作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 透析のハナシ 】

2010-02-18 13:49:00 | 09 透析生活15年目

このところ体重が安定している。
暴飲暴食なんてことは、絶対にやらなくなって長いこと、
ビールすら飲まなくなったから、体重の安定も当然の結果ではある。

それでも透析での除水量は2200ccである。
つまり前回の透析からの二日間で2200ccの排水が身体に
溜まったというわけである。

ちなみにボクは完全な無尿である。
オシッコの代わりに、摂った水分と、水溶性の老廃物を、
血液を浄化することで除去しているわけである。

溜まった排水は血液中に入り込んでいる。
透析時間が経過するうちに、総血液量が減るから、心臓の
血液送り出し機能が楽になり、その結果血圧が下がってくる。

昨日の透析で、残り30分で計測した時点で、最高血圧が
128であった。快調である。
ところが、その直後からあくびが数回出た。

これは警戒警報である。
計測したら、100しか無いと泣きそうな顔になった。
彼女は一番若いナースである。

それにしても僅か5分で80もの降下は異常だ。
若い子はどうしたらいいか分かっていない。
ムリもない。こんな急変に慣れていない。

こんな時は患者自身が判断を迫られる。
中堅どころのナースを呼び、残り時間と、除水すべき残量を
確かめた。

時間は18分、除水量は280ccだという。
そこで除水目標値を100cc少なく調整してもらい、若い
ナースをまじえて、なるべく大きな声でしゃべることにした。

あくびは出なくなり、そのままで完了に持ち込んだ。
終わってからの計測でも106しか血圧上昇がなく、しばらく
ベッドで休んだ後に、再度計測したら、今度は104でしかなかった。

普段は140以上で帰途につく。
ままよと104のままで、いったん会社に帰り、多層の仕事を
こなしてからマイカーで帰宅した。

眩暈もふらつきも無かった。

こんなボクは、去年5月の腰部手術はうまくいったが、
内科的なトラブルが起きて、血圧がなんと230まで上昇して、
それが何ヶ月も続いたのだった。

明らかに脳が影響を受けた。
しゃべることが難しくなり、食欲もなくなって、体重が激減した。

脳の精密テストを受けたのが9月15日。
その前日に、ボクは透析室を出るに当たり、すべてのスタッフに
別れの挨拶を行った。
9月15日はボクの命日になる予定であった。

この世の名残にと神戸空港へ行き、屋上にある鮨屋で、
食欲はなかったが、一切れの握りを口に運んだ。
それがまことに美味であった。

ボクは鮨屋に双皿、三皿と追加注文し、それからボクの身体が
急回復に向かったのだ。

人体はまことに微妙に、そして精密に出来ている。


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