ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2019J1リーグ第33節FC東京vs浦和レッズ@味スタ20191130

2019-12-01 19:18:18 | FC東京

月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。

ことさらに長く感じた2019年シーズン。今年の東京を象徴する一字は、「旅」でしょう。

多くの青赤な旅人を生んだ2019年のしめくくりもまた旅。横浜。寅さんのような束の間の帰省は最終章につなぐ過程であり、かつホーム最終戦でもあります。

いろんな人に感謝し感謝されたありがとう溢れる一年でした。最後までワクワクを与え続けてくれた東京の選手、監督コーチ、スタッフに精一杯の感謝を贈ります。

マリノスへの挑戦権を得るための最後の砦は、最大の壁、浦和。You'll Never Walk Alone♪

そしてまたも壁を越えられず。それでもしぶとくドローです。

東京はベストメンバーです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとつよし。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右にたま左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

浦和は少しだけターンオーバー。シフトは3-4-1-2。GKは周作。3CBは右から岩波、大輔、槙野。WBは右にモリ左に山中。CMはカピとエヴェルトン。トップ下は陽介。2トップは慎三とマルティノスです。

前節の経験を活かしたのか浦和越えの念願か、はたまたマリノス挑戦権のためか、東京は様変わりした素晴らしい入りかたをみせます。浦和は比較的スロースターターで、その癖を狙って試合開始からラッシュを仕掛けます。狙いはバイタルエリア。浦和の中盤はオーソドックスな役割ですけど、オリジナルは攻撃特性が高く、ゆえにスタートではバイタルエリアにスペースができ勝ちになるようです。東京は高い集中でそこをつきます。中心はディエゴ。前節は前線に張り気味で苦労したディエゴのポストは、バイタルエリア深くに下がることで安定します。

さらに高い集中力を発揮した部分が二点あります。ひとつはメイヤとSBの連動です。浦和の圧力を凌駕するためにはディエゴのポストを有効にする必要があります。この役割を果たすのがメイヤとSBです。メイヤはディエゴのポストを拾って基点に繋がるだけでなく、アタッキングサードでの基点ともなり、かつフィニッシュにも絡みます。今日は晃太郎ではなくたまをチョイスしました。前節は、ひさしぶりのホームに首位で帰還したので、知らずしらずチームがかかり気味だったのではないかと思います。そこでまずは試合を安定的にスタートするためにバランサーの晃太郎をチョイスしたのでしょう。結果的にキャスティングミスになるのですけど(晃太郎が良くないというわけではありません)、今日はスタートからかまして一気に押し切る作戦のため、たま起用だと思います。

これが見事にはまりました。たまと慶悟のポジションレスは確実に進化しています。仕掛けときにはボールサイドにメイヤが集まります。リスクテイクにはなりますけど数的優位を作る。上手に闘うだけでは浦和の怨念は祓えないという強い意志の現れだと思います。

東京がイニシアチブを握ることができるか否かのバロメーターはSBの位置です。のみならずタイミングが重要。SB、あるいはダイレクトでトップを走らせる、アタッキングサードに送るパスのタイミングが東京の生命線です。健太東京を二年間眺めていると、ファストブレイクのクオリティを高めるキーマンは受け手だと理解しました。出し手、つまりカウンターの起点は受け手のプレー選択に従う傾向にあるようです。これが両エースが交代した後の攻撃のクオリティに直接影響している原因だと思います。今日は、SBをふくめ、タイミングが絶妙でした。浦和が対応に追われるほど、東京は快適なリズムで試合をオーガナイズします。

もうひとつは中盤の支配力です。当然ファストブレイクの起点。強い時期の浦和は局面でボールロストすることはなかったですし、そもそもスモールゾーンの連鎖で局面自体を作らなかったと思います。オーソドックスな闘いかたに移行したことで局面が出現するようになりましたけど、今日はいとも容易に東京にトランジションされるシーンが目立ちました。東京の集中が浦和を凌駕していたのだと思います。

今シーズン随一と言ってもよいクオリティをみせた15分間で浦和を仕留められなかったことが勝ちを逃した主因だと思います。通常の試合ですと有酸素運動モードに入れば済むことなんですけど、焦りとは言わないまでも、なんとなくまた過去の浦和戦を継承してしまうのかという気分になります。これは浦和戦ならではの、意識のなかの負の遺産。

東京のラッシュを受け切ると、浦和に守備のリズムが生まれます。安定は3CBによるディエゴと謙佑の対応と、両WBのハードコンタクトによってもたらされます。このことがやがて東京に悲劇的なアクシデントをもたらすのですけど、東京の高い圧力を受け止めるために浦和が選択した対処が、東京に不利益をもたらすのですから、プレーイングアクシデントとはいえ、残念でなりません。

浦和の攻撃はシンプルなサイドアタック基調です。工夫はサイドチェンジ。WBからWBにダイレクトでパスを送ることで、スペースの優位性を確保する意図です。ここでもう一点かつての浦和とのギャップを感じました。クオリティの高い選手が揃う浦和ですからパス精度の高さはベーシックに持ち合わせるはずなのに、今日はパスミスが目立ちました。それも意思疎通のズレによりミスに見えたミスではなく、単純なコントロールミスです。浦和の問題は案外基本的な部分にあるのかもしれませんね。

アタッカーの構成にも苦労が見られました。慎三が絶対エースであることは変わらないのですけど、以前は能動的に消せていた慎三がビルドアップでも役割を果たしています。これではいかに慎三とはいえ、ゴール前の一瞬のポジショニングで勝負することができません。これもまた、ビルドアップのクオリティ不足が起因しているのでしょう。

そんなわけで浦和にゴールの香りはしなかったのですけど、均衡状態に入ったのでセットプレーが怖いなと感じてました。東京がオーガナイズしていた時間帯で得たセットプレーでも浦和の高さを意識せざるを得なかったし、時間を追うごとに浦和のセットプレーが増えていましたから。そして危惧が現実になります。

39分。陽介の右CK。ショートコーナーにします。陽介からエヴェルトン経由で山中へ。山中はアタッキングサードライン付近からミドルを放ちます。これは彰洋がはじきますけど、こぼれたボールが不運にもマルティノスに渡ります。さらに不運なことに、マルティノスのマーカーは直前に足を痛めたディエゴでした。マルティノスは流し込むだけ。東京0-1浦和。

直後に、失点以上にショッキングな大きなアクシデントが起きます。ディエゴが足を痛めて無念の交代。代わって田川が同じくトップに入ります。

今年の東京は両エースに頼ったままで終わりそうです。フィジカルに任せた単純なカウンターのように評されることが多いけど、実際はとても繊細なタイミングの上に成立している職人芸です。選手を固定していたわけではなくオプションにもチャンスはありましたけど、職人になるには至らず。ビハインドのなか、追いつき追い越すのは正直しんどいなと思いました。夢や希望はいくらでも語れるけど、現実に田川はリーグ戦ノーゴールでしたから。ここまでは。前半はビハインドのまま終了。

後半も浦和のリズムのまま入ります。浦和は慎三を組立てで使う割り切りをしたのでしょう。リードしていましたし、試合を安定させることを優先したのだと思います。慎三がボールに触れる回数が増えるにつれ、ゆるく浦和ペースを維持します。

そして、ふたたび東京をアクシデントが襲います。謙佑が右肩を痛めて下がります。代わってサンホが同じくトップに入ります。これで両エースがともに下がってしまいました。八方塞がり感があったのですけど、ここでサンホが復活してくれます。サンホが独力の仕掛けで浦和守備網をかき回しはじめてくれ、さらにポスト役も安定的にこなしてくれたので、東京はようやく縦の推進力を取り戻します。

試合がイーブンなカウンターの出し合いになってきたので、じれったいなかでもひと筋の光明が見えてきます。そして同点ゴールが生まれます。

69分。たまの左CK。東京はゴールエリアに散開する珍しいパターンです。主力はファア側。浦和はハイブリッド。ファアのマークはモリゲに槙野、つよしに大輔、拳人に岩波、洋次郎にモリ、田川にカピ。ニアはサンホに陽介がつきます。たまのキックモーションと同時に大外からモリゲが、洋次郎をスクリーンにしながらフェイドアウェイから中央に切り込みます。これでモリゲは槙野をふりきってフリーに。たまはモリゲに合わせます。モリゲの左足ダイレクトはタイミングが合わずミートしません。でもこれがニアにいたサンホへのパスのかたちになります。サンホは右足ダイレクトで合わせます。これは周作がカット。イーブンボールは、ちょうど中央フリーで待ち構える田川に吸い寄せられるように入ります。田川は左足ダイレクトボレーでたたきこみました。東京1-1浦和。

ついに、ようやく田川が魅せてくれました。念じていればチャンスが訪れることもあるのですね。これで流れのなかのプレータイミングもつかんでくれると嬉しいです。

浦和にしても、考えてみたら残留争いの渦中にいますから、勝ち点ロストはしたくないはず。大槻さんが動きます。モリに代えて橋岡を同じく右WBに投入します。浦和常套のWBリフレッシュです。

さらに大槻さんが続けます。山中に代えてタカを同じく左WBに投入します。これも常套。得点の香りがしない原因は別のところにあると思いましたけど、試合の流れそのものは悪くないと見たのでしょう。

直後に健太さんも動きます。たまに代えてインスを左メイヤに投入します。慶悟が右に回ります。作戦レスではあるけど、がむしゃらな躍動感がチャンスを呼び起こすことに期待したのだと思います。

すぐに大槻さんも動きます。陽介に代えて長澤を同じくトップ下に投入します。これもリフレッシュのため。とはいえ、ついに浦和のベストメンバーが揃いましたから、ACL決勝の極限のような集中の再現が心配でした。

心配は無用でした。浦和の埋み火は強くなかったようです。最終盤はオープンなカウンター合戦になります。前線がシンプルに縦を目指す覚悟があるだけ、流れがいくぶん東京に傾きますけど、文字通りの浦和の高い壁を越えるには至らず。願い叶わず、このまま試合終了。東京1-1浦和。

勝ち点3差ですから、勝ち点でマリノスを上回ることはもうありません。得失点差は7。正直川崎には、チャンピオンとしての矜持はないのかと苛立ちを覚えました。長谷川健太監督ののスピーチ東慶悟選手のスピーチ

辛うじて、ホントに徳俵分で、最終頂上決戦の体裁は整えることができました。挑戦権は、あります。確実にあります。スーパー大逆転優勝を勝ち取るためにすべきことは極めてシンプル。いっぱい点を取ること。まずは2点。本来リスクを多く取るマリノスが浮き足立ち、東京がゾーンに入るためには、2点先制だと思います。

泣いても笑うことになっても残すは決戦のみ。日スタは空前の満員ソールドアウト、当然地上波生中継。チャンネルは決まったぜ。