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SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS Old Navy Never Die 戦艦「長門」の戦後史

2014-08-25 21:25:58 | おススメSS

Old Navy Never Die 戦艦「長門」の戦後史

架空戦記を紹介したいと思います。
さて、「長門」といえば神疑惑のある少女を監視するために派遣された、
某無口宇宙人のキャラがこれまで連想されて来ましたが、近年の艦これブームでようやく戦艦「長門」の知名度も上昇したようで何よりです。

今回の話しの展開としては、
太平洋戦争終了後、本来ならば核実験艦としてビキニに消えるはずだった「長門」が、
もしも史実で計画されていた捕鯨母船へ改装され、生き残ったらどうなるか?
そして、海上自衛隊護衛艦「ながと」として「長門」が行き着く先は何か?

派手な戦闘こそレイテの戦いを除きありませんが、
長門の最後の奉公である伊豆大島の噴火での活躍、ぜひ見てください。


すべての用意は整った。
「ながと」は伊豆大島元町の西南西、距離一〇〇〇メートルという戦艦(・・)にとっては超至近距離を速力一五ノットで航行しながら、その命令を待つ。

佐竹は双眼鏡で外の様子を見た。大量の発炎筒が出す煙の束を、「ながと」探射灯がしっかりと捉えている。
佐竹はすうっと息を飲み、下令した。

「射撃開始!」
「撃ち方始め!」

艦長の命令と共に砲雷長の、

「撃(て)ぇ!」

の号令が響き、艦橋最上部の射撃指揮所に詰める射手が引き金を引いた。電気信号に変換されたその指示は「ながと」の四基の主砲塔へ瞬時に伝わり、装填されている火薬を規則正しく炸裂させた。
時間にしてゼロコンマ数秒以下のタイムラグを置いて、「ながと」はレイテ沖海戦以来実に四二年ぶりとなる実戦(・・)で主砲を撃ち放った。
「ながと」のいる場所だけ、闇が綺麗に切り取られたかのように明るくなった。ほぼ同時に身体をてっぺんから殴られたかのような轟音が響き渡る。
砲口から飛び出した八発の一式徹甲弾(原設計は一九四一年である)は初速毎秒七九〇メートルの速度を与えられ、発砲から一秒強で目標となる中間地点に命中、優に数十メートルは地中に潜った後に信管を作動させ、爆発した。
着弾した場所は大量の土砂を噴き上げ、月面のクレーターのような穴を穿つ。
「ながと」は三〇秒に一回のペースで一度に八発の主砲弾を撃ち続ける。主砲の装填機構を改良していたおかげで、戦中の半分の時間で射撃ができるのが幸運だった。

 元町へ戻る車中、最初の射撃を目撃した川田は思わず、

「長門!」

と叫んでいた。
三原山のもたらす恩恵に与るだけのシケたこの島が嫌で海軍に入り、自分の若き時代を象徴する戦艦が、嫌でたまらずに出てきたのに、潰れてしまった海軍のために結局は戻らざるを得ず、今日まで生きてきたこの島――に暮らす住民を救うべく戦っている。その光景に彼は叫ばずにはいられなかった。
波浮港に集っていた住民たちが、島内のバスに分乗して元町へ送り出されている。その頭上を、真っ赤に焼けた灼熱の弾丸が飛び抜けていく。
島民たちはみんな、沖合いで火を噴き続ける「ながと」の姿を目に焼き付けていた。
それだけではない。元町に残っている島民たちの誰もが――役場にいる対策本部の面々も含め、老嬢の奮闘を見ていた。
誰が最初に言い始めたのかは分からない。
気付いたときには、元町に集結した残存島民二〇〇〇人の大部分が、

「頑張れ、『ながと』!」
「『ながと』!」
「俺たちの町を守ってくれ!」

と、老若男女問わず海に浮かぶ彼女へ精一杯の声援を送っていた。







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