おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「義経千本桜」 @ 国立劇場・2月文楽公演

2011年02月16日 | 文楽のこと。
義経千本桜 @ 国立劇場・文楽2月公演

 「演目は義経千本桜」と聞いた瞬間から、勝手に「道行&河連法眼館」と思い込んでいました。「渡海屋大物浦&道行」であることに気付いたのは、ほんの1週間ぐらい前。「空飛ぶ勘十郎さまを見れる~♪」と信じ込んでウキウキしていたので、ちょっとシュンとしておりました。

 でも、「渡海屋大物浦」は、ストーリーがしっかりしていて、滅び行くものの哀れを感じさせる見応えのある段。派手なアクションで観客のハートを鷲掴みにする「河連法眼館」とは、また違った魅力いっぱいでなかなか楽しめました。

 壇ノ浦の戦いで死んだハズの平知盛が実は生きていて、船宿の亭主に身をやつして、義経がやってくるのを手ぐすねをひいて待ち構えている。天皇の乳母が船宿の女将、天皇は一人娘になりすましているというのだから、平家はなかなかの役者揃いということか。あっ、でも、結局は義経に全て見抜かれているのだから、やっぱり大した役者じゃないのかもしれないけれど。

 やっぱり、こういう正統派のイケてるお侍さんは、玉女さんのはまり役ですね。しかし、途中、海渡屋銀平(実は知盛)が、うだうだと独白をする場面があって、その場面は眠気には勝てずにしばし沈没。切場で、再び、覚醒。やっぱり、私は燕三さんの三味線が大好き。平家滅亡の場面に、燕三さんの三味線のどっしりと重た~い響きはベストマッチです。聴き惚れました。

 最後に知盛が碇を身体に結びつけて自害する場面で幕を閉じるのですが、ここが、まるでスローモーションで海に落ちていくような演出なのです。コレって、映像技術の影響ってことなのでしょうか? もしも、ムービーカメラが無い江戸時代からこうした演出をしていたのだとしたら、すごく斬新だったんだろうなぁ…などと考えました。

 そして、最後の「道行」。これは、もう、どんなに言葉を尽くしても足りません。艶やかで、楽しく、美しく。「渡海屋」を見終わった時点で、結構、エネルギーを使い果たした気分だったのですが…やっぱり、甘いものは別腹なんですね。

 簑師匠の静御前が登場したとたんに、ウットリした気分に。「菅原伝授」の桜丸もステキでしたが、でも、やっぱり、簑師匠の遣われる女の子って別格なんですよね。らぶな勘十郎さまが遣われている忠信の存在をしばし忘れてしまうほどに、静にクギ付けになってしまいました。もちろん、お楽しみの狐・忠信の早替わりは、何度見ても楽しいし、勘十郎さまの狐ちゃんは、本当に生きているよう。子どもだましに100回騙されたいぐらい、この演目が好き!

 1日の締めくくりが、こういう後味のよろしい演目だと、とっても幸せな気分で「明日からも頑張ろうっ」と思えてきます。
 

3 コメント

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知盛入水 (cota)
2011-02-23 11:25:36
ごぶさたです。
あの場面は玉男師匠の発案によるといつか読みました。
ただ、「どの部分が」ってのはいまいちはっきりしないのです。
淨瑠璃が「碇を取って頭にかづき・・渦巻く波に飛び入って」と
語るのだから、そういう場面は始めっからあったはずなので。
役に立たないコメントですみません。
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玉男師匠。 (おりおん。)
2011-02-23 14:37:53
cotaさん 

 ご無沙汰しております。コメント有り難うございました。 新参文楽ファンの私は、玉男師匠に間に合わなかったのですが、それでも「あの場面は、玉男師匠が最初に…」という話はよく聞きます。 もはや、ビデオ映像でしか見ることができませんが、玉男師匠の知盛も拝見したいものです。

 ところで、cotaさんは2月公演は行かれなかったのでしょうか? ブログ拝見させて頂いておりますが、2月公演の話題がなく、気になっておりました。

 相模人形芝居の項は、大変、興味深かったです。

 私は、次の文楽は3月の杉本文楽です。ただ、秋の巡業で「勘十郎・お初/簑助・徳兵衛」の曾根崎を見た時には、ちょっと、期待ハズレでした。 簑師匠のお初に比べると、勘十郎さまのお初があまりにも味も素っ気もない女に見えてしまったのです。杉本文楽も、簑師匠のお初で見たかったなぁ… 思いました。

 それでは、また。 

   
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今月来月の文楽 (cota)
2011-02-24 00:05:47
今月は行ったのですが、作文が滞ってます。
明日あたりから徐々に掲載できるかと・・

私も前回の勘十郎お初はあまり感心しなかったので、
簑助で見れた方がありがたかったなあ。
あと、あの劇場の珍妙な予約システムに出遅れて、
席がかなり悪いです。どうなることやら。
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