作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 透析生活10年目 (10) 】

2006-11-25 14:20:00 | 09 透析生活15年目


ボクのことを50代半ばとみてくれた例の
「非常口」。

このところ姿を見せません。

「心臓があかんねや」って言ってたから、
どこかの総合病院に入院中なんでしょうか。

なにしろ「常ならざるクチを利く」ヤツだから、

「あんた、そないな年やったら、いつ
ポックリいっても思い残すことないやろ」

「アホ言え、そう簡単に行ってたまるか」

「生き残ってナニすんねん」

「ナンボでもあるわ。モーツアルトも聞かな
 あかんし、ブログもあるし・・・・」

「へぇ~、あんた音楽やら分かんの、へぇ~」

「えらい悪かったな、オレがモーツアルト
 聞いたらオカシイか」

「いや、別におかしいはないけど、趣味
 広うてええなぁ~」

「せっかくの人生や、なんでもやらな」

「ブ・ブログってなんや」

「言うても分からんやろ」

そこで体重測定が始まったから、非常口との
ダベリは中断。

「相変わらず節制してますねぇ~、
 たった1000だけ」

それを聞いた、回りの3~4名がビックリする。

みんな3500以上増やしてくるから。

「今頃おなかを引っ込めてもダメよ」と婦長が言う。

言われたのは中年のオバサン。ふっくらしている。

たまたまトナリのベッドだから、計器を
みたら3500除水だった。透析で血中の
水分を3.5リットル取り除くんです。

ボクは1リットルだけ。オシッコなんか一滴も
出ないでの数字だから、我ながら立派なもの。
なにしろ基礎代謝が凄く高まった身体になっている。
7年はやったテニスのおかげです。

普段は可愛いナースが、真剣に怒っている。

「いい加減にしないと、もう本当に知らんよ。
 もう夏ちゃうねんからね。少しは水分調節
 ガンバル気にならなきゃ」

あとで聞いたら5リットルの除水だそうで、
こうなると5時間透析となります。
それでも1時間当たり1リットルの水を取る。

身体、特に心臓が痛んで当たり前。
透析患者に一番多い合併症が心臓病。

たった1リットルを3時間半で摂るから、
心臓もビクともしない。

このクリニック、4時半にコーヒーが出る。
パラマウントベッドで足も頭も高くしている。
そのまま起き上がりコーヒーを飲む。
足は上がったまんま。

それを見た婦長が、
「足上がったままで、よく起き上がれますね」
と感心してくれる。みんな足を下ろし、半数
以上はナースに肩を持たれてやっと起きるそうで、

「鍛え方がちゃいますわ」

9ヶ月のテニス・アブセンスで、腹筋も背筋も
相当に落ちた。
いつまで、こんな強気なセリフが吐けるんだろうか。




                                       パパゲーノ


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