与えていました。サイド貴重のスタイルに変わることで、マルティノスのみならずムトゥもサイドにはりつくシーンが目立ちます。変わりに航と宇賀神がなかでプレーする符丁なのですけど、基点となるサイドの位置が全体的に低くかったので、航も宇賀神もペナルティエリアに入れません。結果、中央で慎三が孤立します。目下のところ、慎三のスペースメイクが浦和唯一の得点パターンのように思えますけど、慎三を上手く隠すようなチームプレーがまだできていないようです。全体的に概観すると、個々の選手のプレーはシンプルに整理されたため安定感が増しましたけど、反面、迫力が失われているように感じました。

前半は東京も、浦和のリトリート作戦を焦ることなく受け入れます。スコアレスのまま終了。

後半に入り、浦和がギアを上げます。アタッカー三人が積極的にフォアチェックをしかけます。このことで中盤の支配力が上がります。さらにマルティノスとムトゥのポジションを左右入れ替えます。前半は左右フラットにバランスよく闘う意図だったと思います。このポジションの入れ替えは、右で作って左で仕掛ける作戦変更です。どちらかというと室屋のほうが1on1を仕掛け易いということでしょう。それから航の攻撃力を、ボールを持てるムトゥを前に置くことで、より積極的に引き出そうという意図だと思います。

この作戦変更の効果を確認する前に、先制ゴールが生まれます。

48分。宏介の戻しパスを、モリゲがダイレクトで、自陣から最前線の遼一につけるフィードを送ります。これはマウリシオが背後から弾きます。このボールがフリーの洋次郎に渡ります。洋次郎はそのまま遼一にポストを付けます。マウリシオがいったん離れていたので遼一はなんなくポストを納めます。これを見た慶悟が、一気にマウリシオの背後を狙って加速します。遼一からふたたび戻しを受けた洋次郎は慶悟にスルー。槙野と航の間にぽっかりスペースができた浦和の最終ラインの間を通るパスは慶悟に渡ります。独走の慶悟は、迫る槙野を背中でガードしながらペナルティエリアに入り、周作の位置を見てゴール左隅を狙ったコロコロシュートを放ちます。これがコロコロコロコロコロコロコロコロとゴールに転がりました。コロッソ(^^)。東京1-0浦和。

健太東京の理想形のゴールでした。浦和が前に出てくることで背後を狙う可能性が広がります。縦のワンタッチパスの連携で相手の最終ラインにギャップを作り、そこを狙っていく能動的な攻撃が、この局面で実現できました。それに、背景には、シュートへの積極性もあります。単独で抜け出したので当然とは言え、このシーンで慶悟が迷うことなく良いタイミングでシュートしたことは、おおげさに言えば覚醒の感を覚えます。慶悟初の二桁得点を、もしかすると期待できたりするかもしれませんね。

よろこびもつかの間。直後のことです。

50分。陽介の左CK。浦和はゴールエリアのニアに慎三ファアにムトゥ。ペナルティエリア内中央に槙野、マウリシオ、航を固め、その両脇にマルティノスと長澤を置きます。東京はマンマークとゾーンのハイブリッド。ストーンは四枚。マークは槙野にヒョンス、マウリシオに遼一、航にモリゲです。陽介のモーションと同時に、航がファアからニア、マウリシオがニアからファアへとダイアゴナルに流れます。槙野は中央を前進。陽介は高く上がって落とすロブクロスを上げます。もしかすると狙いは航だったのかもしれません。モリゲは完全にタイミングをずらされて航に後れをとりますけど、陽介のクロスは航の頭上を越えます。このボールが中央にいた槙野の足元にピンポイントで落ちます。槙野は反応するどく右足を伸ばします。ヒョンスは成す術もありません。槙野の足に当たったボールはゴールに吸い込まれました。たぶん偶然ですけど、狙ったサインプレーだったらスーペルゴラッソです。東京1-1浦和。

ちょっとしたスクリーンによってマッチアップのすべての局面で一瞬の優位性を与えてしまったことは悔やまれます。ただ、ミスがあったわけではなく、スカウティングがまだ薄い開幕戦ならではできごとしれません。この後、慶悟の先制点のようなカウンターを再現できなくなりましたから、今、攻守にスミイチの実力にとどまっている状況では、もっと守備のディテールにこだわる必要があると思います。

浦和の作戦変更がはまります。ムトゥを基点に右サイドで人数をかけることで、航、長澤、陽介が高い位置で流動性を見せるようになります。これで右サイドが活性化します。ペナルティエリアにも人数を入れられるようになります。と同時に、マルティノスと室屋を1on1にする局面を作れるようになります。東京はリトリートを強いられ、我慢の展開に持ち込まれます。

そこで堀さんが動きます。長澤に代えて武富を同じく左IHに投入します。中盤をフレッシュにする意図だと思います。武富は東京と相性が良いという考慮もあると思います。武富は、いくぶん左サイドよりでプレーしていました。マルティノスをフォローする役割を置いたのだろうと思います。

これを見て、健太さんが動きます。ディエゴに代えて永井を同じくトップに投入します。今日の健太さんは、試合の流れをみてアジャストするというよりかは、よりチーム作りに重点を置いていたような気がします。以降の交代はルーティーンだと思います。ただ、流れとも一致していたので違和感はありません。永井の投入は、浦和の作戦変更によりロングカウンター主体のプレーになることが予測されましたから、永井をカウンターの主役とする意味で有効だと思いました。

さらに健太さんが続けます。遼一に代えて建英を同じくトップに投入します。建英にはやく結果を出す機会を与える意図だと思います。ロングカウンターの状況のほうがプレーエリアが広がりますから、建英のプレーの選択肢もより広がります。ただ、今日に関しては、カウンターの起点があまり有効でなかったので効果的な攻撃を仕掛けられませんでした。もうひとつには、カウンターの基点として、永井とのちに敬真が優先されたので、建英に良いかたちでボールが渡らなかったこともカウンターが決まらなかった原因だと思います。セカンドセットの組み合わせと連携も、試合終盤の得点力を上げるために整理が必要だと思います。

東京のカウンターに威力がなく、以降は浦和のワンサイドマッチのような展開になります。最終盤に堀さんが動きます。ムトゥに代えてズィライオを同じく右WGに投入します。活性化し続ける右サイドをリフレッシュして、さらにスピードを加えてギアを上げようという意図だと思います。

結果的に東京は、浦和らしい圧力を取り戻した浦和の攻撃に対しても、流れのなかでは有効打すら打たせませんでした。浦和アタッカーのペナルティエリア内の流動性に対しても最終ラインはしっかりと相手の動きを視野に入れていました。なので最も脅威となる慎三が一瞬の判断でフリーになるリスクは、試合を通じてほとんど無かったと思います。

健太さんが動きます。晃太郎に代えて敬真をトップに投入します。永井が右メイヤに回ります。前線に運動量を加えて、カウンターの筋道を作ろうという意図だと思います。残念ながら活路をひらくことはできませんでしたけど、これが試合終盤のチャンスメークのパターンになると思います。今日は出番がなかったけど、このルーティーンに加えて、拳人をどう使うのかも今後も注目です。拳人の得点力とパワーはこのチームでは稀有な魅力です。18番を背負う意欲があると思いますので、これからの出場機会に期待です。

浦和に攻め込まれながらもひやっとするシーンもなく、終始安定していました。このまま試合終了。東京1-1浦和。

概観すると、PSMの印象のとおりオーソドックスなスタイルです。なので、どこかしら選手はやり易そうです。素人目に観ても、やろうとしていることが分かり易く、今日出来ていたことと出来なかったことも明確でした。これはプレーする側にとって課題を見つけ易く、だからディテールをつめることができるし、進歩も確実ではやいのではないかと思います。ぼくら観る側にとっても、チームの成長を意識し易いですから、少なくとも戸惑うようなことは無いと思います。東京のリスタートにとって、最適なアプローチではないかと思います。

試合が終わって、そういえば相性の悪い浦和が相手だったのだとふと思い出しました。悔しいドローだったけど、難敵に対し勝ち点1をゲットです。浦和がチーム構築途上だったことが試合観戦として良いのか残念なのかわからないけど、純粋に勝ち点を積み上げる意味では、まずは良いスタートを切れたと思います。東京もチーム作りの最中ですから、地道に一試合ずつを大事に闘い、一歩ずつ成長していってほしいと思います。2018シーズンが楽しみになりました。

ホーム連戦です。次節は仙台。主力が抜けたとはいえ基礎ができているチームを相手にして、また新たな課題を見つけてほしいと思います。