音楽にこんがらがって

音楽制作を生業としている加茂啓太郎の日常

カンパニュラの憂鬱のC/WとDVDについて

2014年08月11日 | 音楽
シングルのカップリングにこそA&Rのセンスと愛情が問われと思ってます

表題曲より少し面白くない曲が入っているだけでは意味が無いですから。

カップリングでは表題曲では出来ない実験や表現、
そのアーティストのアザーサイドにトライする事で、そのアーティストがより立体的になり、魅力的になると思います

なのでカップリングがカバーというのは、そういう意味で最適なんです。(ただ出版の権利が固定されているため利益が下がるというデメリットもあります)
名曲なので曲のクオリティーは表題曲に勝ってもおかしくなく、意外な一面を見せる事も可能です。

カバー候補は考えに考えました。カバーするのはただ良い曲だというのではなく批評性が必要なんです。
岡村靖幸の曲を寺嶋由芙がカバーするという事は、当時アイドル的なスタンスを構造としてアピールしていた 彼の曲を20年後に本当のアイドルがカバーするという事は曲自体の目的が表現者が変わる事でメタからリアルになるわけです。

歌詞のジェンダーが拗れるというのは歌舞伎から始まる日本の大衆芸能のユニークなところですが、オリジナルの歌詞は「女の子ために歌うよ」ですがマネージメントの了解を得て「男のために今日も歌うよ」と交互になるように変更しました。

「プリーズ・ミスター・ポストマン」のビートルズ・バージョンとカーペンターズ・バージョンもHe とSheが変わっていて、これがヒントですね

リリイベで本人が、男のためには男の子に手を振り、女の子のためにでは女の子に手を振り「ゆふぃすとのために今日も歌うよ」と本人が変えていたのも曲が現場で育って行く感があって最高でした

アレンジはなかなか方向性が見えなかったのですがイントロをばっさり切ってテープの巻き戻し音にしたところから何かイメージが見えて来ました

歌メロもそのままコピーだと岡村ちゃんの歌い回しのキャラクターが強すぎるので微妙には変えさせてもらってます。
オリジナルはラストサビは1回なのですが 、これは2回にしました。

コーダの「ヘポタイヤ」コールは現場で想像以上に盛り上がっていて、予想以上で嬉し過ぎです。


「80デニールの恋」はゆり花ちゃんは2年くらい前からコンタクトを取っているSSWのレパートリー

音楽業界でディレクターをA&Rというのは、60年代前半まではディレクターの仕事というのは、その歌手に歌わせる良い曲を探してくる事だったんです。

なのでビッグネームがローカル・ヒットをカバーしてグローバルなヒットにするというのは良くある話だったのですが、ビートルズ以降自作自演がメインストリームになってしまったため名前だけが残ったという事です。

そう、本来あるべきA&R仕事をしたという事ですね

この曲は本当に良いと思っていて、何かやりようないかと思ったはいたんですが、ハガシ&チェキ担当のハチが「これゆっふぃーでカバーしませんか」という提案で決まりました

歌詞に本人のリアルがかぶりそうなのが良いと思います。

アレンジはローズピアノでフリーソウルでというオーダーですがrionosのテイストもよい感じで混ざってま
80年代AORを狙う東京女子流とかEspeciaとかいますけど、僕に言わせれば、どこかオマージュの以上でも以下でもないんですが、
これは狙っては出来ないオマージュだと思います。

アマチュア・アーテイストの名曲をカバーするというのは前述の出版権の問題もクリア出来るのでかなり良いアイディアだと思いますよ(ドヤ顔)

アイドルのカップリングのDVDはAKB48の「So Long」のDVDは大林宣彦監督の作品なんですが、これは彼が監督した映画「この空の花、長岡花火物語」を見てない人にはほぼ意味が分からないだろうという最高の映像作品もありますが(これを企画を出したのが秋元康さんならやはり恐るべしです)

でもほとんどはMVとメイキング あるいはバラエティー番組的な企画の映像で、腹立たしいのは「こういうDVD作っとけば問題ないでしょ」というような
志の低さんなんです。

話ずれますがMVとメイキング入れるなら副音声くらいは入れるべきだと思いますよ。DVDよりPC、スカパーHDの方が画質が良い時代なんですから

なんやかんや言ってもファンが見たいのはまずはライブだと思うので限定版1は彼女の初企画ライブから全曲
「ロマンティック 浮かれモード」はゆふぃすとのバイブスも最高で入れたかったんですが、シンクロ権という物が音楽を映像に合わせる時に発生するんですが、
その経費かかりすぎるという事で断念しました。すいません

アイドルの面白いところは、ファンが喜んでもらえるものなら、それは正義であるという事なんです
みんなが見たい、寺嶋由芙を見せてあげますよ。どれがお好みですか?というのがこの限定版2のDVDのコンセプトです

1枚のDVDで全曲同じというのは他に無いんじゃないですか。でもここまでやるとどこかコンセプチャル・アート感も出て来て、それも意外で面白かったです

次回作も出せれば頑張りますので期待して下さい

カンパニュラの憂鬱(初回限定盤A)(DVD付)
寺嶋由芙,ジェーン・スー,岡村靖幸,ゆり花,rionos
ユニバーサル ミュージック