1)LONG TAILED WINTER BIRD
2)FIND MY WAY
3)PRETTY BOYS
4) WOMEN AND WIVES
5)LAVATORY LIL
6)DEEP DEEP FEELING
7)SLIDIN'
8) THE KISS OF VENUS
9) SEIZE THE DAY
10) DEEP DOWN
11) WINTER BIRD / WHEN WINTER COMES
2020年年末、注目されたポール・マッカートニー最新作『McCARTNEY Ⅲ』。
私も予約して買い、聴きました。
早速、CD日記に記したいと思います。
なぜ、注目されたか。
そもそも『McCARTNEY』(1970)、『McCARTNEY Ⅱ』(1980)、そして今回の『McCARTNEY Ⅲ』という“McCARTNEYシリーズ”は、彼の作品の中で、簡単に言えば「僕が自宅で一人で作りました」というアルバム。
『McCARTNEY』(以下、便宜上『Ⅰ』と表記)はビートルズ解散後の1stソロ作品、『Ⅱ』は自ら率いたバンド、ウイングスの活動停止後に発表され、言わばそれぞれ節目に出されています。
今回の『Ⅲ』は、コロナ禍のロックダウンの元、自宅で制作された作品。
でも『Ⅰ』から50年、『Ⅱ』から40年という年の節目に『Ⅲ』とは、何たる奇遇。
そんなこともあって、注目の作品になったのでは。
では、私の感想です。
“McCARTNEYシリーズ”でもあり、もしくは自宅スタジオで制作されただけあって、一般的なスタジオ盤に比べると、気軽さと言うか、こざっぱりした雰囲気があるかと思います。
アコースティック・ギターを基調としたちょっとお遊びな1)を聴くと“あ、McCARTNEYシリーズだ!”なんて思えます(この曲、もうちょっと短くてもよかったのですが…)。
続いて、弾んだ2)にくると、“お、いいねぇ~。”と思えたりしました。
ヘヴィなロック、幻想的な曲も並んでいますが、聴き進んでいくと、どんよりした(重い)感も。
そう思うと、楽器すべてを一人で担当した、2005年の『CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD』(こちらは一般スタジオ制作)も、聴き進めると暗い(寂しい)雰囲気を感じました。近年(?)の ‘ お一人制作 ’ だと、そういう傾向が出るのかな…。
残念なのは、決め手の曲が無いように思えます。
裏名盤(?) と言われる『Ⅰ』も中途半端な雰囲気もありますが、‘ Maybe I'm Amazed ’や‘ Every Night ’と決め曲がある。
『Ⅱ』は、当時ポールがシンセサイザーに興味を持ち、多用しています。当時のシンセなので、無機質な冷たい音で、全体的にちょっとモコついている(?)音のイメージですが、‘Coming up’という決め曲があります。(個人的には『Ⅱ』はそれほど好きなアルバムではない)
しかし今回の『Ⅲ』にはそういう決め曲が無いように思え、その点が寂しいのかな、と思えます。
あと、私のような'60年代、'70年代の音楽好きだと、現代技術の“音像クリアで、どの楽器も全開の音!”という録音の仕上がりにちょっと抵抗があります。
アコースティック・ギターも“ペキ~ン、カリ~ン♪”と硬い音で録られてしまうから、昔のような温かみが無い。
『Ⅰ』のような温かみのある音を聴いていると、“McCARTNEYシリーズ”には現代技術の録音はしっくりこない気がします。
余談ですが、レッド・ツェッペリンの『Ⅲ』(1970)の後半のアコースティックサイドも、現代のレコーディングだったら、味の無いサウンドになってしまうのでは、と想像しちゃいます。
それでも考えてみれば、“McCARTNEYシリーズ”は“お気軽アルバム”の側面があるので、(失礼な言い方ですが)期待無用で、聴くべきなのかもしれません。
なので、“ポールのソロ作品!”として、ものすごく期待をすると肩透かしを食らうアルバムです。
ポールが「ロックダウン中に、ちょっと曲を作ったから、聴いてみてよぉ!」と言いながら差し出し、私達リスナーが「ポールさん、ありがとう!聴かせてもらうね~!」というくらいの気持ちで聴くアルバムではないかと思います。
それと、もしリンダさんがいたら、アルバムにちょっと彩りが加わったのかな…とも思います。
[CD日記 2000~ 洋楽編 # 6]
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