ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第33節サンフレッチェ広島vsFC東京@エデスタ20171126

2017-11-29 22:47:38 | FC東京

秋も深まり木々が色づき舞います。サウダージの季節です。

ことし最後の遠征は、来るつもりのなかった広島。徳永の長崎移籍が発表されたので、大事な残り2戦を目撃すべく、急遽行くことにしました。You'll Never Walk Alone♪

残念ながら徳永は欠場。試合も敗戦。遠征の意味を問われる結果になりました。

東京は徳永、嘉人、ヒョンスが不在です。シフトは3-4-2-1。GKは拓生。3CBは右から山田、カズ、まる。WBは室屋と宏介。ボランチは慶悟と拳人。2シャドウは右に洋次郎左に永井。1トップは遼一です。

広島はひさひざに勝利した前節を踏襲します。シフトは4-2-3-1。GKは卓人。CBは千葉と水本。SBは右にむっくん左に壮也。ボランチは青山と稲垣。WGは右にフェリペ・シウバ左に柏。トップ下は晃誠。1トップはアンデルソン・ロペスです。

ヨンソンさんの広島はこれが初見です。話に聞く限り、守備的なリトリートスタイルで、ポイチ広島とは大きく異なると想像していました。でも実際に見る広島は、ポイチサッカーを色濃く残しています。

4+4の2ラインを敷きますから以前よりもオーソドックスな守備スタイルとなっています。守りかたの基本プランもオーソドックスで、高い位置でターンオーバーするチャンスでない限り、基本的にファアチェックはしません。なのでトランジションポイントは主に中盤です。守備そのものの強度は、ポイチ広島の全盛期の5+4の安定感に比べてみれば、まだまだ完成にはいたっていないように感じます。

むしろヨンソンさんの改革は攻撃にあるのではないかと思います。その改革は、ポイチサッカーの延長線上にあります。ポイチサッカーの代名詞はシャドウのつるべの動きです。つまりシャドウを基点としてアタッカー陣を縦横に動かすことでチャンスを生み出していました。ヨンソンさんも二列目を基点とすることは変わりありません。その意味で、ポイチサッカーを踏襲しています。

広島はフェリペと柏にボールを集めます。フェリペもしくは柏に入ると、広島は攻撃モードに移ります。一般に守備的なチームは人数をかけるよりもスピードを重視するイメージがあります。でも広島のアプローチは違います。中盤から青山もしくは稲垣が前線に顔を出し、チャンスメークに加わります。さらに壮也とむっくんも高く位置取りますから、攻撃に人数をかけることができます。

攻撃パターンはサイドアタック基調です。どちらかというと壮也はカットイン、むっくんはクロスをフィニッシュパターンとしているようです。攻撃方法自体はオーソドックスですから、けして守りにくくはないように感じます。アクセントをつけるのはWGのポジションチェンジです。フェリペと柏は頻繁にポジションを入れ替えます。ともにボールを持ててトリッキーな突破もできますからテイストは変わらないように思えます。でもたぶん、現場レベルでは、微妙なリズムの違いがあるのでしょう。それが対峙するDFに脅威を与えているのだと思います。

もうひとつポイチサッカーの残像を感じるのは、卓越したパスワークです。広島は、ひとり一人のテクニックに加えてパスミスも少なく、チームとして安定感のあるボールキープ力を持っています。これがアタッキングサードでの落ち着きをもたらしているのだと思います。あらためて、とても基本的なことですけど、ボール扱いの上手さが強いチームを作る基本なのだと実感しました。これがある限り、ことしはうまくいかなかったけど、広島はかならず復活するなと思いました。

ようするに、東京に欠けることは唯一、個人のボールを扱う技術です。繰り返しますけど、守備的と言われる広島をして、今日は攻撃加重たらしめたのは、東京の技術の低さによるものだと思います。もちろん今日の結果次第でJ1残留を得る広島が、いくぶん攻撃的に望んだのかもしれません。それにしてもその望みが叶うかはサッカーの相対性のバランスに依存します。ようするに広島の技術が高く、東京が低かったのです。

嘉人の個人的なタクティクスとテクニックが安間東京のポゼッションの屋台骨でした。嘉人との相性で他のメンバーの選択と配置を決めたのだと思います。その嘉人が理由はわからないけど不在ですから、いかに洋次郎で補完しようにもとても嘉人のサッカーを再現することは叶いません。

というわけで、ロングボールの応酬による主導権争いの後は、広島にイニシアチブが渡ります。ただし、ていうかむしろ、広島にイニシアチブを渡したあとのほうが今日の東京はリズムが良かったと思います。永井と遼一を走らせる、裏を狙う作戦に徹底することができましたから。結果として洋次郎が消えてしまいますけど、それは、アイロニーを込めて言うと選択の綾というもの。

こうして広島が攻め東京が受ける構図ができあがります。もしこのかたちが東京というチームの血脈にとってナチュラルなのであれば、この二年間の取り組みは大いなる無駄だといえます。もとい、勉強の時間でした。スタッフや選手の編成の選択基準を誤っていたのだとしたら、根底から考えを見直すべきかもしれませんね。

広島の攻撃は往時を彷彿とさせる迫力があります。ただしペナルティエリア前までは。クロスやドリブルなどでゴールの可能性を感じさせることはあってもそこまでです。攻撃にひと手間かけすぎかなと思いました。以前はもっと、シュートに至るまでのリズムが良かったと思いますし、ミドルを含めシュートアテンプトが多かったと思います。

そこで、東京守備陣ががんばっていたかというと、もちろんそうなのでしょう。球際でしのぎを削るモチベーションがおこるシリアスな状況ではないので、通常の守備プランをこなすことで十分広島をいなせていたといったほうが実際に近いだろうと思います。前半はスコアレスで折り返すかなとやんわり思っていた矢先、先制を許します。

45分。アタッキングサードにかかったあたりの右ライン際。青山からパスを受けたむっくんが寄ってきたフェリペに渡します。フェリペはターンしてルックアップ。ペナルティエリア外であり、東京守備網が中央に絞っていましたけど、フェリペにはコースが見えたのでしょう。思い切り左足を振り抜きます。このシュートが偶然前方にいた晃誠にあたりコースが変わりました。広島1-0東京。

アンラッキーなゴールでしたけど、前半は時間がなく。このままビハインドで終了。

後半は、前半と180度変わって東京が攻勢に出ます。東京がアグレッシブな作戦に切り替えたともとれますけど、たぶん広島がリトリートしたのでしょう。リードしたことで試合を落ち着かせようとしたのだと思います。このモードのほうが攻撃においても合理性がありそうな気がします。ロペスはロングフィードのターゲットマンになれますし、うしろにはカウンターの申し子パトリックが控えていますから。

ところが、広島の意に反し、東京が追いつきます。セットプレーなるも、アタッキングサードに入れていたからこそのゴールだと思います。このあたりの締めのゆるさが今年の広島を象徴しているのかもしれませんね。

59分。東京はニアに永井とカズを置いて、遼一、拳人、山田、まるの主力をファアにかためます。広島はゾーンとマンマークのハイブリッド。永井にむっくん、カズに青山、遼一に千葉、拳人に壮也。山田に水本、まるに稲垣です。宏介のモーションと同時に永井とカズがニアに飛び込み、広島の守備を分散させます。そのうえでファアでは、遼一をスクリーンに、内側から拳人、外側から山田がゴール前に飛び込みます。このトリックに広島が後手を踏み、かつ局面が1on1になります。宏介はど真ん中めがけてクロスを送ります。そこにいたのは水本を従えた山田でした。山田はJ1初ゴール。広島1-1東京。

ひと息つけた東京ですけど、このことで広島がふたたび攻撃モードに移ります。試合がにわかにオープンファイトの様相を呈するようになります。どつきあいでどちらに部があるかは、序盤の主導権争いで検証済みです。そしてさっそく突き放されます。

66分。カズのクリアボールを千葉が自陣で拾ったところから。千葉からパスを受けた青山が長めの縦パスを中央に通します。フリーの晃誠に渡り、アタッキングサードに入ります。このパスで、晃誠に山田、慶悟、拳人がつられます。このため東京の右サイドにスペースができます。ここに稲垣が上がり、左ワイドにはるフェリペと組み、室屋にとって1on2の数的不利。晃誠は稲垣に渡します。一瞬ためて時間を作った稲垣は、上がってきたフェリペにスルーを送ります。フェリペはルックアップ。ペナルティエリアにロペス、晃誠、柏がいますけど、東京も5枚戻っていてスペースがありません。そこでフェリペはフリーの稲垣に戻します。トラップした稲垣は最初からシュートを選択していたのでしょう。思い切りよく右足を振り抜きました。ゴラッソ。広島2-1東京。

ただ、なんとなくうれしかったです。2017東京の息の根を止めたのが稲垣でしたから。昨年も東京戦でゴールしてますから相性がいいのかもしれません。2017シーズンの締めくくりに試合にからんで活躍できるようになったようです。むっくんや廣長とともに頑張ってほしいと思います。

リードされたことをうけ、安間さんが動きます。永井に代えて建英を同じく左シャドウに投入します。建英J1デビューです。ドリブルインからのシュートなど、かたちを見せていました。なにより、客観的に見ていても建英のすがたが目につきましたから、ポジショニングがいいのだと思います。初ゴールはU-18でもJ3でも鮮烈だったようなので、近い将来J1でもかっこいいゴールを決めてくれるでしょう。

さらに安間さんが動きます。カズに代えてインスを投入します。同時にシフトを4-1-4-1に変更します。室屋と宏介がSBに下がります。アンカーは拳人。慶悟がシャドウに上がります。インスは左WG。右には建英が入ります。インスも建英も中央に絞っていましたからWGというよりか3トップに近かったかもしれません。今年はもうシステムに興味がないので意図を探る気もありません。願わくば来年は安定した闘いかたをみせてくれますように。

ヨンソンさんがようやく動きます。晃誠に代えてカズをボランチに投入します。稲垣がトップ下に回ります。ヨンソン広島のクローザーとなっていたカズが1ヶ月あまりぶりに復帰です。

最終盤に安間さんが動きます。慶悟に代えて梶山を同じくシャドウに投入します。意図はよくわからないけど、チャンスメークに比重を置いたのかもしれません。

同時にヨンソンさんが動きます。〆にかかります。柏に代えて茶島を右WGに投入します。フェリペが左に回ります。柏のコンディションを考慮するとともに、攻守に活力をもたらしたかったのだと思います。

ヨンソンさんのクロージングがはまり、このまま試合終了。広島2-1東京。

来年を示唆する何かが試合前にあったような、それでいて試合内容には示唆が何もないような、そんな試合でした。とりあえず、他人事なれど広島が残留してけれてよかったです。来年のJ1は総合的にクオリティが下がりそうですから、1チームでもJ1レベルのチームが残って欲しかったので。

ある意味、語るべきものが何もなかったのでスッキリしました。これでなにも迷うことなく最終戦に臨むことができます。

来週末は、あたたかな愛にあふれる日を迎えます。