ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2019J1リーグ第19節FC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20190714

2019-07-15 15:36:55 | FC東京

フランス革命記念日の今日も、雨。ホーム四戦連続雨です。

今週も出会いと別れ。ヒョンスが移籍です。ヒョンスのたぶん一番しんどい時に東京に受け入れ、暖かく迎えられたことが嬉しいです。これからもがんばって。代わって、ジェソが加入です。これから来るであろうしんどい時に、助けてほしいと思います。

折り返し二戦目で、はやくも天王山です。なんだかもったいないようなクラシコ。You'll Never Walk Alone♪

チャンピオンに、完膚なきまでに叩かれました。

東京はベストメンバー。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲと剛。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に慶悟左にサンホ。2トップはディエゴと謙佑です。

川崎は僚太が怪我。入れ替わりのように憲剛が復帰です。シフトは4-2-3-1。GKはソンリョン。CBは彰悟とジェジエウ。SBは右にノボリ左に車屋。CMは碧と下田。WGは右に浩之左にまな。トップ下は憲剛。1トップは悠です。

ぼくらは、試合で表現される表面的な結果しか知ることができません。それでサッカーを理解しているかと言われると、はなはだ心もとない。できればもっと真実にたどりつけるようになりたいと思います。

東京は、通常あまり目立った相手対策をやらない印象があります。でも今日は、明確に川崎対策を用意してきました。アタッカー三人を中央に寄せます。この意図がよくわかりませんでした。推測するに、川崎の強力CBは横からの攻めによる高さ勝負には無類の防御力をもっているけど、もしかすると幾分スピードに弱点あるということなのかもしれません。川崎はいつの間にかリーグ最小の失点数を誇る、守備巧者になりましたけど、クロスからの失点は10%にも満たないのに対し、ショートパスの失点が50%近くに及ぶのが特長です。これはリーグのなかでも特異な傾向です。そういえば開幕戦も、ディエゴと謙佑のスピードを奈良が無理矢理止めていて、一見するとパワフルだけど危なっかしさを内在していた覚えがあります。

パスの供給源はやはり洋次郎。ここ数戦、ゴールシーンでの洋次郎の関与が目立っています。頼もしく思いつつ、パターン化がちょっと気になっています。サンホを主力にすることでカウンターの威力が増す一方、カウンター頼みになってしまう弊害にも対処しなければならないでしょう。

東京のもくろみは川崎に完封されます。川崎が東京の作戦を読んでいたというよりか、東京の本質そのものを絶ちきったといっても良いと思います。今日はおそらく、今週の過ごしかた、試合前の準備の段階で勝敗が決していたのではないかと思います。川崎はその点で東京を圧倒しました。

まずスカウティング。Jリーグはまだ、経済的な意味で科学的なスカウティングが十分ではないでしょう。それでも東京は、たとえば大分戦や先週のガンバ戦のように、リーグのなかでは比較的スカウティングが巧みな印象があります。なので、先に述べた作戦も、立案とトレーニング、そして実行に抜かりはなかったと思います。でも今日に限っては、準備の密度が川崎に比べて足りなかったかなと思います。

シーズンには山場があると思います。シーズンは長いし、物理的にはひとつ一つの試合の積み重ねに過ぎません。だからここが山場という試合は、正直わかりません。でもチャンピオンたちは、振り返りでかならずターニングポイントをあげます。結果的にターニングポイントとなる山場を勝ちきることがタイトルを引き寄せるのでしょう。川崎は今日が山場と踏み、普段以上に密度の高い準備をしてきたと思います。一方東京は、もしかしたら幾分作戦に頼り、普段通りの準備にとどまったかもしれません。

川崎の作戦は攻守で三つ。まず攻守の切り替えで極限まで集中を高めること。これにより、JリーグNo.1のクイックネスを誇る東京のトランジションを凌駕します。二点目は、東京のカウンターの出し手と受け手を封じること。出し手は、洋次郎以外はスペースを消すことで対処しますけど、洋次郎に対してはタイトに付き、判断とアクションが非常にはやい洋次郎の視界を奪います。洋次郎は判断のはやさゆえ、いくぶんアバウトな部分があり、それが結果的にミスに見えることがあります。川崎はそこを狙います。

受け手はもちろんディエゴと謙佑。東京はディエゴと謙佑がマークされる前提で第三の男を中央に寄せたのだけど、サンホにパスを出す基点をつぶされるとこの作戦は機能しないことを露呈しました。ただ、これはCBの能力が高くないと成立しません。川崎の土台は変幻自在な攻撃にあるにしろ、優勝できるクオリティを持ったのは、なんといっても彰悟を軸にするCBの充実に他なりません。

三つ目はカウンター。ACLの副産物として川崎はツープラトンシステムができるほど多彩な戦力を持っています。今日は左右にスピードウインガーを配置しました。これはカウンターを主武器にするイメージでしょう。結果論ですけど、先制することでこの作戦がいっそう有効になりました。

20分。下田の左CK。川崎は縦陣で、前から彰悟、悠、ジェジエウ。東京はハイブリッド。マーカーはモリゲ、慶悟、剛。下田のモーションと同時に、悠が細かい出入りを繰り返します。これでマーカーの慶悟が、ボールと悠の両方を見なければいけない難しい対応を迫られます。CKだけど実質、慶悟と悠の1on1。これが巧妙でした。下田の狙いは、慶悟の背後から入る悠をイメージし、そしてドンピシャでした。東京0-1川崎。

どの試合にも、いくつかのパラレルワールドがあります。もしもこのゴールが無かったら、川崎がはっきりとリトリートすることもなかったでしょう。そして川崎の作戦を裏付ける高い運動量が90分間維持できた保証もありません。もしかしたら、東京のいだてんトリオがワンチャン駆け抜けたかもしれません。今日は、悠のゴールがすべてを決しました。たぶんこのセットプレーも準備していたのでしょう。東京は今年まだセットプレーでの得点がない唯一のチームです。かつてはセットプレーに頼っていた頃もあったのに、すいぶん変わったなぁと思います。川崎もセットプレーの得点は少ないので、だからこそ今日は、先制点をもぎとりにきたのでしょう。その意味でも、準備の差が出た部分かもしれません。前半はビハインドで終了。

先制されてから東京は作戦を変えます。CBの背後を狙う基本線は変えず、配置に手を加えます。攻撃時に洋次郎を最前線に上げて基点にします。後半からは、洋次郎を最前線の真ん中に置くことで中央の数的優位を作り、三本の矢をすべてスペースに向かわせる体勢を作ります。

それでもなお、川崎の堅陣は崩せません。東京の数的優位の狙いに対し、下田と碧を加えたスクウェアで対応します。僚太不在のスクランブルに選ばれた下田は、おそらく守備力の高さを買われたのだと思います。さらにパートナーが脇坂ではなく碧だったのは、下田にないパワーを補うためでしょう。不動と思われた川崎の中盤が様々なゴタゴタで揺らぐなか、それでもなお逸材がポコポコ出てくるのですから、こんにちの川崎を支える編成力の高さにあらためて感服します。

最初に動いたのは健太さんでした。洋次郎に代えて晃太郎を左メイヤに投入します。慶悟がCMに回ります。

確認するまもなく、追加点を許します。

54分。諒也の自陣奥のスローインから。受けたサンホが、浩之と碧に囲まれながらターンして前方のディエゴにパス。これがホスピタル気味で、狙われます。ディエゴの戻しを碧がカット。碧はフリーの下田にパス。カウンターの発動です。下田が持った時点で、憲剛がバイタルエリアにするするっと入ります。憲剛は下田からの受け態勢だったのでしょうけど、これが効きます。下田は最前線の悠につけます。これで、憲剛が前を向いてフリーになり、活きます。悠は憲剛に落とします。ここから憲剛イリュージョン。左を上がるまなに出すとみせて切り返し。これで剛が止められます。さらにワンフェイク入れて、悠を見ていたモリゲの意識を一瞬引き寄せます。これでフリーになった悠にパス。このイリュージョンは、同時にまなのマーカーの拳人とディエゴも魅了します。本来のまなのマーカーの成の寄せが甘かったとはいえ、まながこれでフリー。これを悠が見逃しません。ダイレクトでまなにクロス。まなは流し込むだけでした。東京0-2川崎。

実に川崎らしい崩しのゴールです。でもこれで流れが変わります。川崎の出足のはやさにめんくらっていた東京は、テーマであるファストブレイクを機能させられませんでした。慶悟が中盤に入ってバイタルエリアがタイトになります。これをきっかけに、前線のプレッシングが効くようになります。セーフティリードに入った川崎がますます下がったことも相まって、前半とうって変わってペナルティエリアに入れるようになり、東京が攻勢をかけます。

一点返すと様相が変わるのになぁと思っていたら、追加点を浴びます。

69分。ソンリョンのGKから。悠がフリックして前方に。さらに憲剛がダイレクトに前方に流し、カウンターの発動です。抜け出したまなとの1on1は彰洋が防ぎますけど、そこから川崎の連続アタック。浮いたボールを拾ったモリゲが諒也に渡そうとしますけど、ハイプレスの浩之に拾われます。浩之は右を上がる悠にパス。再カウンター発動。東京が整える間際に川崎が困惑を誘います。悠、まな、下田とダイレクトパスをつなぎ、最後は下田のお膳立てパスを浩之が流し込みました。東京0-3川崎。

直後に健太さんが動きます。サンホに代えて輝一をトップに投入します。謙佑が右メイヤに回ります。現時点の東京はやはり、第三の男を止められると苦しいですね。サンホがよくなかったのではなく、サンホが仕掛けられる状況をほとんど作れませんでした。こういうとき、やっぱり独力で状況を作れる選手がいなくなった影響を思わざるをえません。今日もレアンドロとアキを温存した川崎のオプションの充実と比べると、逆説的に、東京はこの編成でよくまあ首位にいられるなと思います。

鬼木さんが動きます。先週ガンバ相手にみせた方程式を、今週は川崎に見せつけられます。まなに代えて竜也を同じく左WGに投入します。カウンターのコンディションをあげる意図です。

鬼木さんが続けます。悠に代えて知念を同じくトップに投入します。これも同じく。

同時に健太さんが動きます。謙佑に代えてうっちーを同じく右メイヤに投入します。うっちーの元気でチームを活性化する意図でしょう。

そして鬼木さんが〆ます。ノボリに代えて山村をCMに投入します。碧が右SBに回ります。マルチロールの山村をこんなに贅沢な使いかたができるのですから、川崎の編成がおそろしくすら思います。

なすすべなく、このまま試合終了。東京0-3川崎。

川崎は、この状況でクラシコを迎えるとは想像してなかったでしょうけど、もともと後半に向けてコンディションをあげるチームですから、当初からクラシコをピーク時期のターゲットとしていたかもしれません。今日は集中力も運動量も高く、アドレナリンがチーム全体からほとばしるようでした。これは毎試合できることではありません。その意味では、川崎が本気丸出しで臨んだことは、クラシコというイベントはさておき、優勝争いに向け最大のライバルとして東京を見ている現れと言えるでしょう。

だからこそ、今日は格別の悔しさを感じます。無関係の自分ですら、もし優勝しても川崎を越えてない気持ち悪さが残ると感じてしまいました。でも、この川崎は、優勝を経験したからこその姿なのだと思います。チャンピオンであろうがなんであろうが一試合には変わりありません。むしろ部が悪い相手との対戦を済ませたことを喜ぶべきかもしれません。ぼくらの山場は、まだまだ先にあるかもしれないから。

奇跡的に試合中は雨がほぼやんだけど、もういい加減雨は勘弁してほしいですね。太陽が似合う日本平はとくに。