ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018Jリーグプレシーズンマッチ presented by 東京ガス FC東京vs横浜F・マリノス@味スタ20180217

2018-02-18 17:13:41 | FC東京

年明けから毎週のように列島のどこかに寒波がやってきていて、まだまだ冬真っ只中な日本です。

でもほろほろと梅が咲きはじめていて、ほのかに春の予感が漂いはじめています。

Jリーグの2018年シーズン開幕は、ワールドカップイヤーのため例年より少しはやく、もう来週に近づきました。昨年はシーズン終戦がはやかったのでちょっと長いウインターブレイクになりました。ようやく、サッカーが生活に戻ってきます。

本日は、開幕を翌週に控えたプレシーズンマッチです。いわば最終テスト工程。2018年の東京はひさかたぶりに体制を大きく変えて挑みます。史上はじめて実績のある監督を迎えますから期待が大きい反面、東京にフィットするのか不安もいっぱいあって、オフ期間はちょっとモヤモヤしていました。今日、2018健太東京のお披露目です。どんな風に仕上がっているのか、興味津々です。試合前のトークショー健太さんのスピーチヒョンス新キャプテンのスピーチ

スパーリングパートナーは、東京と同様に最後のチェックに臨む横浜F・マリノスです。マリノスも体制をがらりと変えましたから、やっぱり期待と不安が交錯していることでしょう。

2018健太東京のシーズンスタートオーダーが明らかになりました。シフトはオーソドックスで、中盤スクエアな4-4-2。注目の布陣。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは右に室屋左に宏介。ボランチは洋次郎とヨネ。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップは遼一とディエゴ・オリヴェイラです。

マリノスも陣容が改まりました。シフトは4-2-3-1。GKは飯倉。CBはボンバーとデゲネク。SBは右にマツケン左に山中。ボランチは中町とキー坊。WGは右にイッペイ・シノヅカ左にユン・イルロク。トップ下はあまじゅん。1トップは翔です。

今日確認できた限りですけど、健太東京を観ていきます。まず概観としては、健太東京はコンサバティブなスタイルでスタートしました。

既視感というか、とても東京らしく、かつ健太さんらしいスタイルです。健太さんは東京の特長としてディフェンスに優れている点を真っ先に上げていました。なのでチーム作りのアプローチもディフェンスに重心を置いているのだと思います。ずっと東京を応援する身として東京のなかにいると東京の特長を案外わからないものなのかもしれません。東京がディフェンシブなチームだということを自覚したのは2016~17年の迷走の、ある意味おかげかなと思います。2014~15年の守備偏重は意図的に作られた特長、あるいは前代の反動だと思っていました。でも、思い返してみれば東京は、プロとしてはカウンタースタイルでスタートしてそのまま初タイトルを獲得するまで駆け上がりましたから、チームの根っこの部分に守備重視が沁み込んでいるのかもしれませんね。モリゲをはじめとする守備力の高い選手が揃っているからという理由だけではないような気がします。

健太さんは清水とガンバを率いていたので、攻撃的で技術を重視するようなイメージがあります。でも、過去の対戦を振り返ると、コレクティブネスがお好みなんじゃないかなと思っていました。健太ガンバの全盛期も、もちろんヤット、宇佐美、秋、パトリックと攻撃面で優れたタレントがいて点が取れたことが主要因ですけど、ベースに守備のディシプリンが備わっていたからだと思っています。以降、井手口、三浦、キム・ジョンヤ、初瀬と守備のタレントでは全盛期を越えるようになりましたけど、チームとしては、どこか守備ゾーンにホールができていたような印象があります。外様がいうのは不相応ですけど、ガンバは個性的なタレントを輩出し続けることがクラブとしての信条であり、本質的にはディシプリンの対極に自らを位置付けていると思います。それがガンバの面白さであり継続的な強さでもあるのですけど、長年チームを率いていると、違和感のようなものが積みあがってくるのではないかと思います。

その意味では、東京は本質的にディフェンシブなチームですから、より健太さんがやりたいサッカーのイメージに近いのかもしれません。まだなにもはじまっていない段階だけども、なんとなく、東京と健太さんはベストカップルになれるんじゃないかなと、今日の内容を観て感じました。

健太東京の守備は、近代サッカーのトレンドを踏襲するものです。ベースシステムは4+4の2ラインの維持するゾーンディフェンスです。ラインの上げ下げによってシチュエーションをコントロールします。今日は早々と先制したこともあって、健太東京のすべてを確認できたとは思えません。印象として今日一番の懸念は、誰しもが感じたことだと思いますけど、マリノスに押し込まれる時間が長かったことです。なので、ラインを下げたリトリートスタイル基調のように感じますけど、趣意は違うと思います。先制するまでの5分間の闘いかたにこそ、健太東京が目指す姿があったような気がします。その意味では、今日の確認にかけられる時間はわずか5分間だけだったかもしれません。

守備的といいつつ、守ることに主眼を置いているのではありません。攻撃のための守備です。このあたりが現代的と評する由縁です。守備の重点は中盤のトランジションです。理想的なのは、ボランチでコンタクトを競ってトランジションするのではなく、ボランチでインターセプトすることなのでしょう。そのためにアタッカー二人の献身性が重要です。ディエゴも遼一も、マリノスの起点に対するファーストチョイスを怠りませんでした。交代した敬真と建英も執拗にボールを追っていましたから、FWとしての責務のひとつになっているのだと思います。

ボランチのチョイスが豊富なのも東京の特長です。選手の怪我の影響もあって、昨年までは拳人がファーストチョイスでしたけど、健太東京は原点に戻った感がします。洋次郎とヨネ。とくにヨネのチョイスは健太さんらしいなと思いますし、東京らしいなとも思います。運動量が豊富でボール奪取力を備えていることが健太さんの中盤の優先条件なのだと思います。東京のなかでぼくらが最初に思い描く選手といえば、もちろんヨネ。怪我に苦しみましたけど、その時期と東京の迷走期はシンクロします。ヨネの復活が、東京が東京の歩むべき道を取り戻す鍵になるかもしれません。

洋次郎も、帰国した昨年からイメージが変わりました。コンタクトが強いハンターの印象が強くなっています。もしかすると今日の中盤の選択はボール奪取力が基準になっているのかもしれません。とはいえ、梶山、拳人、草民、慶悟と選択肢は豊富ですから、いろんな組み合わせを試してみてほしいと思います。健太ガンバと比較をして一番懸念されるのは、ヤットに相当するキャラクターが東京にはいないことです。持っていないことを嘆いても仕方がないことですから、ヤットがいなくても点を取れるサッカーを作るしかないでしょう。残念ながら、件の展開のとおり、今日は攻撃権をほとんど持たなかったのでポストヤットの攻撃方法を確認するに資する試合ではありませんでした。シーズンがはじまってからの観戦の大きなテーマにしたいと思います。

守備面での心配ごとは、両サイドの守備強度です。マリノスがサイドアタック偏重であり、かつそこにストロングポイントを置こうとしているようなので、今日の局面はサイドに偏りました。その意味でサイドの守備を確認するには絶好の試合だったと思います。どちらかというと右サイドが苦労していました。イルロクのフィットがはやいのか、山中とのコンビネーションができあがっていて、晃太郎と室屋は手を焼いていました。原因は晃太郎にあると思います。室屋とイルロクのマッチアップは、残念ながらイルロクのアタックに分がありました。マリノスの攻撃のゴール前中央の処理に威力と精度がなかったので事なきを得ましたけど、失点してもおかしくないクオリティのプレーをイルロクに許していました。室屋の背後のスペースを意図的に狙われていたこともあるのでしょうけど、室屋がイルロクに対し優位にアプローチできるシーンを作るべきだったと思います。その点で、イルロクにボールを出す、あるいはイルロクとポジションを入れ替えて攻撃参加する山中に対し、晃太郎がもっと強くコンタクトしてもよかったと思います。公式戦になると激しさや厳しさが変わってくるかもしれないので、ここも来週の注目点にしたいです。

失点がなかったので中央の守備のコンビネーションは確認できませんでした。それにしても、代表レギュラークラスのCBが並んでいるという安心感はかつてないクオリティです。6年前にも経験しているのだけど、ヒョンスの安定感は格段に上がっていますから、韓国代表レギュラーというブランドを加えて、とても頼もしいです。そして、モリゲが新鮮です。モリゲがいることは当たり前のことだったのですけど、いない期間を経ると、あらためてモリゲがいることへの感謝を感じます。二人とも今年はワールドカップ出場が最大の目標だと思います。その想いとともに、Jリーグ最強の安定感を持つコンビに育ってほしいと思います。

攻撃に関しては、前述のとおり85分間はほぼカウンターに徹していたので、健太東京の目指すスタイルは未確認のままです。ただ、サイドアタック基調であることはなんとなく伺えます。前線の高い位置でのポストでタメを作り、サイドアタッカーを押し上げることが基本的な作戦です。そのため、攻撃の有効性を保つためのポイントは、ポストプレーとサイドでのエリアの優位性、そしてフィニッシュの精度です。これまた近代サッカーのオーソドックスな攻撃スタイルです。

ポストに関しては、ディエゴと遼一の二枚看板を揃えていることが特長です。昨年までは、中盤の構成力を上げるために1トップを選択することが多く、その分ポストプレイヤーの負担は大きかったと思います。2トップにすることでその負担を軽減させるとともに、左右両方の攻撃ルートを確保できるようになると思います。主に右はディエゴ、左は遼一が担当しています。なので、サイドアタッカーとの組み合わせとコンビネーションが、攻撃の有効性を生み出すための課題になるような気がします。純粋なポストプレーについては遼一は既知ですので、とくにディエゴの強度に驚きました。マッチアップはオーストラリア代表のデゲネクでしたけど、当たり負けはありませんでしたし、案外足元も巧みなんだなと思いました。サイズを活かしてゴリゴリ押し切ることもできつつ、ボールを足に吸い付けるようにしてスルスルっと相手を利用したターンもでき、チャンスメーカーとして鍵に成り得る存在なんじゃないかと思いました。柏では歴代のアタッカーの影に隠れてあまり強い印象が無かったのですけど、少なくとも健太東京へのフィットは済ませているようで、活躍が期待できるかもしれません。とにかく移籍後初ゴールをはやく決めてほしいです。

サイドアタックについても、右サイドで印象的なプレーがありました。前半早々、右サイドでいくつか効果的なアタックがありました。そのうちのひとつですけど、ディエゴと室屋のワンタッチコンビネーションで室屋のタベーラからディエゴが抜け出し、ダイレクトで中央に折り返したプレーがありました。最終ラインの背後に送る高速の低空クロスは、一瞬はやく抜けて遼一には合いませんでしたけど、ゴールの香りをふんだんに漂わせる良いプレーでした。健太東京が目指すフィニッシュパターンのひとつを観た想いです。ワンタッチコンビネーションとダイレクトプレー、そして高速クロス。この時は遼一の一枚だったのですけど、超高速プレーながら、ゴール前にフィニッシャーの人数をかけられるとより可能性が高まると思います。

左サイドは長年の蓄積があるコンビですので、より高度な連携を観ることができると思います。左は宏介の攻撃特性をより活かすオーソドックスな作戦です。このためか、慶悟と宏介が縦にポジションを入れ替えることを多用します。慶悟の守備力もあり、左サイドは比較的安定して闘えると思います。

気になったのは、メイヤです。とくに晃太郎。晃太郎のほうはまだ、攻守にフィットし切れていないのかもしれません。器用そうに見えるしチームのスタイルにあまり左右されない選手なので、ちょっと意外です。晃太郎が攻撃に絡めたのは前半で一回くらいだったと思います。後半はカウンターの起点になったりしていくぶん、らしいプレーが見られましたけど、まだまだ、あの躍動感があって直線的にゴール向かうドリブルは繰り出せていません。

メイヤはサイドアタックに加わらず、中央に絞っています。セカンドアタッカーの役割を担っているのかもしれません。もう少し、SBとメイヤが縦横にポジションを入れ替えられるようになると、サイドアタックにバリエーションが加わるかもしれません。メイヤも選手の選択肢はボランチ以上に広く、かつ個性がそれぞれ異なっていますから、いろんな組み合わせが試せそうです。今日は途中から永井を入れましたけど、試合のなかでもメイヤを代えることでチームとしてのチェンジ・オブ・ペースができそうです。とくに永井や翼、ジャキのようなスピードスターは威力がありますから、試合序盤のかまし、あるいは終盤の超攻撃モードに有効だと思います。メイヤは、選手選択、役割とも、各ポジションのなかで一番伸びしろがありそうな気がします。

もうひとつ攻撃面の特長は、積極的なスペースへのアタックです。後方にパス供給能力の高い選手が揃っているからこそできることだと思います。まず、ディエゴにしろ遼一にしろ、常に意図的に最終ラインの背後のスペースを伺っているようです。ここに永井や敬真が入っても意識は同じだと思います。その時のモリゲ、ヒョンス、宏介、洋次郎、ヨネの視線も同じ。印象的なのは、裏を狙うフィードの距離です。無理なロングフィードはほとんどありません。これは、チームがとてもコンパクトにシフトを組めている成果だと思います。このため、フィードだけでなく、後方から直接的なスルーパスも可能性としては有り得ます。モリゲから裏に飛び出る遼一にダイレクトスルーなんて、鳥肌が立つようなプレーが見られるかもしれません。

パスにおいて気になるのは、受け手出し手ともイージーミスがあることです。東京が改善すべき長年の課題はここにあります。高い技術を持った選手が揃っているにも関わらず、他の技術系のチームと比べると中途半端さを感じる原因は、イージーミスだと思っています。今日もモリゲ、洋次郎、ヨネ、室屋のパスミス、慶悟やディエゴ、宏介のトラップミスが目につきました。こういう、個人レベルの基礎的なプレーの精度向上が、チームとしてのパスプレーのクオリティを上げていくのだと思います。昨年成果を上げた川崎やセレッソを観ているといっそうそう思います。もう一度、しっかりと徹底的に取り組んでほしいと思います。

東京の内側でも外から観ても、ことし最も注目する選手は建英と怜でしょう。その点でも健太さんは最適かもしれません。井手口や堂安など、ガンバユースから次々と排出される可能性豊かなタレントを積極的に試合で使い、育ててきました。東京ユースが最大限の期待を込める建英と怜を、上手く違和感なく試合で使ってくれると思います。さっそく今日、建英は出場しましたし、対外試合で活躍もしています。怜は怪我を治してからになりますけど、健太東京デビューが楽しみです。建英は強度が増しているような気がします。トップレベルのディフェンダーを体感することで、コンタクトの対処方法を探ることができているのかもしれません。当たり負けしない技術までは得ているようです。そこからさらに優位性を獲得するまでにはまだまだチャレンジが必要だと思いますけど、建英の成長スピードはぼくらの意識のはるか先を進んでいますから、ブレイクスルーの時期はもうすぐそこまで来ているかもしれません。楽しみです。

試合は5分の遼一のゴールを守り切って、1-0で終了しました。

永井と敬真と建英が入ってカウンターの威力が増しましたけど、追加点を取るところには至りませんでした。スピード系の選手を中心に少ない人数でロングカウンターを仕留めることができれば、ディフェンシブな闘いかたに説得力を付けることができます。遼一のゴールをとってみても、今年は例年にないシュートの積極性を感じます。自分が仕留めるんだという意識をアタッカーには常に持っていてほしいと思います。

総括すると、なんとなくリフレッシュができていて、昨年までの鬱屈したモヤモヤ感はすっかり晴れていることを感じました。一番心配していたことですので、安心しました。いろんなことを思うサポもいるでしょうけど、ぼくらも昨年までのことを忘れて、まずはサポ魂をリフレッシュするべきだろうなと思います。チームがまず、リフレッシュした姿を見せてくれましたから、ぼくらも気持ちあらたに、新しい東京を見守っていければと思います。

いい雰囲気で2018年のJリーグ開幕を迎えることができそうです。とにかく、成果。チームも選手も、良い結果をはやくつかんでくれればと思います。長いシーズンがはじまります。気負わず、ゆっくりとチームとともに過ごせればと思います。今シーズンもぽちごやをよろしくお願いします。