ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015ACLグループステージ第4節浦和レッズvs北京国安@埼スタ20150408

2015-04-09 18:32:59 | サッカー

4月というのに突然の寒波で、極寒のミッドウィークでございます。

よりによってその日にマッチデー(^^;;。ACLとヤマザキナビスコカップです。今日は今年初のACL観戦です。浦和と北京国安の試合。

本日のPRIDE OF URAWA♪

ホントは加賀さんに会いに来たのですけど、永田のみっちゃんが戻るとやっぱりベンチにすら入りにくくなりました。

3連敗で後がない浦和がセットプレーから先制を許して苦しい展開にしてしまい、数的優位も活かせず槙野のヘッドで追いつくにとどまりました。ベスト16進出に向けて、首の皮一枚になりました。

浦和はターンオーバーです。ACLはがけっぷちですけどリーグ戦では首位ですから、リーグ戦を重視したということでしょうか。シフトはおなじみミシャの3-4-2-1。GKは西川。3CBは右から森脇、那須、槙野。今日のボランチは陽介と青木。今日のWBは右に平忠左に和。今日の2シャドウは右に石原左に武藤。1トップは忠成。

北京国安のシフトは、オーソドックスなスクエアの4-4-2です。布陣は省略。試合の流れに関係あるところを一つだけ言うと北京もターンオーバーで、ダムヤノビッチとパブロ・バタージャはベンチスタートでした。

浦和は、布陣を変えましたけど、やり方は普段通りで臨みます。結果的にはこれが裏目に出ます。ターンオーバーしたところとしなかったところで残酷なくらいギャップができてしまいました。浦和の特長は言うまでもなくサイドです。WBを最前線まで上げて攻撃に人数をかけます。これを実現するために、森脇と槙野がワイドに開き、攻撃の組み立てに積極的に加わります。これを成し得るのはセーフティネットがあってこそ。浦和のそれは、ボランチです。普段の布陣では勇樹がセーフティネットを担います。もはやおなじみですけど、勇樹はポジティブトランジションの際、那須と並ぶ位置に下がります。さらに森脇がバランスを取るので、いちおう3バックの状態を保ちます。もちろんそれでもリスクを伴います。でもこれはポジティブなリスクテイクの範疇に入ります。3バックでも守り切れるのは、とくに勇樹のカバーリング能力に負う比率が非常に高いのです。今日は、図らずもそれを顕著に示してしまいました。

槙野は普段通り積極的に前に出ます。槙野の好きなタイミングは、高い位置でフォアチェックをしかけ、トランジションからそのまま前線に飛び出す流れです。自分の背後をチームメイトがカバーしていることを前提とした積極性ですけど、今日はそのカバーが中途半端でした。結果的に槙野の蛮勇に見えてしまうことになります。

つまり、今日の浦和の問題は、守備面ではボランチにありました。とくに前半は、勇樹的なポジション取りをする選手がいませんでした。つまり、陽介と青木の役割分担があいまいでした。見た感じでは、青木が陽介の動きを気にし過ぎてバランスを取ろうとした結果、青木も動き過ぎてしまった印象です。キャラクター的には、サイズがあってフィードもできる青木がカバー役になるべきだったろうと思います。

マンサーノさんのチームは、基本的にはとてもオーソドックスです。むしろ、だからこそ作戦の自由度に幅ができているような気がします。北京はターンオーバーしてもクオリティの低さを感じませんでした。突出したプレーは無いけど、それなりに形にできる選手が揃っているのでしょう。なのでマンサーノさんのゲームプランは明確で、アウェイの地でまずは首位をキープするミニマムな勝ち点を狙いました。

マンサーノさんも浦和の特異な、ようするに奇妙なサッカーをスカウティングしていたと思います。北京の狙いはオーソドックスかつシンプル。槙野の背後をひたすら狙い続けます。北京のビルドアップはこれまたオーソドックスです。局地戦を可能な限り避け、ワンタッチショートパスでマークをかわしながら、守備網がボールサイドに寄るとサイドチェンジ。これを繰り返します。右サイドアタックのパターンは二つ。多用していたのは、シャオ・ジアイーが槙野もしくは槙野をフォローして左にずれた那須を背負ってポストに入る形です。パスを受けながらワンプッシュして守備ラインを下げます。そのタイミングで、エルトン・フェイズラフ、ソン・ボーシュアンが傍を抜けて一気に裏に出ます。もうひとつは、ダイレクトのロングフィードを槙野の背後に送り、そこにアタッカーを走らせます。フィニッシュの形は、基本的にクロスの折り返しだけです。

北京の守備も、少なくとも序盤はオーソドックスでした。2トップがボールホルダーをチェイスするところから始まる守備は、4+4の2ラインをコンパクトに維持し、最終ラインの位置も高めです。中盤でのトランジションを狙ったコレクティブな守備をします。

浦和は攻撃時に4-1-5という個性的なシフトを作ります。中盤のプレッシングを無力化する効果がありますけど、一歩間違うと大きなリスクになります。この作戦は、高いポゼッションを維持し続けることが前提になります。今日は北京がサイドを基点にボールを保持していたことと、浦和が前線で基点を作れなかったことで、その前提が狂います。なので、ポゼッションの起点でトランジションを受けるシーンが頻繁に起こります。危険なショートカウンターを何度か受けました。正直、北京アタッカーのシュート力の低さに助けられました。

もう一つの浦和の問題は、3人のアタッカーです。浦和と広島は良く似た戦いかたですけど、攻撃はテイストが異なります。広島は寿人の特質を活かした、どちらかというとオープンな攻撃ですけど、浦和はショートパスの連鎖で崩していく、よりタイトな攻撃を旨とします。これはアタッカーのアイデアの共有で具現するやり方ですから、組み合わせと練度、ようするにコンビネーションの確立が生命線です。残念ながら今日のセットは、イメージの共有がまったくできてませんでした。パスが少しずつズレていました。浦和の意に反しがっぷり四つになった展開は、北京の思惑通りに進みます。セットプレーから先制点が生まれます。

33分。北京の右CK。北京はセットプレーでも人数をかけません。ペナルティエリアには4人だけ。浦和の対応は完全マンマークです。ニアに至っては4on2の数的優位を作っています。ソン・ボーシュアンが狙ったのはニアのシュ・ユンロン。マーカーは和です。和はシュ・ユンロンの左手にブロックされてクロスのコースに入れません。シュ・ユンロンがなんとなく飛ぶともなくジャンプして、なんとなく頭に触ったボールが、ボールウォッチャーになっていた忠成をスクリーンに使って、スルスルっとゴールエリアに入ってきたユー・ダーバオの伸ばした左足に合いました。浦和0-1北京。

ちょっと事故感がありますけど、細かい技術的なミスと集中の欠如が招いた、回避可能な失点だと思います。

さて、理想的な展開に持ち込めた北京は、ここからオーソドックスを脱ぎ去り、結果優先の現実的な選択をします。なんと6バックに移行します。6-2-2です。当然フォアチェックから始まるコレクティブな守備など出来ようはずがなく、完全にリトリートします。ミシャが恐らく忌み嫌う、美しさのカケラもないスーパー功利主義なサッカーです。でも、その潔さに納得感がありました。いまJ1で、守備を発想の起源にしていて、かつ試合中のシフト変更を当たり前にこなせるのは東京くらいだと思います。もしかすると我々日本人は、美しさの追求を、日本人たるために精神上の不可欠な要素としているのかもしれませんね。監督にしろ選手にしろ、日本人もしくは日本的な美学に共感できる外国人を、知らず知らず求めているのかもしれません。およそJリーグで、どんなにそれがクリティカルな状況であったとしても、6バックなんてカッコ悪いシフトは採用しないでしょうし、採用したとしても良い結果は得られないと思います。

当然、以降は浦和が押し込み、弾き返したイーブンボールを北京が拾ってアタッカー二人でロングカウンターを仕掛ける展開が延々続きます。前半は北京リードのまま終了。

後半頭からミシャが動きます。平忠に代えて関根を入れます。関根は今浦和のアタッカーのなかで一番活きがいいですから、縦へのアグレッシブネスだけではなく、チームを勢いつけたかったのかもしれません。

それでも試合が動かないのでミシャがさらに動きます。今度は左サイドです。和に代えてなんと俊幸をWBで投入します。経験あるのかしら?(^^;;。浦和のWBはとても個性的なタスクを担います。守備時は最終ラインに入り、攻撃では最前列に並びます。とくに攻撃でアジリティの高さとクロスの精度を求められます。浦和のアタッカーが代々、比較的小柄でハイレスポンスな選手だった理由はそんなところにあるのかもしれません。今日の平忠と和は、北京の守備陣が絞るのでアタッキングサードでフリーになるシーンが頻繁にありました。言い換えると中央がタイトだということです。ミシャはクロッサーではなく、前三枚がつぶれたこぼれを拾う、シャドウ的なプレーが活きると感じたのかもしれません。

同時にマンサーノさんが動きます。ずっとポスト役を務めていたシャオ・ジアイーに代えて、ダムヤノビッチを投入します。追加点を狙うというより、エースを登場させることで、攻撃モードで雰囲気がポジティブになった浦和に守備をチラチラ意識させようとしたのだと思います。

続いてミシャが最後のカードを切ります。石原に代えて勇樹を左CBに入れます。槙野が左WB、俊幸は左シャドウにスライドします。ミシャの攻撃好きを現している作戦だと思います。けど、順番は逆だったかなと思います。まず勇樹を入れて槙野の背後をケアし、守備のバランスを修正してから、アタッカーをリフレッシュすべきだったように思います。直後にようやくようやく同点ゴールが生まれます。

74分。俊幸の右CK。北京はゾーンとマンマークのハイブリッドです。この辺りもオーソドックス。浦和はペナルティエリア中央に勇樹、槙野、忠成、青木、那須が密集を作ります。ニアには陽介がいます。俊幸のキックモーションと同時に勇樹がニアに飛び込みます。これに勇樹のマーカーがつられます。その背後に、勇樹をスクリーンにして槙野が飛び込みます。この動きには北京守備陣は誰も反応できません。俊幸はロブ気味のクロスを上げます。動き出しのタイミングで優位に立った槙野は、誰よりもベストタイミングで俊幸のクロスに合わせました。浦和1-1北京。

これを受け、マンサーノさんが動きます。ジャン・シャオビンに代えてバタージャを投入します。勝ちにいこうとしたというよりは、守備加重を維持しつつカウンターの精度と威力を高める意図だと思います。あくまでも勝ち点1のために。

ところがさしものもマンサーノさんも予見していなかった事件が起こります。ずっと忠成とタイトにコンタクトし合っていたラン・ジョンが、忠成を突き飛ばして退場します。正直こういうところは、良い悪いではなくらしいなと思います。価値観の大きな差異というか。まだ残り10分以上あるなかで、浦和は絶好のシチュエーションを手に入れます。以降は、那須を前線にはりつけパワープレーに入ります。浦和が猛攻を仕掛けますけど、スターターCBを一枚失っても、やっぱりペナルティエリアの北京は堅かったです。

アディショナルタイムに入って、守るしかない北京は守備をかためにきます。ソン・ボーシュアンに代わってリー・ユンチウを投入して守備網を整えます。長い長い4分間だったでしょう。

浦和にとっては、時間の問題だったろうと思いますけど、その時間が足りませんでした。このまま試合終了。浦和1-1北京。

浦和は今大会ようやく勝ち点を得ましたけど、非常に厳しい状況です。水原とブリスベンに連勝することが最低条件です。

ミシャとグレゴリオ・マンサーノ。図らずも、鮮明にその差異が浮き上がった、ロマンチストとリアリストの激突を目撃しました。良し悪しは主観でしかないので述べませんけど、現実に残ったことは北京の勝ち点10と浦和の1です。北京はオーソドックスを成し得るディシプリンとそれなりの技術、最後に見せた人間性しか印象がなく、あまり強さを感じませんでした。もしも浦和が、コンビネーションが確立されたベストメンバーで臨んでいたら、結果がどうなったのか興味深いです。

とは言え、個人的には加賀さんを観に来たので今日は目的を達成できませんでした。いつか加賀さんが必要とされる日が来ると思いますけど、そこに立ち会えると素敵だなと思います。5547


最新の画像もっと見る

コメントを投稿