おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「警察庁から来た男」 佐々木譲

2008年05月25日 | さ行の作家
「警察庁から来た男」 佐々木譲著 ハルキ文庫(08/05/25読了)

 めちゃめちゃ楽しい~!!! ラストのシーンなんて、あんまり気持ちよすぎて、一人、うふふふと笑ってしまいました。やはり、今、警察小説を書かせたら佐々木譲と今野敏が双璧ですね。

 北海道警を舞台にした「笑う警官」の続編。「笑う警官」を読んでいなくても、これはこれで楽しめるように配慮されているとは思いますが…でも、やっぱり、「笑う警官」を読んでからの方が2倍も3倍も楽しめるハズです。「笑う警官」で道警の不正・腐敗を暴いた佐伯、津久井らのメンバーは、「身内を売った」咎で、それぞれに懲罰的な人事待遇を受けて、陽の当たらない職務をこなすしかない日々。そこに、警察庁から若いキャリアが監察官として乗り込んでくるのです。警察庁が、「道警の処理がおかしい」とにらんだ事件が少しずつ、佐伯、津久井ら当時のメンバーを引き寄せ、再結集させるのです。

 謎解き部分も、もちろん、緻密に作りこまれています。事件のキーマンとなる人物については、ストーリーの途中でさんざんヒントを与えられ、そのたびに、「もしかして、あいつ?」とページを遡ったりするのですが、なかなか、確信は得られず。で、種明かしされた瞬間「あっ、やられた!」と思うのでした。読者のハメ方が上手いっ!そして、佐伯や津久井が、無駄に暑苦しい熱血漢として描かれていなくて、淡々としているけれど、真っ直ぐでカッコいいんですよ。

 後半、「これ、絶対、映画にしようよ~!」と思いながら読んでいたのですが、解説氏によると、第一弾の「笑う警官」は既に、映画化プロジェクト進行中らしい。「警察庁から来た男」を映画化する時は、察庁キャリアの藤川は及川ミッチーがいいな。

 そして、改めて、思いましたが…第一弾のタイトルはやっぱり「うたう警官」に戻すべきじゃないでしょう。同書は、ハードカバーの時は「うたう警官」として出版され、文庫化の際に「わかりづらいから」という理由で「笑う警官」に改題したそうです。しかし、やっぱり、このストーリーは誇りある“うたう警官”の物語であると思いました。


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