おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「制服捜査」 佐々木譲

2008年03月22日 | さ行の作家
「制服捜査」 佐々木譲 新潮社 (08/03/21読了)
 
ま、そつがないというか…安定していますね。舞台は大不祥事発覚後の北海道警。特定の地域、特定の担当に長期間留まることが癒着や不正の温床になると、専門性や築き上げた人間関係を無視した人事異動が敢行される。捜査畑でキャリアを積んできた刑事が、ある日、田舎町の駐在さんになるところから物語はスタート。

 地域の防犯活動という本分を守りつつ、本能的に「刑事の視点」「刑事のカン」を働かせる駐在さん。地域の顔役や所轄署の刑事の手前、捜査に加わることはできないけれど、縁の下の力持ちとして、さりげなく、捜査の方向性を軌道修正したり、事件解決に一役買ったり。駐在さんの冷静な人柄と、刑事としてのクールな目を淡々とした文章が引き立てています。

 短編集というか…もともとは文芸誌に何回かにわけて掲載されたものを、まとめて一冊にしたもの。うーん、でも、佐々木譲って、長編のようが本領が発揮されるような気がします。
 


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