「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



どんよりとした曇り空。
屋根付きのスタジアム。
「蒸し暑いんだよね、味スタって」
消耗戦が続くJリーグ。
ナビスコ杯準々決勝を挟んだ東京と、
怪我人続出の浦和の対戦。
「お互いまさかこの順位で当たるとは思わなかったよね」
下位に低迷する両チーム。
負ければ降格争いに吸収されてしまう危機感を抱いた試合。

GK山岸
DF平川・スピラ・暢久・サヌ
MF細貝・柏木・ロビー
FW原口・エジミウソン・峻希
リザーブ順大・坪井・堀之内・永田・濱田・林・高崎
二種登録された倫太郎くんは高円宮杯に。
出場可能なフィールドプレーヤーはこれで全て。
誰がいないから厳しいとは感じなくなっているのは、
戦術によるものだろうか、
それとも慣れてしまったからだろうか。

「手強いか!?」
東京が攻める、パスを繋ぐ。
浅い位置で浦和のミスを誘発する。
「オフサイドだ」
副審の旗が上がる、ネットが揺れる。
「風が抜けないねぇ」
白く霞むピッチ、暑い。
ボールを持てないのか、持たせているのか。
「前半は温存、ってことかな」
原口がPA付近からシュート体勢に入る。
「ファール!PKじゃないかぁ」
細貝のタテパスから柏木がシュート。
「ちょっと遠かったか」
20分、羽生out今野in。
「怪我!?」
「怪我人の後に怪我人入れるの?」
迷走するチームを象徴する交代。
体力を消耗する夏の試合。
先にカードを切ったのは東京。

広いエリアをカバーする細貝、柏木。
タテに走る原口、峻希。
緩急を付けるロビー。
落ち着いた捌きを見せるスピラ、暢久。
気持ちの篭ったプレーを魅せてくれる。
「さあ、頑張ろう」
37分、東京2人目の交代。
「何で?これも怪我!?」
これで体力勝負ならウチのものか。
「フリーだったのに…」
ロビーのミドルはポストの左。
「どうする、どうするの?」
梶山を捉え切れない。
「助かった…」
シュートはポスト直撃。

前半終了、0-0。

右から峻希、左から原口。
真ん中から柏木とロビー。
攻める浦和、混乱する東京。
「決定機がないんだよね、まだ」
セカンドボールを拾う、サイドに展開する。
相手を崩し切れない。
「暢久が倒れてる…」
「ダメなのか…」
56分、暢久out坪井in。
その直後、柏木のミドル。
「惜しい!」
遠いエンドで山岸が跳ぶ。
「危ない…」
平川のクロスにエジミウソン。
「勘が鈍いなぁ、エジ」
空気が薄い、集中力が切れそうになる。
「頑張ろう!」

PA内に原口が突っ込む。
「PK!!」
主審がスポットを指す。
「決めてくれ、頼むぞロビー」
右に跳ぶGK、右に飛ぶボール。
浦和先制、0-1。
「大事に行こう、集中しよう」
原口が中央から狙う。
「いいシュート打つよね、原口って」
畳み掛けたい浦和、エジの動きが重い。
「決められるストライカーがいたらな」
「ホリと原口が交代みたい」
24番のボードが見える。
エジが倒れている。
78分、エジミウソンout堀之内in。
30℃を超える気温、選手が壊れていく。

79分、原口out高崎in。
「頑張れよ、決めて来い!」
CKからシュートを浴びる、クロスバーに救われる。
浦和カウンター、相手選手が倒れている。
「ワザと?」
「違う、ダメみたい」
一度戻るも再びピッチ外に出る鈴木達也。
「向こうは10人だ」
アディショナルタイム4分。
軽くざわめくゴール裏。
「集中!最後までしっかり!」
間延びする両チーム。
カウンターの応酬。
「真ん中しっかり!」
「打たせるな!」
不安定なレフェリングに怒る相手GK、浦和ベンチ。

笛が鳴る。
「勝った…」
巻き込まれたのは東京。
僅かな可能性を残した浦和。
ひとつひとつ、ひとつひとつだよね。

9勝4分9敗、勝ち点31。
ACL圏内まで9差。
降格圏内まで10差。
諦めずに戦うこと、みんなで戦うこと。
次も、その次も埼スタだから。



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