
私の中での英語とフランス語の違い。未だに不思議なのだが、フランス語を始めて、急速に歴史や文化・文学・絵画・哲学など広い分野に興味が湧いてきたのだ。おそらく教材の中にそういう財産が鏤められていることが大きかったのだろう。それらを説明するためにはそれを感じる受容体を働かせなければならなかったからだろうか。この言葉を学んでいる過程で、世界が広く深くなっていくように感じて嬉しい限りである。このことをフランスの方に話すと皆さん笑っているが、実感である。英語の教材ではもっと現実に即した、実利的な話題が多いような気がするのだ。
英語は日常の実務を処理する言葉。現実と向き合う時の言葉。そこから文化的なところに入ろうという気にはなかなかならない。フランス語は、現実を過去に蓄積された歴史・文化・哲学などに照らして考えようとする時に有効、あるいはそういう方向に私を誘ってくれるというのがより正確かもしれない。ハイデッガーではないが、確かに 「言葉は存在の住処」 "La langue est la maison de l'être."、精神・文化の居場所であることを実感しているこの頃である。