音楽にこんがらがって

音楽制作を生業としている加茂啓太郎の日常

マスタリングの歴史30年

2011年05月29日 | 
1981年のリリースされた「ロング・バケーション/大滝詠一」日本のポップスのマスターピースとして、いまだに聞き続けられる名盤なわけですが、先日30周年記念盤がリリースされ、正式には5回CD用にマスタリングされています(正確には7回)

これだけマスタリングが違うCDが存在するのは世界中でも多分ないと思います。

そのすべてを最高のオーディオ装置で聴こうというイベントに行ってきました。

頂点の録音技術で残された作品を最高の環境で聴く。めったにない機会です。

82年の発売されたものは出席者のオーディオ評論家の和田博巳さんをして「カセットをドルビー入れて聞いてるみたいだ」との事。
そのしょぼさに愕然です。
でも、あれを当時は「新しいテクノロジーだ」と僕も含めてありがたがったわけですね

その、しょぼさに驚いた大滝さんはマスタリングのやり直しを2回オーダー。
というわけで最初のCDは同じ品番なのに音が違うものが3種類あるわけです。

なので世界に最初のリマスターCDを出したのは大滝詠一さんなわけです。

そして順をおって「君は天然色」を順番に聞いていったのですが、30周年盤になると
、その和田さんをもってして「30年かかったCDはやっとアナログ盤に追いついた」
と言わしめた訳です。

驚かないですか? 今、マニアしか聞かないアナログ盤にやっとCDの音質が30年かかって追いついたんですよ。

利便性やコスト・パフォーマンスばかりではなく、音質のこだわり、それも音楽を聴くうえで追及しつづけなければならないと改めて思いました。

マスタリングについて大瀧さんとの対談が、この本にあります。それだけでも読む価値あります。

サウンド・クリエイターのための、最新版デジタル・オーディオの全知識
柿崎 景二
白夜書房