1)LOVE STRUCK BABY
2)PRIDE AND JOY
3)TEXAS FLOOD
4) TELL ME
5)TESTIFY
6)RUDE MOOD
7)MARY HAD A LITTLE LAMB
8) DIRTY POOL
9) I'M CRYING
10) LENNY
スティーブ・レイ・ヴォーンは、1970年代から地道に音楽活動をしてきました。
1982年、モントレー・ジャズ・フェスに出演した際に、デイヴィッド・ボウイやジャクソン・ブラウンに見出され、1983年にはデイヴィッド・ボウイの『LET'S DANCE』のレコーディングに参加。またジャクソン・ブラウンとの縁で、スティーブとスティーブのバンドである、‘ ダブル・トラブル ’との名義でレコーディング。これがその1stアルバムです。
内容はブルーズ・ロック。とは言え、泥臭さは希薄で、カラッとした軽快なサウンドです。
Voはスティーブで、ちょっと踏ん張った、パワフルなVo。
特筆すべきは、彼のギター。過度なエフェクトを掛けたものではなく、“♪カリカリ~ン ”、 “♪コリコリ~ン ”といった、いかにも弦を弾いているようで、クリアな音色。 それが彼のギターの持ち味でしょう。
アップテンポでノリノリの曲から、スロー・ブルーズまでバランスの取れたリスト。
アルバム前半ラストの5)と後半スタートの6)、そしてラストの10)はインスト曲で、曲配置がよく考えられています。6)はハイテンション系のインストで、ノリノリのギターが聴けるし、10)はアルバムのお別れの曲のようで、染みる曲。1)から聴いて10)で終わると「いいねぇ~」と思う1枚です。
それにしても、お洒落で、キラキラしたサウンドが持てはやされた1980年代のミュージック・シーンの中で、彼のようなブルーズ・ロックの作品が売れたというのは、すごいなぁと思います。先述した、カラッとした軽快なサウンドが受けたのでしょうか。
悲しいことに、彼は1990年に自身の乗ったヘリコプターの事故で亡くなりました。
生前のダブル・トラブル名義でのアルバムは4枚しかありません。
次作『COULDN'T STAND THE WEATHER』(1984)は、彼の代表作として挙げられる1枚で、こちらはややHR寄りの音。少し彼のギターも尖っている感があります。
1stと2ndまでが、私には強い印象を残しています。
3rd『SOUL TO SOUL』(1985)は、メンバーにオルガンが加わったことや、曲によってはホーン・セクションが入っていることから、ストレートなサウンドの中に ‘ 甘み ’ が加わった感も。
ドラック中毒の治療を経てからの復帰作でもあり、遺作となってしまった4th『IN STEP』(1989)。こちらもややHR寄りの音ですが、初期のカラッと仕上がりでは無く、ギュッと詰まった密度のある音の仕上がり。熱いサウンドは健在ですが、印象に残る曲が無いような…。
すいません、以上は飽くまでも個人の感想です。
とりわけ、彼のギター等を距離近く堪能できるアルバムは、この1stだと思います。
もし彼が生きていたら、シブいブルーズ・ロックをプレイし続けていたでしょう。
また他のギタリストと共演で熱いプレイを聴くことも出来たかもしれません。
そう思うと、良いミュージシャンを失ったことを実感します。
[CD日記 '80洋楽編 # 29]