おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

文楽鑑賞教室Aプロ 伊達娘&三十三間堂 @国立劇場

2010年12月08日 | 文楽のこと。
伊達娘恋緋鹿子&三十三間堂棟由来 @ 文楽鑑賞教室Aプロ

 相子&清丈コンビ最高~! 文楽鑑賞教室恒例の文楽解説。今、文楽界でこれ以上のボケとツッコミは存在しないのではないでしょうか(って、文楽はボケとツッコミを競うものではありませんが…)。相子さんの伸びやかで楽しげな声と、清丈さんのノ~ンビリとしたテンポの会話を聞いているだけで、ちょっとトクした気分になれる。海老蔵ネタや、清水寺の今年の漢字一文字など、今的な話題を取り入れつつ、面白おかしく初心者に文楽を解説してくれる。

 さすがに、私も初心者解説は卒業できるぐらいの観劇を重ねてきたものの、でも、相子&清丈コンビの解説なら何度聞いてもいいなぁ…。会場は、何度も暖かな笑いに包まれました。

 …と、冒頭から演目ではなくて、文楽解説を熱く語ってしまうあたりが、なんとも、寂しいのであります。

「伊達娘恋緋鹿子(=いわゆる、八百屋お七)」-紋臣さん、大抜擢でした。10年後には、きっと、見目良く、華のある女形遣いになられていることを感じさせる舞台でした。でも、お七は、単に、品が良いだけでなくて、ある一線を超えたところからは、ラリってなきゃダメでしょう。最後まで、楚々としたお嬢さまで終わってしまったところが、やや物足りませんでした。床も「一糸乱れず」とまではいかず、なんとなく、パラバラとしていて迫力不足は否めません。まあ、鑑賞教室は、若手の人に大役が付くことで、きっと、次へのステップアップにつながる-と信じたいと思います。

「三十三間堂」。申し訳ありませんが、相当、沈没していました。もともと動きが少なく、睡魔に襲われやすい演目である上に、なんとなく、舞台の空気が緩いというか…今一つ、ピリピリとした緊張感が伝わってきません。勝手な思い込みかもしれませんが、人間国宝がお休みの月は、どうも、締っていない印象です。

和生さんのお柳、玉女さんの平太郎ともに、敢えて、感情を抑えた演技をされているのかもしれませんが、もうちょっと、夫婦が引き裂かれる哀しみ、子どもと別れる苦しみが伝わってきてほしいなぁ…。私は「化身する役柄はラリっているべき」論者なので、柳に化身するお柳が淡々と平常心でいるのがそもそも腑に落ちないのです。

というわけで、この演目、圧倒的にBプロの勘十郎さまお柳、玉也さんの平太郎の方が物語に感情移入できたのではないか-と思うのです。化身する役をやらせたら、勘十郎さまの右に出る人はいません。それに、以前、玉也さんの平太郎を拝見した時、「厳格だけども慈愛に満ちた父親」のキャラクターがきっちりと作り込まれていて、安心して見ていることができました。

誤解を恐れずに言うならば、「解説はAプロ、配役はBプロ」が12月鑑賞教室の理想の組み合わせであったように思います。

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