「誇」-URAWA REDS-
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「照り返しがね」
「駒場って、こんなに暑かったっけ?」
30℃を越える気温。
青い空の見返りは照りつける太陽。
「こんな暑い時期に天皇杯なんてピンと来ないよ」
2回戦からなんて、罰ゲームのような感じがする。

GK山岸
DF平川・坪井・暢久・峻希
MF濱田・柏木・ロビー
FW原口・エジミウソン・セルヒオ
リザーブ大谷・永田・矢島・林・高崎
「天皇杯ってベンチ入り5人なの?」
「そうだったっけ?」
相手のベンチ入りは7人。
「ウチ、これで全員なんだ…」
代表召集、負傷者と順大を除くとこれがウチの全選手。
しかもユースから倫太郎くんをあげて漸く16名。
勝って当たり前が当たり前じゃないのが浦和。
気合入れなきゃ、と思っても
どこかで“勝って当たり前”と思ってしまっている。

「酷いな、ピッチ」
芝が捲り上がり、土が覗くグラウンド。
上手くパスが回るのか、
足を取られて怪我してしまうのでは。
それを気にしすぎてやられてしまうのでは。
戦う姿勢に成り切れない僕の立ち上がり。
久々に昔の定位置付近に戻ったのに、
中心が引っ張っているのに、乗り切れない。
縦パスからロビーのシュート、
GKが弾いたボールにエジが詰める。
5分、浦和先制1-0。
「これで大丈夫かな」
早い時間帯の得点、
経験の少ない選手たちも落ち着いてプレー出来るはず。

「デッカイって、いいよね」
一際目立つ水輝。
「やりたい放題だよ」
深い位置取りからドリブルを仕掛ける原口。
「1点取れば突き抜けられるんだろうなぁ」
この試合、1番点を取って欲しい選手。
仕掛ける、PA内で倒される。
「PK!!」
「何だよ、ジョージ…」
主審は柏原丈二氏。
ピッチ状態に苦しむ選手たち。
「もうちょっといい環境でやらせて上げたいよね」
スピードに乗って左から平川が走る、倒される。
主審がPKスポットを指す。
「当たり前だよね」
30分、ロビーが決める。
浦和追加点2-0。
「点差開けばロビーを休ませてあげられるよ」
個人能力の差は明らか。
大量得点を狙いたい。

柏木のシュートは味方がブロック。
「セル邪魔だよ…」
ロビーのパスにエジが反応。
「セル、被って…」
後ろを回りエジからセルへ。
「決めろ!」
39分、浦和3-0。
「セル、喜びすぎだって」
「次はグッチぃくんだね」
仕掛けて交わしてシュート、決まらない。
ひとつ決まれば一気に行けるのに、決まらない。
「グッチ、頑張れ!」
45分、CKからロビーのボレーが決まる。
浦和4-0。
「気を抜かなきゃ勝てるね」
「暢久が要注意、だね」

前半終了、4-0。

「来た!!!」
48分、原口が決める。
「良かった、良かったね」
「エジもロビーも“お前が決めろ”みたいだったよね」
5点差、流石に相手の動きも緩慢になってくる。
「向こうは中1日だしね」
「でも良く走ってるよね」
格下に不利な条件で行う試合に果たして意味はあるのか。
「怪我だけは気をつけろよ」
西側でセルが倒れている。
「ダメ?」
57分、セルヒオout高崎in。
「結果残せよ、高崎」
60分、ロビーout林in。
「歩いてたからセルは大丈夫かな」
「これでロビーも休めるし」
こんなに穏やかな気持ちで試合を観られるなんて、
いつ以来だろう。
「ホンダロック戦以来じゃない」
「東京V戦とか柏戦もあったけど」
「ふたつともそんな余裕あった記憶ないなぁ」

柏木のスルーパスに高崎が突っ込む。
「いい根性してるねぇ」
スローインを受けてそのままシュート。
「いいぞ、高崎!」
コイツにも決めさせてやりたい。
チャンスを活かして欲しい。
72分、柏木のクロスに高崎が飛び込む。
「やったね!」
浦和、6-0。

74分、平川out永田in。
「いい展開だね、今日は」
右から林が上がる。
「打て、打て、打て!」
「打っていいのに…」
左から永田のクロス。
ファーサイドにエジが詰める、決まらない。
「エジらしい、か」
「左利きのクロスは気持ちいいね」
宇賀神とは違う質のクロス。
永田には永田のいいところがある。

右サイドを駆ける峻希。
「良く走るよね、峻希は」
林が裏に抜ける。
「打て、決めろ」
「惜しいなぁ」
暢久の暢久らしい集中を欠いたプレーに
ヒヤリとしたり。
ロビーが抜けた後の柏木の王様っぷりに
驚かされたり。
「間に合うぞ!」
88分、原口が決める。
浦和、7-0。

アディショナルタイム3分。
林のミドルはあと少し足りず。
ドリブル突破した原口、ハットトリックならず。
「そこまでうまく行かないか」

試合終了、浦和7-0東京国際大学。
相手のアマチュアリズムに大きな拍手。
走り抜いた選手たちに、温かい拍手。
浦和らしい、駒場らしい夜。

次も、その次も、その次も。
そして来年最初の試合が浦和戦になるように。
頑張ろう。

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