ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第24節横浜F・マリノスvsFC東京@日スタ20170826

2017-08-27 20:59:26 | FC東京

真夏が真夏らしくなかった東京ですから、残暑というのはちょっと寂しいのですけど、ひさしぶりに晴れ間が見えたと思ったら残暑が厳しい日々がやってきました。

開催期末ギリギリでトーハクのタイ展に行ってまいりました。微笑みのくにの微笑みの仏像に癒されました。ウォーキングブッダの演出が素敵でした。

上野から一本で行けるようになった横浜。本日はJリーグ屈指の伝統の地味対決、マリノス戦です。

今年も例年にもれず判で押したような地味試合は、これまた判で押したような終盤の交代選手の値千金で、どんよりした敗戦です。

東京は室屋が怪我で離脱。さらに翔哉がラストマッチ。代わってやっちがJ1デビューです。シフトは3-3-3-1。GKは彰洋が復帰。3CBは右から徳永、ヒョンス、まる。WBは右にやっち左に今日は諒也。アンカーはサムライブルー選出の洋次郎。IHは拳人とヨネ。トップ下は嘉人。1トップは遼一です。

マリノスはほぼ前節のオーダーを継続します。シフトは4-2-3-1。GKは飯倉。CBはボンバーとミロシュ・デゲネク。SBは右にマツケン左に山中。ボランチは喜田とタカ。WGは右にマルティノス左にまな。トップ下はあまじゅん。今日の1トップは敬真です。

チームには、人と同じように、能動的な性格と受動的な性格の二極のキャラクターがあると思います。東京を想うにつけ、試合ごとに表現が異なることを考えると、東京は少なくとも近年は受動的なチームなのだろうなと思います。川崎と対戦すると川崎の試合らしく、ガンバと対戦するとガンバの試合らしく、札幌と対戦すると札幌の試合らしくなるように見えるのはこの性格ゆえでしょう。ジンクスが多いチームカラーで、毎年中位を定位置とするのは、もしかするとこのような性格の現れかもしれません。さて、数多あるJリーグのクラブのなかで、ひと際能動的なチームは、8月に入って四試合連続無失点中のマリノスでしょう。

サポーターと、スポンサーに対してビジネスとして向き合うクラブにとって、サッカーには永遠のジレンマがあります。面白いチームを作るか勝てるチームを作るか。もちろん川崎やセレッソのように両立することもできますし、目標としては、鹿島のような例外を除くと両立を目指すチームが大勢だろうなと思います。例外のもうひとつが、伝統のマリノス。面白いチームというのは主観的なとてもあいまいなものです。たとえば鹿島のサポは、おそらく鹿島の試合をおもしろいと感じていることでしょう。それはワクワクするエッセンスがあるから。客観的にも鹿島のサッカーにワクワクを感じる場面がとても多くあります。一方で、マリノスは如何。

現在のマリノスは、ワクワクを封じられている印象があります。マリノスは十分にワクワクの要素を内在するチームです。象徴がまなとマルティノス。まなのドリブルフォームと、マルティノスの躍動するスピード感は、ゴールへの道筋を示す羅津になります。でも今は、このマリノスの誇る両矢を封じられていますから、コンサバティブな闘いからを選択せざるをえない状況なのでしょう。

今年のマリノスには、強いマリノスのDNAを受け継ぐ選手が少なくなりました。それでもなお、チームとして勝ちにこだわる闘いかたを実行し、かつ13戦無敗という結果を残しているのですから、DNAは選手ではなくチームに宿っているのではないかと思えます。タカやマツケン、山中、デゲネクのプレーを見ていると、アルゼンチン志向だった草創期のマリノスのすがたを彷彿とさせる上手さと強度を感じます。

今年のJリーグには、個人的におどろきを感じる復活がいくつかあります。以前お話ししたように、山村や健勇、浩之です。そのなかのひとりにタカがいます。くしくも大阪に関わる選手が並んでいますけど、これはたぶん偶然。タカは様々なチームを流れた結果マリノスに辿りついた漂流者です。ようやくマリノスで地位を得たのは、マリノスケというブラザーがいた縁もあると思いますけど、マリノスが伝統的に持つスタンダードを受け入れたことが、遅咲きの花をようやく開花させた理由なのだろうなと思います。

タカを含む喜田とあまじゅんで構成する中盤の三角形は、ちょうど洋次郎、拳人、ヨネの逆三角形と相四つで組むことになります。それゆえ、中盤の攻防が試合の趨勢を握るクリッピングポイントになります。マリノスの守備の堅さは、まずは中盤のコンセントレーションにあると思います。中町が入っても同じですけど、マリノスの中盤は、各選手の守備範囲が広く、かつコンタクトが強いのが特長です。それでいて粗さのようなものはなく、全般的に守備が上手い印象があります。これがマリノスの試合を観ていて、当たりが激しいのだけどけして危険ではなく、安心して観ていられる理由だろうなと思います。

マリノスは特別な守りかたをしているわけではありません。むしろ、Jのなかでも突出してオーソドックスです。前線からのフォアチェックを基点とした追い込み型の守備プランですから、守備網全体の位置はけして低くはありません。極端にラインの維持にこだわることもありません。なので中盤は、相四つという組み合わせもあって、マンマークに近いかたちをとっていたようです。全体的な印象でも、守備の堅いチームに見られるスペシャルな強度や圧倒的な美しさはほとんど感じません。むしろ13戦無敗、四試合連続無失点が信じられないほど、東京は攻めることができていました。

これはつまり、よく分からないけれど、ようするにボンバーとデゲネクの最終的な両巨頭が凄いとした言いようがないのだろうと思います。それでも、ボンバーとデゲネクを抜いたシーンは、前半に洋次郎が単独突破したビッグチャンスがありました。たった一回のことだけれど、少なくとも100%両CBに封じられたわけでもありませんから、飯倉を含めた守備力なのだろうなと思うとともに、直近13試合のなかにはラックも少なからずあったのだろうなと思います。でも、間違いなく、運も実力のうち、です。

マリノスの攻撃はサイドアタックに偏重しています。攻撃もこれまたオーソドックスかつシンプル。目指すテーマは、いかにサイドで良いかたちを作るか。最終的なクロスの供給はマツケンか山中が担うことが多いです。つまりマルティノスとまながアタッキングサードで時間を作り、SBに渡すタイミングで一気に攻撃をスピードアップすることがマリノスの信条です。クロスはGKとラインの間を通す、高速低空系に威力があり、逆サイドのサイドプレイヤーが飛び込みます。今日はあんまり見られなかったけれど、SBのクロスにSBが合わすようなプレーもあるのだろうと思います。これもマリノスの伝統的なシュートパターン。

まなもマルティノスも、縦への独力突破が今日はほとんどありませんでした。まなに至っては有効なドリブルができたのは後半の数回だけ。おそらくマリノスのは、すでにマルティノスとまなを状況打破の主武器にするプランから、二人を基点、つまり囮にする作戦にアジャストしているのだと思います。俊輔というコンダクターがいなくなりましたから、いっそう基点を上手く使ったシンプルなコンビネーションが重要になっているのでしょう。そこで楽しみにしていたのが、現在のキープレイヤーであるあまじゅん。あまじゅんのトップ下のスタイルは、最近には珍しいいかにもトップ下然としていて、懐かしさとともに新鮮さも感じます。俊輔が広範囲に動くスタイルだったこともあって、対比の妙味があります。あまじゅんは基本的に中央にはります。これはおそらく、左右のアタッカーがほっといても動くので、上手くかつ柔軟に絡めるように中央にどっかりと存在するのでしょう。それから、今年の味スタでの初ゴールできっかけをつかんだのか、ミドルショットも持っています。今日は最終的な仕事を見せる場面がほとんどなかったけど、新生マリノスの方向性を作る、重要なプレイヤーであることは間違いないと思います。

東京は、模索を繰り返してきた新システムの定着期に入っているのかなと思いました。相手によって攻撃的あるいは守備的にモードを可変してきましたけど、浦和戦といい今日のマリノス戦といい、攻守両面具有するスクエアな闘いかたで臨んでいます。ただ、ミッドウィークにルヴァンカップベスト8を控えていることもあり、マリノス戦がタイトなロースコア勝負になることが目に見えていたことも受け、今日はいくぶんコンサバティブでした。IHの位置はスクエアでしたけど、WBが今日は下がり基調です。このため、当然徳永とまるの攻撃参加も限られていました。

J1リーグデビューのやっちはともかく、諒也は攻撃モードと守備モードが分かり易い選手です。ヨネとのイメージ共有がズレている場面の何度かあったので、かならずしもチームとして守備的に闘おうとしていたわけではないのかもしれません。ただ、マリノス対策の基本としてマルティノスのケアに比重をおいていたことは間違いないと思います。

やっちは前半はJ1のクオリティに馴染む時間に費やしていたようです。後半になって、積極的な攻撃参加を見せていました。攻撃におけるやっちのストロングポイントはまだ見せられていなかったと思いますけど、アーリークロスが多かった諒也に比べると、サイド深くをえぐるプレーを好むようです。サイドアタッカーの評価点のひとつは、攻撃参加のタイミングです。攻撃の流れのなかでノッキングを起こさないことが、サイドアタックを機能させる重要なファクターです。今日のやっちは観ていて違和感を感じることがありませんでした。タイミングもさることながら、ポジショニングの良さも持っているのかもしれませんね。

守備的なチームが勝つには、単純だけど一撃必殺の攻撃力が必要です。それは、結局は個の能力に帰結します。マリノスは、まなが封じられている現状では絶対的なエースは存在しません。愚直なるも、最大の武器である高速サイドアタックを繰り返すことで、それでもJ1上位水準を維持するタレントのだれかが決めた1点が試合の結果を導くという闘いかたです。ところで、東京。東京の絶対エースは嘉人です。新システムが機能をしていく過程のなかで気になるのは、嘉人のシュートアテンプトです。トップ下というポジションによるものなのか、完全復帰してまだ間もないコンディションの問題かわからないけど、嘉人のシュート数が減っているのは気になります。逆に嘉人のチャンスメークは増えていて、嘉人のシュート数は遼一や拳人、洋次郎など他の選手のシュート数とトレードオフのようなかたちになっています。相対的に見てそのほうが結果が出る可能性が高いのであれば良いのだけれど、今日の再三のシュートミスを見ると、また編成の悩みに入らないといいなとちょっと心配です。

過去のマリノス戦の流れを考えると、洋次郎のシュートが決まっていたら、勝てないまでも負けはしなかったろうなと思います。前半は例によって押し問答を繰り返すような地味な内容で、スコアレスのまま終了。

後半からちょっと様相が変わります。マルティノスとまなが縦への仕掛けを見せるようになります。これにより、マリノスの攻撃が活性化します。一方、東京もサイドのケアで自重気味だったやっちと諒也が積極的な攻撃参加を見せるようになります。これにより、攻守の切り替えがはやまり、少しだけ試合が躍動してきます。

そこでエリクさんが動きます。敬真に代えてウーゴ・ヴィエイラを同じく1トップに投入します。敬真は攻守とも運動量が豊富で、ポストも安定していたのですけど、肝心の最終局面でシュートに絡むプレーがあまりありませんでした。チームとして縦への仕掛けができるようになったので、シューターを中央に置く意図だと思います。

ところが、これで逆に試合がふたたび落ち着きます。前半と同じように、中盤の攻防を中心にした押し問答がはじまります。そこで篠田さんが動きます。遼一に代えて永井を同じく1トップに投入します。縦に長いボールを入れて、より高い位置で基点を作る意図だと思います。

篠田さんが続けます。ヨネに代えて翔哉を投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。翔哉はトップ下に入ります。嘉人を一枚上げることでシューターを増やす、新システムのアジャストの常套です。ヨネにはまだ出場時間制限があるのだろうと思います。来月以降を考えて慶悟の選択肢もあるなかの翔哉ですから、翔哉を送り出すセレブレーションの意味も、多少なりともあったと思います。

直後にエリクさんが動きます。あまじゅんに代えて直輝を同じくトップ下に投入します。ドリブラーアタッカーを三枚横並びに配すことで、局面打開の可能性を広げる意図だと思います。

両チームの攻撃カードの切り合いによって、あらためて攻守の切り替えがはやい、少しばかりオープンな展開になりました。そして攻め処の探り合いのなか、先制を許します。

83分。洋次郎の縦パスをタカがカットしてそのままウーゴにロングスルーを送ります。これはヒョンスがカット。ヒョンスはセーフティに長いボールをマリノス陣に送ります。これをマツケンが拾って中央のタカに渡します。長めのパスの応酬で東京は守備網のリビルド中。タカはサイドを変えて山中に渡します。山中はドリブルで東京陣に入り、左ライン際のまなに渡します。アタッキングサードに入ります。まなはゆったりしたドリブルでカットインしながら時間を作ります。これを利用してタカが長駆上がります。まなはタカにパス。攻撃スイッチが押され、一気にスピードが上がります。この時ゴール前はウーゴとマルティノスに対し3CBは揃っていて3on2の数的優位。ケアについたやっちと並走したタカは、やっちより先に追いつき、ダイレクトで折り返します。東京最終ラインはタカのスピードアップで下がり基調になっていました。この時、ファアにいたマルティノスがダイアゴナルにゴール前に入ってきて、東京のラインの注意を引き付けます。それに対しウーゴはステイします。結果ウーゴはどフリー。タカのクロスはウーゴにピタリと合いました。マリノス1-0東京。

地味なジャブの打ち合いは一撃で勝敗が決まることが多いマリノス戦ですけど、今年も二戦とも同じような展開になりました。状況を変えたい篠田さんがリスクテイクします。拳人に代えてウタカを投入します。同時にシフトを3-3-2-2に変更します。ウタカは永井と並んでトップ。嘉人と翔哉がシャドウ。1ボランチに洋次郎です。比較的コンサバティブな選択が多い篠田さんにして珍しいリスクテイクです。前線にタレントが並び過ぎて、どういう組み立てをするのか良く見えませんでした。結果的には翔哉を真ん中に置いて前の三人をコントロールするかたちになったけど、むしろリスクが顕在化しなくてよかったと思いました。やっちを下げてウタカないし慶悟という選択が通常でしょうから、スクランブルです。結果的にやっちが経験を積む時間を増やすことができたのは良かったと思います。ただ、来月以降のチーム作りも視野にしてほしかったなと思いました。

攻撃に人数をかける東京に対し、マリノスは受けに回ります。リトリートしてからの安定感がマリノスの真骨頂でしょう。翔哉、嘉人、ウタカが狭いスペースで絡もうとしますけど、一定ライン以上の進出を許しません。そしてエリクさんが〆にかかります。マルティノスに代えて勇蔵を投入します。同時にシフトを3-4-2-1に変更します。勇蔵はリベロ。直輝とまながシャドウに入ります。翔哉、嘉人、ウタカのマッチアップを明確にするとともに、永井のスペースもケアする意図だと思います。

結局、マリノスの壁を越えることなく、最後まで攻め手が見つからないまま試合終了。マリノス1-0東京。

福西、相太、兵藤、慶悟、敬真、あまじゅんなどのスミイチ系譜を継いだのは、ウーゴでした。勝てば内容に関係なくスッキリなのですけど、負けると過行く夏のけだるさが重く、ちょっとサウダージでした。

サウダージといえば、今年は見送ることが多い年ですね。ナオの引退表明から、広貴、そして翔哉。ここ数年、東京を通過点と捉えている選手が編成に加わる機会が増えて、翔哉のような例もそのうちあるだろうなと思っていましたから、特段寂しさは感じません。がんばって活躍してほしいと思います。それよりも、よっちがいたころの、ただ上をのみ見ていたチームを構成していたメンバーが少しずつ、でも確実にチームを去っていくようになって、とっくに向かえているターニングポイントからなかなか抜け出せないことがもどかしいです。今はとにかく嘉人と洋二郎に頼るしかないですから、少しずつでも良いので、選手たちが新しい夢を追えるチームを作っていってほしいと思います。

今年のテーマは、笑顔でナオを送ること。ルヴァンカップは是が非でも欲しいタイトル。晩夏のコンディションが厳しい時期の連戦になりますけど、勝ち抜いてほしいです。


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