招きねこの手も借りたい

主婦のち仕事、ところによって母、時々芝居。

仕事の依頼

2006年04月28日 | 仕事
さっき電話がありました。


「サルまわし手配して、すぐ」


……ムリです。

一瞬、サルの着ぐるみを夫に着せて
後ろで私が太鼓を叩く姿が脳裏をよぎりましたが、
サルの着ぐるみも太鼓もないのでやめました。

うちは何屋なんだろうと自問自答する春の午後。

古紙回収車の笠智衆

2006年04月28日 | 日常
明日のビデオ撮影の仕事の台詞を憶えるため、
今日は外出せずに大人しくしている。

ということで、家にゆっくりいるので台詞を覚えながら
布団を干したり、草花の手入れをしたり、古新聞古雑誌の整理をしていた。
「これじゃあまるで、すてきな奥様だ」
などと自己満足していると、古紙回収車のアナウンスが聞こえてきた。
ちょうどたまりにたまった古新聞古雑誌を出せるいいタイミング。

玄関先から「お願いしま~す」と声をかける。
反対方向に向かっていたようで「このあたり1週してから行くわ」と返事がある。
ついでに玄関掃除をしながらのんびり待っていた。
いつもなら、納戸からトラックまで運んでもらうのだが、
待っているついでに積み込みやすところまで自分で運ぶ。

……遅い。
遅すぎる。
もしかして、忘れて別の町に行ってしまったか?
と思っていたら、ゆっくりトラックがやってきた。

「かんにんなぁ~」(ここらの年寄りがよくつかう、「ごめん」ということ)
と言いつつ運転席から降りてきた人は、
あたかも日本昔話しに出てくるおじいさんのようなキャラクターだった。
花咲じいさんのいい方のおじいさんとか、
舌切り雀のおじいさんとか、
おむすびころりんのおじいさんとか。
とにかくもう力いっぱいおじいさん。
誰かに似ていると思ったら、笠智衆だった。

で、足取りがなんだかふらふらしている。
トラックの荷台のふちに片手でつかまりながら歩いている。

「このあいだ、転んでしもてなぁ。おとろしておとろして。」(おとろして→恐ろしくて)

誰だ~っ!こんなお年寄りに過酷な肉体労働を強いている奴は。
出てこいっ。

たまりにたまった古新聞と古雑誌の山、全て私が自分でトラックに積み込んだ。
笠智衆は、その間「あんやと、あんやと」(あんやと→ありがとう)と言って、
トラックのふちに手をかけたまま佇んでいた。

「ほんなら、長いこと待っとってもろたし、手伝ってもろたし、おまけ」
と言って震える手で笠智衆は、多めにゴミ袋をくれた。

いいのか?
そんなので商売になるのか、笠智衆。

「気ぃつけて行くまっしね」(なぜか私までこてこての方言)

できることなら、このまま助手席に乗り込んで
じいちゃんの手伝いをしてやりたかった。