招きねこの手も借りたい

主婦のち仕事、ところによって母、時々芝居。

夫の友人

2009年01月31日 | 日常
神戸からわざわざ夫の大学時代の親友Nさんがお参りに来てくれた。

お会いするのは、夫と私の結婚式以来なので
26年半ぶりになる。
結婚式に奥さんと息子さんと一緒にこちらに来てくれて、
私達の新居のアパートに泊まってもらった。
結婚式の翌日は、二家族でこちらの観光をした。
そして、数日後今度は私達が神戸に新婚旅行に行き、
そのNさんの家の離れに泊めてもらった。
普通、新婚旅行で友達の家に泊まるか?
という声が聞こえてきそうだが、
泊まるのだ。
当時の私達は、極貧生活だった。
あと2日はさすがにホテルに泊まったが、
お友達の家に泊まった日は、
すごいご馳走をしていただいた上、
外にお酒も飲みに行き全ておごっていただいた。

その後、年に一度正月に電話でお互いの近況報告をするつきあいが続いた。
いつかゆっくり飲もう、
そちらに行くか、こちらに来てもらおうと
言っているうちに夫は他界した。

Nさんはどうしても、お参りしたいと、
来てくださった。

夫の遺影を見ての第一声は
「あれ、あいつ、こんなイイ男になっとたん!」だった。
大学時代は、麻雀と、酔っぱらっている夫のイメージしかないと笑うNさん。
あいつと飲もうと思って…と、Nさんはポケットから
ブランデーの小瓶を出された。

緑茶とお茶菓子の用意をしていたのだが、
急遽私も昼間からだけどほんの少しお相伴した。
偲ぶ会で流した、夫の出演ラジオ番組や、
劇団時代のダイジェストDVDを観てもらう。

俺に、麻雀で負けては悔しがってた奴が、
こんなすごい奴になっとったんやなぁ…

と、しみじみNさん。

夫は正月に電話でNさんと話しをしても、
今自分が何をしているかとか、
自慢話しなど全くしなかったらしい。

26年ぶりのNさんは、少し痩せて
ロマンスグレーの紳士になっていた。
結婚式に来てくれた時は、がっちりしていて、
色黒で勢いのある人だった。

時の流れを感じた。

ずっと会っていなかったのに、
こうしてわざわざ日帰りで来てくれる友達を得ることができた夫。
麻雀と飲み会ばっかりだった大学時代も、
捨てたもんじゃなかったのかもしれない。



ニベアがいいじゃん

2009年01月27日 | 日常
ローズの香りに凝っている。
コロンも、ヘアコロンもローズの香り。
基礎化粧品も、ローズエキスの入った
ローズの香りのものを使っている。

先日ナイトクリームがきれた。
きれる前に注文しておけば良かったが、
うっかりしていた。
寝る前に乳液のお手入れの後、
ナイトクリームを塗ってお肌にふたをしておかないと、
翌朝のしっとり感がまるで違う。

さて、どうしたものか。

あ、ニベアがあるじゃん。
ブログ友達にいただいた限定版の可愛いパッケージのニベア。
もったいなくて、めったに使っていなかったが、
ナイトクリーム代わりにたっぷり塗った。

翌朝。
あらま、いいじゃん。
しっとりしてるじゃん。

高価な成分は入ってないけど、とりあえず潤うじゃん。

見直したぞ、ニベアクリーム!
ニベアでいいじゃん。
もとい、
ニベアがいいじゃん。

あと、高価なクリームでなくてもちゃんと復活する私の肌も、
まだまだ捨てたもんじゃないぞ。



思い出のコピー機

2009年01月25日 | 日常
コピー機の調子が悪くなった。

そりゃそうだ。いったい何年使っているのだろうか。
夫と事務所をたちあげた時から使っている。


リース契約の契約期間が満了し、
安価な年間契約になり、
そのうち部品がもうないと言われ、
新しいものに替えるようにセールスされていたのを、
なんとなくぐずぐずとそのままにしてきた。

これね。


リース契約した当初は、最新式のいいものだった。
ちょっと分不相応ではないかと私はつっこんだ。
ここまで立派なものにしなくても、
いいんじゃないかと。
夫は道具から入る人だった。
事務所らしい事務所にしたいとか、
仕事以外に、芝居の台本をコピーしたり
舞台図面をコピーするから、
これくらいのものは必要だとおしきられた。

これを2人でずっと使ってきた。

月末に請求書を2人で作る時、
事務仕事が嫌いな私はいつもだらだらコピーをとっていた。
夫はせかす。
すると事務仕事に飽き飽きしていた私はここぞとばかりに
「あたし、コピーをとるためにここに入ったわけじゃありませんっ」
と、いかにもなOLの台詞を言ってみる。

お約束で、夫も
「コピーとりも、大事な仕事だぞ」
と、上司役を演じてくれた。

そんなことをして遊んだりもしたコピー機。

頑張れば使えないこともないし、
思い出もたくさんあるのだが、思い切って
新しいコピー機を再リース契約することにした。

今度のはカラーコピーもできる。
ま、あんまりいろんな機能は使わないだろうけど。

お疲れさま、ありがとう
古いコピー機。
そしてよろしく、新しいコピー機。
きみとは何年付き合うことになるんだろう。
よくあるOLと上司ごっこはもうできないけど、
しっかり働いてね。

ちやほや

2009年01月24日 | 日常
今の私に何が必要なのか、分かった。
それは「ちやほや」だった。

昨晩はお正月からのびのびになっていた
「pecoさんちで鍋をつついてとことん飲もう会」が行われ、
当初予定していた2人から増えに増えて6人がやってきた。
29歳から33歳までの腹ぺこメンズだ。
腹ぺこメンズ同士で初対面の人もいたが、
全員広告業界人だったので、
声をかけてくれたプロデューサーを中心にすぐにうちとけた。

久々に料理をたくさん作った。
鱈を片身買って来て、白子もいれて寄せ鍋。
ワカサギの南蛮漬け。
鶏もつの甘露煮。
出し巻き。
切り干し大根。
水菜と豆腐のサラダ。

まぁ、みんな見事に食べ尽くして行ってくれた。

うまい!うまい!
うちの嫁にレシピを教えてやってなど
賞讃の嵐を受けた。

てか、初めはみんな無言でがっついて食べていたので、
美味しくないのかと思ったら、
食べることに集中したかったらしい。

オシャレなカフェエプロンで行くか
居酒屋の女将キャラで着物に白い割烹着で行くか、
友人に相談のうえ、結局女将キャラでもてなした。
お酒は、各自飲みたいものを持ってきてもらい、
ビール、缶酎ハイ、芋焼酎などとともに
私にみんな気を使って「八海山」ももってきてくれた。
仕事の話しから下ネタまで、
幅広くみんなで喋りまくった。

バツイチも、子持ち既婚者も、子なし既婚者も、恋人ありも、なしも、
いろんな環境のメンズたちの悩みや愚痴や理想も聞いた。

居酒屋の女将キャラは聞き上手だったようだ。
「わ~、わかってくれる?さすがpecoさん!」
と、ありがたがられる。
人生でこんなにちやほやされたのは初めてかもしれない。
夫のことも私のことも、仕事できちんと評価してくれているし、
夫の生き方をカッコイイと認めてくれて、
私ののろけた思い出話しにもつきあってくれる。
いや、楽しい。

腹ぺこメンズが酔っぱらいメンズになり、
代行を呼んで帰ったのは、午前3時半だった。

ちなみに、うちのわんこはほとんどずっと、
その6人の中で一番男前の彼のひざに乗りっぱなしで、
うっとりした顔をしていた。
以外と面喰いなわんこだと判明した。
















心のスタミナ不足

2009年01月21日 | 日常
体調は悪くないはずなのに、なんだか元気が出ない。
いろいろひとつづつ順調にことが運んでいるはずなのに、
やる気が出ない。

多分心のスタミナが足りないのだ。
こういう時、夫はいつもわざとらしいくらいに
私をちやほやしたり、機嫌をとってくれた。
さりげなくではなく、わざとらしいくらいにってとこがポイントだ。
ふだんはさりげなくがいいのだが、
心のスタミナ不足な時は、わざとらしいくらいで丁度いい。
そのわざとらしさに、ぷっと吹き出して、
それをきっかけに元気になれる。

ま、いないもんはいないわけで、
いつまでもぐずぐず、夫がいたらなぁとか言ってても仕方ない。

それはわかっている。

けど、やっぱり心が疲れているときに
「ほら、お前の好きなチョコでも食うか?」とか
「どや、明日映画でも一緒に行くか?」とか
「前から欲しいって言ってた、あれ、買ってやるし観に行こうや。」とか
「あれ、どした?なんか今日肌つるつるやな。いいがいや」とか
言われたい。

ああ、言われたい。
ものすごく言われたい。
そんなこと、言われなくても食べたかったら食べるし、
行きたかったら行くし、買いたかったら買うし、
お肌はべつにつるつるでもないわけで。
それでも、一生懸命私の機嫌をとってくれる存在が
目の前にいるのといないのでは全然違う。

という愚痴を書き連ねたところで、
とりあえず明日は美容院に行ってすぱっと髪を切って来ようと思う。

自分の機嫌は自分でとるしかないのだから。


乳ガン検診

2009年01月19日 | 日常
先日、乳ガン検診を受けた。
実は恥ずかしながら乳ガン検診は、10数年ぶりである。

昨年から定期的に婦人科で薬を処方してもらっているので、
婦人科検診があまりおっくうではなくなったというのもある。
夫が亡くなって、自分だけが頼りだと自覚し、
昨秋あわてて久々に子宮頸ガンと、子宮体ガンの両方の検査をした。
もちろん異常なし。
で、乳ガン検診もしようということになった。
幸か不幸か、めっちゃ痛いと噂のマンモグラフィの検査は、
その病院ではやっていない。
エコー検査と触診ならいいか…と、やることにした。

よく考えてみると、10数年前に最後に検査した際は、
同年代の女医さんだった。
主治医は、おじいちゃんに片足つっこんだ雰囲気の
この分野では名医と言われる先生なので、
触診が恥ずかしいとか、照れくさいとか、
そういう気持ちはないが
夫が亡くなって四ヶ月半。
痩せて、貧相になった胸ではあるが、
一応それなり人並みのふくらみを、
異性にさらすのが乳ガン検診か…などとつぶやきつつ
診察台に横たわった。

「張りがないですね」

先生の第一声。
ん?それはどういうこと?
セクハラ?
関係あるのか、乳ガン検診に?
と、一瞬思ったが、よく考えたら
生理周期についての相談をした後だったため、
胸の張り具合で生理周期の話しをしているのだった。
それを理解するまでの数秒間は
「けっ、張りのないおっぱいで悪かったね、ふんっ」
という気持ち大爆発であった。

そうそう、肝心の検査結果はもちろん何もなし。

張りのないおっぱいには、腫瘍もないってことで。
これでしばらくは安心。



義母の励まし

2009年01月18日 | 日常
何度かブログににも登場している、夫の母。
豪傑とか、女丈夫とか、超個性派、先進的な
などという枕詞がしっくり来る80歳だ。

義母のエピソードは、ちょっとした小説とか、
女の一代記ものの脚本になりそうなくらい色々ある。
もう少し私にエネルギーが湧いてきたら、
ぜひ義母をモデルに何か書きたいと思うくらいだ。

そんな義母が、最近へこみがちな私を
こう言って励ました。

「人は必ず生まれ変わる。
 あの子は生まれ変わって必ずあんたを助けに来るから大丈夫」

その時は、力強くそう言い切る義母の勢いに
そっかぁ、夫は生まれ変わって助けに来てくれるんだ!
と、妙に納得した。

しかし、ちょっと時間がたってから良く考えてみた。

夫が大急ぎで生まれ変わって、
今年頑張って生まれてきたとしよう。
それでも、私の前に現れて、
なんとか私を助けられるような年齢になるには
20年くらいは必要ではないか。

その時私は、押しも押されもしない婆さんじゃないか!
助けるとしたら、通院とか入院している先の看護士としてとか
通所しているケアハウスの介護士としてとか、
ボランティアのお兄さんとしてなのか?

その時私は、
「あ、このお兄さん、夫の生まれ変わりだわ。うふっ。げほっ、げほっ。」
と、思うのだろうか?
生まれ変わった夫は
「この婆さん、な~んかほっとけないかんじ。
 なんだ、この懐かしい感覚は‥。」
とか思うのだろうか?

義母は、そのあたりどう思っているのかはまだ聞いていない。

とりあえず、生まれ変わって私を助けに来てくれた夫だと
私が気がつける程度の視力と、聴力と、思考力は
維持し続けねばならないということは自覚した。

う~む、微妙だ。
そんな中途半端に生まれ変わりに出会うくらいなら、
いっそ私が生まれ変わるのを待って、
10年くらい後から生まれ変わってくれるほうがいい。
そんで、もう一回結婚する。

そしたら確実に私より先に亡くなることはないだろう。
もう、私は連れ合いに先立たれるのはこりごりだ。
私が死ぬとき、私の背中をさすり、
手を握って「大丈夫だ」と言ってもらいたい。

せっかくの義母の励ましではあったが、
夫には、生まれ変わってくるのは少し待っていてくれ、
しばらくそこにとどまってるんだぞと、
あの世の夫に呼びかけている。







いきなりの哀しみ

2009年01月17日 | 日常
夫の画像は、くさるほどある。
仕事柄、出演CMやビデオ、ドラマなど山のようにあるし、
舞台映像も若いときから晩年までいっぱいある。

普通のサラリーマンに比べたら、
そういう点では恵まれているかもしれない。
懐かしもうと思えばいくらでも、画像に不自由しない。

偲ぶ会で、みんなで見たあとも、
家で忘年会をしたときにみんなで見たり、
友人が来て一緒に見たりしている。

が、ひとりでは見られない。
ひとりで見ていると、どんなに面白いCMだろうが、
滑稽な衣裳を着ていようが、
ギャグ満載の芝居だろうが、
哀しくて哀しくて泣いてしまう。
だから、ひとりでは見ない。
けっしてひとりでは見ないで下さい……って、
ホラー映画かよっ。
と、自分つっこみしながら。


今日、仕事で出かける準備をしながら
とても無防備な心の状態でテレビをチラ見ていたら、
いきなり夫が数年前出演したCMが流れた。

夫の出番は一瞬だが
白いワイシャツにネクタイを結びながら
ひとこと台詞を言っている。

画面の向こうの夫は元気な笑顔で、相変わらずハンサムだ。
頭髪はさみしげだが…。
私にとっては、とてもハンサムだ。
画面の向こうにはいるのに、ここにはいない…。
そう思ったら、もうだめだった。
大泣きしてしまった。

結局バスを1本乗り過ごすはめになった。

声が流れる分には大丈夫なのだ。
それは結構聞く機会がある。
仕事をえり好みしない、職人気質(本人が言ってた)の夫は、
他の同業者がイヤがる仕事
(ちり紙交換とか、竿竹売りとか、灯油売りなんかね)
もバンバン引きうけたおかげで、
しょっちゅう聞く機会がある。

そしてローカルCMは、クール契約ではないので、
一度録ったナレーションはかなり長期間放送される。
テレビでもラジオでもいきなり流れてくる。
声は平気なのだ。なぜか。
むしろ、懐かしくて流れてくると嬉しかったりする。

けど、映像がだめ。
写真はいいのに。
動いて喋ると、なんかこう、とにかく、だめなのだ。
誰か人がいると、見栄っ張りの私は泣かない。
泣けない…のかもしれない。

あと、夫の小汚い筆跡で書かれた文字も泣ける。
ひとりで見ていると泣けてくる。
台本に書かれた、ダメ出しの言葉とか、
システム手帳に書かれた思いついたことばとか、
新しい企画のアイディアなんかを見ると
「きったねぇ字、読めねぇよっ」
と、つっこみながらおいおい泣いてしまう。
だから、夫の手帳や書き込みの多い台本はしばらく封印した。

けっこう自分では、しっかり前向きに歩き出しているつもりだが、
全然前向きではないことを痛感した日だった。

すっぽん体験

2009年01月13日 | 日常
すっぽんを体験した。
といっても、食べるすっぽんではなく
舞台のすっぽんね。

花道の途中からせり上がってくるやつ。
仕事で、邦楽関係の司会というか狂言まわし的役割をした。
登場が、花道のせり上がりだったというわけだ。
なかなかそんな珍しい体験はしたいと思ってもできない。

いただいた台本に、
「司会者、花道すっぽんから登場」とか
「司会者、鳥家に向かって退場」と書かれてあるのを見たときは、
正直わくわくした。

歌舞伎を観に行って、花道を行く役者たちをうっとりと見るたび、
あそこに立つというのは、いったいどんな気分なんだろうと想像していた。
残念ながら、さすがに歌舞伎座の花道には立てないが、
とりあえず同じような作りの舞台で、
ふだんとても着られないようなかなり派手で豪華な着物と帯をまとい、
すっぽんから登場し、ピンスポットをいただき、
ひとしきりあれこれ喋りたおし、
鳥家に向かって「タタタタッ」と走る去るというのを体験し、
温かい観客の皆様方から拍手をいただき、
これはもう役者冥利に尽きるというものだ。

夫が生きていたら、きっと身もだえして羨ましがったと思う。

考えてみたら、ピンスポットですら
ものすごく久しぶりだった。
夫と出会った頃所属していた劇団では、
おふざけでピンスポットの演出があったりした。
「愛の水中花」をバニーガール姿で歌うときとか、
「岸壁の母」をスパンコール付きの着物姿で歌うときとかね。
どんな芝居をしてたんだ、私は…。
最近は、オーソドックスな芝居が続いているので、
ピンスポットは使わない。

いや、あのすこーんとピンスポがあたる感じというのは、
なかなか気持ちがいいものだ。
ああ、目立ちたがりで自分大好き人間だった夫に、
同じ体験をさせてやりたかったなぁ。

昨年の春以来、舞台に立っていなかった。
最後の舞台は夫と夫婦役で掛け合い漫才風の出番だった。
ありがたいことに、お客さんには良く笑っていただけた。
それ以来、舞台でお客さんのウケをもらう場がなかったので、
今回はそういう意味でとても美味しい仕事だった。

多分、夫もあの世から「いいな~」と羨ましがっていることと思う。

最高の枕

2009年01月10日 | 日常
これまで使ってきた枕がへたってきたので、
お客さん用に買ってあった枕を使いはじめて数日。
寝心地がイマイチ。
ぐっすり眠れない。
首も痛いし、肩も凝る。
あきらかに枕のせいだ。
高さや、固さや、大きさが合っていないのだろう。
これまで使ってきた枕もへたってしまってからは、
なんかしっくりこなかった。

今の私にとって睡眠は、大きな娯楽と言ってもいい。

枕は大事だと思う。
子供の頃は小ぶりのそば殻枕だった。
結構高さはあったと思うが、
考えてみれば、子供時代は枕がどうだろうと、
布団に入ってしばらくすればすぐ瞼が落ちて、
朝までぐっすり寝られた。

枕や寝具にこだわらねばならないのは、
哀しいかな、年齢を重ねた証だ。

羽毛の枕がいい、パイプ枕がいい、低反発枕がいいと、
あれこれ試してきた。
夫とふたりでオーダー枕というのを作ったこともあった。
夫には、ベストだったようだが、
私は払った値段ほどの快適感はなかった。

テンピュール枕が少し前に流行っていた。
あれ、まだあるんだろうか?
買ってみようかな?と思いつつ、
どうせまたしっくり来ないかもしれないとも思う。

これまで私が試した枕で一番快適だったのは、

「夫の腕枕」

これを超えるものは、多分、ない。



あやしい人々

2009年01月08日 | 日常
うす風邪は、早めの対応で随分良くなった。

昨日、耳鼻科を受診した帰り路、
むしょうに唐揚げとギョーザが食べたくなった。
それも、高級中華のものではなく、
かといって手作りの家庭的なものでもなく、
大衆的なタイプのが食べたくなった。

普通、風邪ひいてたらお粥とか、鍋焼きうどんだろっと
自分でつっこんではみたのだが、
食べたいのだから仕方ない。
こういう時は身体の要求に従うのが良いと、
私はほぼ10数年ぶりにとある大衆中華のチェーン店に入った。
最後に入った時は、夫と娘と3人で入ったと思う。

その時入った店舗とは違うが
同じチェーン店に、ひとりでランチを食べに入る平日の昼下がり。

カウンターには、いったいこの人はどういう職業なんだろう?
という不思議感漂うおっさん、
メタボリックなサラリーマン、

あきらかにお婆ちゃんの年齢だろうに服装と髪型はギャル的で、
派手なストラップをつけた携帯でメールを早打ちしているナゾの女性。

ボックス席には、えらく元気に大声で喋りまくる爺さんと
それをうっとり見つめつつ、良いタイミングで相づちを打ち続ける
50代くらいの、あきらかに奥さんではなさそうなおばちゃまのカップル。

もう一組は、いい感じに枯れた
小津安二郎の映画に出てきそうな老夫婦なのに、
テーブルにはエビチリだの、炒飯だの、餃子だの、焼きそばだの、
それあんた達だけで食べるの絶対むりでしょ?
と心配になるくらいの料理が並んでいる、枯れているのかいないのか分からない
老夫婦。

そして。
ここからが大事!
メタボリックなサラリーマン以外全員が、
瓶ビールをオーダーして、ぐいぐい飲んでいたのだ。

言っておくが、平日の昼下がりである。

平日の昼下がりに瓶ビールをぐいぐい飲める人達は確かにいるだろうが、
こんなふうに大集合しているのを見たのは初めてだった。

カウンターの店員さんは、私も当然瓶ビールをオーダーするもんだ
という空気をかもしだしている。

思わず、私も「瓶ビール!」と言いそうになったが、
風邪薬を飲まなきゃいけないし、
年末年始の無茶飲みを反省ししばらく禁酒を誓ったばかりだし、
何よりも数時間後にナレーションの仕事をいれていた。

スタジオに酒気帯びで入るなんて、プロの風上にもおけない!
……あ、1回だけあった。
仕事が入っていない平日の昼間、
なんかご機嫌斜めの私の機嫌をとろうと
夫がイタリアンレストランに連れていってくれた。
「グラスワインでも飲んだら?」と、夫に勧められ
白ワインを1杯飲んだその刹那、
携帯が鳴り
「pecoさん、ごめ~ん。急で悪いけどこの前のなおしが入ったから来て!」
と、馴染みのディレクターから頼まれ、
食事を終えたあと、真っ赤か顔(私はワインはめちゃ弱いのだ)をし、
ふらつきつつ、
でも妙なハイテンションでスタジオ入りし、
仕事をしたことがある。
あとにも先にもそれ1回だけだ。

やはり、ここはビールじゃないぞ。
と、思いとどまった。

それにしてもだ。
あの昼下がりの中華屋チェーン店の風景は、
ほんっとにあやしかった。
そして、そこにとけ込んで居る私は、
他の人やお店の人からはどう見えたのかがちょっと気になる。

餃子と唐揚げのおかげで、スタミナが出た。
今日は、野菜中心のランチバイキングの店に行って、
たらふく野菜料理を食べた。
ひとりでホテルのランチバイキングって、哀しすぎ~
とはおもわなかった。
栄養とるぞ、元気だすぞ、と目的がはっきりしてると、
全然寂しくない。
家でぼそぼそと、うどんすすってるより全然寂しくないのだと
よくわかった。

ま、ひとりでそこのランチバイキングに来てたのは私だけだったけどね。
ある意味、周囲からみたら
充分私はあやしいかもしれない。







うす風邪

2009年01月06日 | 日常
目の奥が熱い。
喉が微妙に痛い。
声にのびやかさがない。
なんとなく関節も痛いぞ。
ありがたいことに熱は今のところない。

あきらかにうす風邪なのだが、
なんだかそれを認めた瞬間から
もっと症状が出そうなので、
気のせい、気のせいと一日過ごしてみた。

昨日も体調がイマイチだったが、
それは前夜に深酒し、
睡眠時間が短かったせいだと思っていた。
ひとり鍋をし、長湯をし、早寝したら治るとたかをくくっていた。

で、今朝。
なんとなくいい感じかなと思って、
予定どおりの行動を淡々とこなす。
友人とランチもした。
帰宅して20分昼寝をした後、
鏡を見た。
そこには、どんよりした顔の中年女。
夫がいたら「その目は、風邪っぴきの目だぞ。医者行け、医者。」
と明らかに言うだろう顔。
今は誰も言わないから、自分でつぶやく。
「風邪っぴきの目だぞ。」

ひじきや高野豆腐を煮た。

私は、体調の崩しはじめには
保存食をつくり、掃除洗濯をすませておく。
でないと、安心して寝込めないから。

今夜、仕事をこなしたら金曜日まで一応空く。
雑用は少しあるが、融通はきく。
とにかく、今夜を乗り越えたら明日は病院に行き寝ていよう。
週明けに大きな仕事が入っている。
ほんとはその練習や、
担当してる講座の発表会のための選曲もしないといけない。

「大丈夫、大丈夫。」
夫の笑顔と声を思い出して自分を励ましてみた。

たまたま、その時テレビから以前夫がナレーションしたCMが流れた。
たまたまだけど、なんかちょっと「おっと」と思った。
夫だけに…。
駄洒落を言ってる時間があったら、
そろそろ行く準備しろって話しだ。

では、みなさん、風邪にはお気を付けあそばせ!

捨てる神あれば…

2009年01月03日 | 日常
こっちから連絡しなかったら、だ~れからも連絡ないじゃん。
あたし、人気ないのね。
勘違いだったのね。

と、現実を思い知らされ結構打ちのめされつつ起床。
パソコンのメールボックスに、
今私が一番連絡がほしいと思っていた人からのメール。
年末に返信は期待せずに、ご挨拶メールを送っていたその返信。
そして、その内容は私がこう返信してほしいと思う内容そのままだった。

この人には、何度も何度も救われている。

で、そのメールに元気をもらい、
今日は陽のあるうちにお酒を飲むのをやめた。
掃除と洗濯をした。
その途中、携帯メールが届いた。
人生の先輩として私がカッコイイと思っている
ステキな女性からの「ランチ行かない?」とのお誘いメールだった。
以前から、美味しい珈琲が飲める店があるとすすめてくれていた店に
送り迎え付きで連れて行ってくれるとのこと。

のったぜ!

孤独と向き合う予定だったが、1日2日と充分向き合ったし、
私から誘ったわけじゃないから、これは有りだとこじつける私。

結局、ランチからティータイムになだれ込み、
それでも喋り足りずにうちに上がってもらって、
夕食直前まで話し込んだ。

元気が出たので、夕食後、
仕事で覚えなければならない原稿とビール片手に向き合い
半分くらいを頭にいれた。(結局飲むんかいってつっこみはなしでよろしく)

楽しみにしていたお笑い番組を見ていたら、
ブログ友から可愛い写メが届いてほっこりする。
ああ、私はひとりじゃないのだと今日一日でしみじみ感じた。

明日の夜は新年会でまた飲むのだが、
明日を最後にしばらくお酒とはさよならである。
多分、お酒がなくてもやっていけると思う。

孤独とむきあえたのか、
自分の境遇をちゃんと理解し受け入れられたかというと微妙だが、
独りの時間と、人と過ごす時間、
どちらも私に必要で大事だということが良く分かった。

明日の日中もひとりだけど、きっと上手に過ごせる気がする。




初めてのひとりの正月の過ごし方

2009年01月02日 | 日常
とにかく、誰とも連絡をとらないこと。
ひとりで過ごすこと。
そのかわりお酒は家庭内飲み放題。
吟醸酒、ビール、ウィスキー、ワイン、芋焼酎、なんでもある。
時間無制限。
テレビも見放題。
テレビに突っ込みもし放題。

ということで、元旦と本日2日を過ごした。

30日は年下の仲良しの友達とがんがん飲んで、
わ~わ~喋り倒した。
帰宅は午前2時半をまわっていたかと思う。
31日は、一応正月の自分の酒の肴の仕込みに励んだが、
夕方から夜にかけて心優しき友人が、
男前の地元の若い役者を連れて遊びに来てくれて、
また喋り倒した。

で、その2人が帰ってから私はほぼ誰とも喋っていない。
ほぼというのが微妙だけど。
入院している母と喋ったのと、
先日の新聞取材の担当者からかかった電話の応対はしたし。


幸い、正月はお笑い番組が目白押しである。
酔っぱらって、げらげら笑いながら見るお笑い番組は楽しい。
つまんないコンビや芸人には、なぜか上から目線で
「前フリが長いんだよっ」とか
「オチ、いきなりすぎやろ」とか文句を言う。

夫が生きていたころの正月は、
チャンネル権は完全に夫が握っていた。
ていうか夫はいつもリモコンを握っていた。
握りしめていた。

で、マラソンとか将棋の特番とかばっかり見るので、
ここまでお笑い番組をがっつり見たことがなかった。
夫が見ている私には全然興味のもてないマラソンや将棋特番を、
興味あるフリをしてむりやりいろいろつっこんだり、
夫に質問し、そのうちぼろが出て
「お前、全然興味ないんなら、ムリムリに話しかけてこなくていいし」
とよく言われたものだった。
そう言われると、することもなくなり、
夫にもたれかかってうたた寝をしていた。
で、そのうち夫がリモコンを私に渡して
「お笑い、見る?」と言うまで待っていた。

それが今は見放題だ。

夫とふたりで毎年見ていた、
ペーパードライバーのタレントが、
車を運転してチェックポイントを通過してゴールする番組も見た。

相変わらず面白い番組だった。
ほろ酔いでゲラゲラ笑っていた。
ひとりの部屋にひびく自分の笑い声が哀しくなり、
夫と一緒に見ていたことを思い出して
最後は笑い泣きになった。
この番組を見て泣いているのは多分私だけかも…
と、思ったらまたおかしくなって笑った。

泣こうが笑おうが、叫ぼうが酔っぱらおうがひとり。

らくちんで、寂しい。
いや、寂しくて、らくちんなのか。

こちらから誰にも連絡はしないけど、
連絡があったら返すのはやぶさかではないと思っていたが、
もののみごとに誰からも連絡はない。

鍋パーティーをしましょうと言っていた彼らも、
結局何も言ってこなかった。
こちらから「どうするの?」と言うほどでもないので放置してある。

いつも遊んでくれるシングル仲間たちも
さすがに正月は実家に帰るか
もしくは仕事をいれている。
私も「今年の正月は孤独と向き合うからね~」
と宣言してあることもあるのだろう。

いやはや、この世にお酒とテレビのお笑い番組があって本当に助かった。
笑って泣いて酔っぱらって、
5日からはすっきりと仕事に励もうと思う。