ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015ヤマザキナビスコカップ予選リーグ第2節松本山雅vsFC東京@アルウィン20150328

2015-03-29 14:10:22 | サッカー

待ちに待った日本の春が戻ってきました。珍しい桜から。松本市中央図書館の魯桃桜。

都心に比べると2℃ほど低い多摩も桜が咲きました。小金井公園の桜です。

桜を楽しみたいところですけど、東京をはなれ、春は少し先の土地にきました。

松本でございます。

松本には季節よりもひと足はやくサッカーの春が訪れています。ついに念願のJ1まで駆け上った松本山雅と、ヤマザキナビスコカップでまみえます。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

本日の中央線♪

ご存知山雅のハードプレッシングに苦しみましたけど、喜山の交代から流れが変わりました。お待たせしました。慶悟の千金ゴールでドロー。

東京は代表に4人が招集され、ターンオーバーです。ミッドウィークではないので基本布陣は変わりません。シフトも同じです。今日のGKは達也。CBはカニーニとカズ。SBは徳永とまる。3CHは右からたま、秀人、ヨネ。トップ下は河野。2トップは遼一と慶悟です。

山雅はベストメンバーです。シフトはおなじみ3-4-2-1。GKは村山。3CBは右から飯田、後藤、酒井。ボランチは岩間と喜山。WBは右にはゆま左に岩沼。2シャドウは右に岩上左に池元。1トップはオビナです。

東京は噂の山雅プレスにさっそく晒されます。山雅の守備は、まずはネガティヴトランジションの位置を作ることからはじまります。山雅はほぼロングボールで攻撃をはじめます。これは攻守両面の意図があります。攻撃面は後ほど。守備面でロングボールの意図を図るとトランジションの位置を下げるということです。当然東京は最終ラインからのビルドアップになります。トランジションするとオビナがボールホルダーをチェイスして時間を作ります。その間に、山雅は5+4の守備網を作りパスコースを消します。こうして攻撃環境を作ってから、いよいよ山雅ならではの守備がはじまります。

山雅は、東京のビルドアップの最初の基点を狙います。すなわちSBまたはWH。大事なことは、ここにパスが入る瞬間にプレッシングをかけること。担うのは両シャドウと喜山です。とくに喜山の役割が山雅の山雅たる所以を作っていると言っていいと思います。守備時の山雅のボランチの並びにはギャップがあります。喜山が前目に出ます。これはフォアチェックの準備ですけど、リスクを伴います。喜山だけでなく山雅の守備網は積極的にボールサイドに寄せます。相手がボールコントロールする猶予を与えないことを意図していますけど、タイミングと連動性をミスすると攻撃側にとって美味しいスペースを自ら生みます。つまり、山雅の真骨頂は意識統一と練度の高さです。ただ、そのクオリティを高める要因は、タレントにあります。とくにタイミングは、個の判断に委ねられているようですから。ボランチである喜山がポジションを離れることはバイタルエリアの真ん中にスペースを作ってしまうリスクとなります。それを勇敢に成し得る喜山は、山雅のフォアチェックの起点となる、地味ですけどコアな選手です。

山雅がフォアチェックする意図は、ショートカウンターです。有り体に言うと、技術あるいはフィジカルで違いを生み出せるタレントが皆無の山雅は、リアクションというか、相手がしてほしくない、つまりタレントの優位性を活かす猶予を与えないことにしか活路がありません。前述したロングボールの攻撃における効用はそこにあります。今日ロングボールを多用したのは、とくに前半強いフォローだったこともありますけど、山雅の基本プランです。いずれにしろ、手間と時間をかけずに一気にアタッキングサードにボールを運ぶことで、兎にも角にも攻撃しているイメージを生み出すことができます。

もう一つの攻撃パターンがショートカウンターです。ロングフィードとショートカウンターは、相手が守備陣形を整える時間を与えないうちに攻めるという、共通の意図があります。山雅の強みのひとつは、ゴールする限られたパターンに特化して、それを実現するための守備を展開することが、チーム内で強くコンセンサスできていることにあります。

東京は山雅の息つく間を与えない山颪のようなアタックに、完全に守勢に回ります。山雅は常にシンプルにゴールをめがけますから、アタッキングサードにボールが入る度に緊張感が漂います。東京は耐えます。高い位置でトランジションされても、カバーが最終局面を防ぎ続けます。

25分を過ぎると、少しずつ試合の様相が変わってきます。東京が中盤でボールを回せるようになります。まず、不用意なホスピタルパスを避け、縦にポストを入れるようになります。これを可能にしたのは遼一です。今日の遼一はポストが安定していました。山雅の3CBを変わる変わる相手にしても、時にコンタクトし時に流れ、確実に味方にボールを落とします。

河野と慶悟のスペースメイクは今日も安定していました。バイタルエリアにパスコースができるので、秀人が積極的な縦パスを送れます。

ただ、前半はとくに、アタッキングサードまでボールを運べてもそこから先に進入できません。山雅自慢のアルプスが立ちはだかることもありますけど、ペナルティエリア手前でパスを前提とした持ち方をする選手がいて、シュートコースがあっても打ちません。今日に関しては打てなかったというより打たなかったと批判すべきかなと思います。

カニーニがオビナを封じていたので、ロングフィードの可能性がほぼ消えます。さらに東京が喜山の背後を伺うようになってプレスも効きにくくなります。流れのなかからの得点の可能性が消えます。でも、山雅は終わりません。山雅最大のストロングポイントは、セットプレーです。山雅はセンターライン付近のFKであっても、飯田と後藤が上がるほど、セットプレーを生命線にしているチームです。細かいパターンは素人に知る由もありませんけど、パッと見でわかる特長は、選手の配置です。山雅はゴール前で密集を作ります。東京はゾーンとマンマークのハイブリッドですけど、スペースが無いので数的優位が意味を成しません。 密集にするもう一つの理由は、もちろん飯田と後藤の空中戦を活かすということもあるでしょうけど、カオス状態から溢れ球を狙う意図もあるような気がします。

クロスは基本的に岩上が担当するようですけど、ショートコーナーを多用したり、タイミングをずらす工夫を繰り返します。そして、山雅の意図が成就します。

33分。岩上の右ゴールライン近くのスローインから。山雅は例によってゴールエリアのやや外側のニアサイドに密集します。手前から飯田、オビナ、酒井、後藤。岩間がニアポストにいます。ファアは池元のみ。東京はやはり密集ゆえマークが繊細になります。狭いエリアでゾーン気味のマンマークです。前に盾としてカニーニと遼一を立て、中央にカズと慶悟、奥にまるを配します。ゴールエリアは例によってゾーン。ニアに秀人。ニアポストは徳永。ファアはたま。池元はオビナを狙います。でもオビナの前に慶悟が入りケア。慶悟がジャンプしたタイミングでオビナが慶悟の背後からプッシュ気味に飛びます。さらに酒井が慶悟の前に出ようと飛びます。結果、慶悟はオビナと酒井の板挟みになります。それでもなんとか先に触ってクリアしたボールが、運悪く遼一の頭にあたりコースが変わりました。山雅1-0東京。

失礼なことを言うつもりはないのですけど、このゴールこそ山雅の求めることなのかもしれません。形にこだわらず取れるときにとってこそ山雅なのでしょう。ところがここでアクシデントが起こります。喜山が足を痛めます。

これで山雅のプレッシングの鋭度が落ちます。山雅はリトリートして耐えます。攻撃はロングフィードに偏りますけど、序盤のような攻撃のための守備ではなく、ロングボールはセーフティネットです。前半はこのまま終了。

前半途中から足を気にしていた喜山がハーフタイムに下がります。代わりに柴田がボランチに入ります。この交代が、少なくとも今日に限っては山雅にとってネガティヴなことになりました。柴田は喜山同様攻撃の起点を担います。山雅をJ1で勝負するに資するクオリティに持っていくためには結局個のプレーのエッジをギリギリまで研ぎ澄まさなければなりません。その体現者たる喜山を失うことは、山雅の可能性を大きく削ぐことになりかねません。

ゆえに東京のクリッピングポイントが高くなります。ハーフウェイより高い位置でトランジションができるようになります。東京がほぼイーブンボールを取り、試合をオーガナイズします。必然的に遼一のポスト位置も高くなり、ペナルティエリアに2、3人入るアタックができるようになります。時間の問題だなと思っていると、同点ゴールが生まれます。

56分。東京が押し込みカズ以外はほぼ全員山雅陣にいます。一度最終ラインに戻りリスタート。カニーニがセンターライン付近から、ペナルティエリアにいた秀人にロングフィードを送ります。一気にアタッキングサードに入ります。秀人がフリックしたボールが岩間に渡りますけど、岩間がこれをクリアミスし、イーブンボールがペナルティエリアやや外側で真上に上がります。これに先に反応したのは慶悟でした。慶悟はゴール正面にいた遼一にフリック。遼一は寄せてくる後藤をガードしながら胸で慶悟に戻します。バウンドしたボールを慶悟も胸で落とし、タイミングをはかって右足を振りぬきました。ゴラッソ。山雅1-1東京。

開幕以来好調をキープしてきた慶悟が結果を得ました。これはチームにとってもポジティブなことだと思います。よっち以外からもゴールできることになると、よっちを消すことができますから。あとは遼一。今日の遼一は、一回酒井に対して強引な突破を試みてました。成功しなかったけど、こういうチャレンジを続けていたら、遼一復活は近いと思います。

東京はポゼッションだけでなくロングカウンターも見せるようになります。ただ惜しむらくは、今日はカウンターの担い手がよっちではなく河野だったこと。残念ながらアタッキングサードに入る前に潰されます。攻撃の形としては良かったので、ナオをはやめに入れて裏の脅威を作るべきだったかなと思います。東京が形を作るもシュートレンジに持ち込めなくなります。

そこで反町さんが動きます。池元に代えて直樹が入ります。同時に攻撃パターンをアジャストします。オビナ、岩上、直樹をサイドに流して基点を作りはじめます。カニーニとの直接対決を避けるためでしょう。結果、はゆまと岩沼という山雅のストロングポイントを活かせるようになります。

これを受け、ミステルが動きます。たまに代えて羽生が入ります。とくに岩沼サイドをケアする意図だと思います。カップ戦予選なので取りこぼしは一番避けるべきですからこのコンサバティブなプランは納得です。でも今日は勝ち切れる試合でしたし、もしかしたらチームに勢いが加わる勝利になったかもしれないので、別のプランも見たかったなと、ちょっとだけ思いました。

続いてミステルが動きます。遼一に代えてナオを投入。中盤を安定させた上で、前線を高速化します。でもすでに東京が長短自在に攻撃をコントロールする時間ではなくなっていて、ナオの効果は得られませんでした。

ミステルも反町さんも、まずは勝ち点を優先することで両チームの意図はシンクロしました。結果から見ると、やはりミステルは勝負師ですね。このまま試合終了。山雅1-1東京。

試合後に、東京ゴール裏が吉朗にエールを送りました。そしたら、吉朗が東京ゴール裏に挨拶に来てくれました

山雅はほぼ完成されたチームです。反町体制4年で、メンバーもほぼ変わりません。守備陣では多々良に代わって後藤が入ったリベロのフィッティング。中盤は不動。攻撃陣はエース船山を失った影響はあまり見てないのでわかりませんけど小さくはないと思います。代わって大量補強をして、オビナ、池元、荒田、吉、直樹が加わって、コンビネーションはこれからでしょう。それでも、いずれにしろ良い意味で山雅テイストを保持するクオリティの選手たちであることには変わりありません。なので、チームが変わるほどのドラスティックなのび代は正直ないでしょう。ですから、山雅が残留するかしないかは、山雅スタイルがJ1で何試合通用するかにかかってくると思います。おそらく反町さんは、すでにターゲットとなるクラブをピックアップしているのではないかと思います。

秀人を見ていると昨年からのチームの成長が見てとれる気がします。秀人に攻撃時の迷いが見られなくなりました。良い意味で梶山化しているというか、少ないタッチを心がけ、基本は縦を狙うプレーを見せています。秀人が成長したというか、チームとしてアンカーのパスを引き出せる動きができるようになっているのかもしれません。

昨年までの東京は、山雅のようなフィジカルモンスターチームは苦手だったと思います。正直昇格三チームに負けることもあり得ると思ってました。でも、喜山のアクシデントがあったとは言えベストメンバーの山雅をいなすことができたので、チームとして自信になったと思います。

昨年までは塩田がいたので権田不在も不安はなかったのですけど、今日の達也デビューで、達也自身もチームもわれわれサポーターも、今年も安心して国際Aマッチデー中のカップ戦を迎えられる期待感を得たと思います。

アルウィンは今、素敵な空気で溢れています。年間通じて打ち込めるなにかを得られた幸福感でいっぱいです。山雅サポさんは、勝っても負けても、そこにサッカーがあって、大切な愛すべきお兄さんや彼や息子や孫が一所懸命にプレーする様を見られる、純粋な喜びを感じてらっしゃると思います。古参のJサポにいま起こっている諸問題と対比して、少し懐かしく羨ましくもあります。願わくば、残留だけを目的となさいませんように、他サポの勝手な願いですけどそう思います。

次はリーグ戦再開。自分のプレ誕生日マッチは、たぶん満開の桜と勝利が祝ってくれると思います。