ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第14節清水エスパルスvsFC東京@アイスタ20170604

2017-06-05 23:12:15 | FC東京

爽やかな好天に恵まれた6月最初の日曜日。いかがお過ごしでしたか?

ひよっこロケ地巡りの流れから、本日はひさしぶりの日本平。帰ってきた清水です。You'll Never Walk Alone♪

スタイル変更の過程で攻撃が機能しないなか、値千金の嘉人の2ゴールで勝ち点3をゲットしました。

東京は前節のテスト結果をうけて、幾分もとに戻します。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとカズ。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎と拳人。メイヤは右に慶悟左に翔哉。2トップは遼一と嘉人です。

清水はミッドウィークのYLCで今年ホーム初勝利をあげました。でも代償もあります。テセが脳しんとうで一時離脱。なのでアジャストが必要です。今日のシフトは4-4-2。GKは六反。CBは今日は角田と村松。SBは右に鎌田左に松原。ボランチは六平と竹内。メイヤは右に枝村左に白崎。2トップはチアゴ・アウベスとミッチェル・デュークです。

清水は、日替わりオーダーになっているCBに比べると中盤から前、それからサイドの布陣はほぼ固定されています。これは、一般的な小林さんのサッカーのイメージに反し、今の清水が攻撃重視であり、かつある程度の到達点にあることを示していると思います。それを証明するように、今日の清水は、テセ不在を感じさせないほど、好調な滑り出しを見せます。テセが最前線にはるかたちを見たことがないので、クオリティの違いは分かりませんけど、少なくとも今日のセットは機能していました。

清水の攻撃の特長は二つ。基本的に清水の攻撃はカウンター志向です。なのでポストはタメを作るためではなく、攻撃を加速させるスイッチです。チアゴにしろデュークにしろ、ポストをシンプルに落とします。ポイントは、ポストのそばにアタッカーを置くこと。この連携が機能して、序盤の清水は縦への推進力を生み出すことに成功しました。

清水の攻撃パターンは左加重のサイドアタックです。松原の攻撃力を活かす作戦だと思います。清水は比較的サイズのあるSBを好むチームで、松原もその伝統に沿います。松原のおもしろさはゴリゴリとした強引なドリブルアタックができること。華麗さはありませんけどパワーを感じるドリブルは、慶悟と室屋に守備を意識させるのに十分です。これにデュークが絡みサイドを厚くするとともに、シュート力のある白崎を中央に位置取らせることができます。

清水はサイドを制圧するためにSBを高い位置に配します。そのためにCBが開きます。そこに六平が入って攻撃をオーガナイズします。東京もポゼッションスタイルの場合に3バックのようなかたちになりますので、似た志向を持っているのかもしれません。

清水の、ワンタッチの連鎖でアタッキングサードにはやく入り、その先はパワフルな押し相撲でゴールに迫る迫力のある攻撃は、東京を守備加重に専心させます。ただ、その先が今日の清水にはありません。テセ不在の影響は、シュートアテンプトにもっとも顕著に現れます。と、それもあるのですけど、東京の清水対策も機能します。今日はあえてモリゲを左に持ってきます。カズと組んだからでもあるのですけと、清水のエースチアゴを止める意図だったと思います。結局チアゴは流れのなかでほとんどシュートを打てませんでした。チアゴの大好物である、右サイドからカットインするスペースも、一度だけフリーで前を向かせましたけど、室屋の寄せもタイトで事無きを得ました。

加えて、チアゴがプレースキッカーを担うことも、結果的に今日は、セットプレーの威力を削ぐ原因になっていたと思います。その意味では、東京の地味なれど効果的な守備の作戦と、清水の事情があいまって、東京にアドバンテージがありました。ちょっと不思議だったのはセットプレーでモリゲがカウンター対策を担い、カバーを二枚にしていたことです。モリゲの状態もあるのかもしれないけど、ここでもチアゴを中心とした清水のカウンターを予防する意図だった気がします。

清水がイニシアチブを握るなか、20分にアクシデントが起こります。白崎がコンタクトで負傷して下がります。代わって北川がトップに入ります。デュークが左メイヤに回ります。しばらくの間は清水の勢いが保たれますけど、このアクシデントが流れを変えます。

とても不可解なのは清水がフルリトリートしたこと。きっかけは、室屋のアーリークロスが、この試合初めてゴールの香りを漂わせたことでした。清水がビビったということではないと思います。ファーストアタックで先制できなかったので、ペースダウンしただけなのかもしれません。

東京は、守備はさておき攻撃に苦労します。東京も左加重です。翔哉にボールを集めてアタッキングサードの壁を突破させる作戦です。でも枝村と六平と鎌田が作る網はタイトかつ強力で、翔哉は蜘蛛の糸に囚われたような窮屈なプレーになっていました。

ところが、白崎の交代、清水のリトリートと時を同じくして、東京も攻撃プランをマイナーチェンジします。バイタルエリアとボランチの間で縦に少し大きめのワンタッチパス交換でダイナミックに展開するようになります。これを実現するためのアジャストは、嘉人が下がってポストを受けはじめることと、中央が起点になること。これにより室屋と宏介の位置が高くなります。このため清水も鎌田と松原に守備の意識を持たせる必要が出てきます。これは翔哉がフリーでプレーできる機会を生み出しました。

以降は、東京がイニシアチブを取る展開になり、結局最後までそれは続きます。前半はスコアレスのまま終了。

イニシアチブを握りながらも、アタッキングサードから先で有効な攻撃ができないのは、ショートパスを連携させるために不可欠なコンビネーションがまだできてきないためです。とくに最終局面を生み出すパスが通りません。これは少しばかりの進歩を示しています。前節まではアタッキングサードを打開する組み立ての段階でパスミスをしていたのですけど、今日はチャレンジの失敗です。清水がリトリートしたことも影響しているのだけど、少なくとも攻撃ルートは、パスを供給する側は見えていたのだと思います。受け手と意識が合うようになり、それがチームとして確立できれば、パターン化した攻撃で満足しているチームより遥かに強力な攻撃力を身につけることができます。

さて、篠田さんが動きます。遼一に代えてウタカをトップに投入します。遼一のコンディションを考慮したのだと思います。やはり遼一が入ったほうがポストが安定しますね。

ただ、このあたりから嘉人がいらだちを見せはじめます。意図と異なる選択を後方がしたときにあからさまに不満を見せるようになります。まったくおもしろい個性だなと思いました。それでもチャンスの香りが立つとにわかに元気になるのですから、嗅覚と切り替えのはやさは嘉人ならではなのでしょう。そして、先制ゴールをこの男が叩き出します。

68分。チアゴの左FKが低い弾道となり、ウタカがカット。そのまま前方の翔哉に渡します。自陣で受けた翔哉がドリブルをはじめます。カウンターが発動されました。このとき前方では、嘉人が全力スプリントをはじめています。これを見た翔哉は自陣からロングスルーを送ります。マークに来たチアゴと競る嘉人は、一瞬はやく追いつき、右足でチアゴの背後に落とす絶妙トラップ。ハイスピードのなかでの驚愕ボールコントロールです。抜け出した嘉人は、ペナルティエリアに入って、大きく右足を振り上げながら六反との間合いを図って、ゴール右隅に流し込みました。清水0-1東京。

皮肉なことに、ゴールはやっぱりカウンターでした。今日は清水がリトリートしたことによる必然のポゼッションだったのかもしれないけど、結局ゴールの可能性が高いのはカウンターなんですね。

これを受け、小林さんが動きます。枝村に代えて村田を同じく右メイヤに投入します。バランサーからアタッカーへの変更です。攻撃のバランスを左加重から右加重に変える意図だと思います。さらにチアゴを最前線に添えて、シュートアテンプトを増やそうとしたのでしょう。これが機能して右奥深くに村田が何度か進入し、チャンスメークしてました。

ゴールに迫りながらもゲットまでには至らず、小林さんが動きます。六平に代えて長谷川をトップに投入します。北川がボランチに下がります。サイドでかたちが作れるようになったので、前線に高さを加える意図だと思います。

リーグ戦でいまだ今年勝利のない清水は、ゴールへの意欲を見せます。その清水が前加重になったところで、ふたたびエースが魅せます。

84分。慶悟が自陣で奪ったボールを引き継いだウタカと洋次郎が、清水のコンタクトを受けながら粘って、ボールをホールド。右サイドでボールを動かしながら細かなスペースメイクでリズムを作り、清水を自陣に押し込めます。そして洋次郎の慶悟への縦パスで攻撃スイッチを押します。嘉人のスルーから左に展開して、受けた翔哉の落としをウタカがダイレクトでシュートしますけど、これは清水守備網にかかります。跳ね返ったボールを拾った慶悟は、フリーでターン。ルックアップした先のゴール前には、翔哉へのスルーから姿を消していた嘉人が、にわかにファアから走り込んでいました。この時ゴール正面にいた室屋がファアに流れ、松原がマークにつきます。これでゴール前がぽっかり空きます。慶悟と嘉人はこれを見逃しませんでした。慶悟は嘉人にクロス。嘉人は脅威のバックヘッドでゴールにたたき込みました。スーペルゴラッソ。清水0-2東京。

もしかしたら、篠田東京が目指す攻撃の理想形を垣間見られたかもしれません。嘉人の嗅覚もさることながら、一連の攻撃に起点から終点まで絡んだ慶悟の、地味だけどプレー範囲の広さにも感嘆の想いです。

篠田さんが試合を落ち着かせます。あの男がJ1の舞台に帰ってきました。翔哉に代えてヨネをボランチに投入します。拳人が左メイヤに回ります。ヨネの約一年ぶりのJ1リーグ復帰の場にふさわしい、緊張感のあるクローザーです。

嘉人すらも、いや嘉人だからこそなのかもしれないけど、追加点が入ってからは試合をコントロールする姿勢を見せます。積極的なアタックを仕掛ける室屋に対し、嘉人と洋次郎が落ち着くようにさとしてました。そして篠田さんが〆にかかります。慶悟に代えて永井を同じく右メイヤに投入します。永井の運動量で清水の攻撃の芽をつみ、試合を落ち着かせる意図だと思います。

意図通りに、このまま試合終了。清水0-2東京。眠らない街♪嘉人のシュワッチ

チアゴを封じきった守備の安定がひかりました。一方で、攻撃プランはまだまだ形成過程で、今日も、2点目のシーンなど良いかたちはありましたけど、全体的には苦労しました。それでも前進の予感はします。苦しみながらも勝利を得られたことは、攻撃プランの完成に向けて、貴重な時間を得られたのだと思います。

拳人が戻って、中盤に攻守の安定感を取り戻した印象です。拳人は怪我の度に成長してきます。ヨネも実戦に復帰したし、中盤の層が一気に厚くなりました。もう試す時期ではないので、今日のセットを維持するのが最善だと思いますけど、バックアップが揃ってきたのは頼もしい限りです。

ワールドカップ予選の都合で二週間のお休み。今日掴んだ攻撃のかたちをしっかり具体的に落とし込んでほしいです。