おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「師匠!」 立川談四楼

2008年08月11日 | た行の作家
「師匠!」 立川談四楼著 ランダムハウス講談社文庫 (08/08/10読了)

 上手い!文句なしに上手いです。落語界に飛び込み、修行中の若いお弟子さんを主人公にした短編集。最初の3行を読んだだけで、決して、期待を裏切らない一冊であることはわかりましたが、読み終えてみて、改めて、上手い!

 著者は、立川談志一門の噺家さん。談春著の随筆集「赤めだか」を読んだ時にも「この人って、文筆家としても、超一流」と思いましたが、談四楼師匠もタダモノではありません。さすが、噺家さんだけあって、文章のリズムが心地よい。そして、ストーリーも手が込んでいるので。決して、クドくはない程度に。「すず女の涙」「講師混同」は、結末がぶっきら棒な印象(もしかして、私に落語の知識が無いからそう感じるのか???)がありましたが…後半の三作は、完璧です。過不足なく、キッチリとまとまった、小世界がそこにある-という感じでした。

 ところで、談四楼師匠って、「赤めだか」の中では、いつも酩酊した状態で登場して、その場をぶち壊していく困った人-って感じの描かれ方をしていた記憶があるのですが…。そんな、ほとんど依存症のような人が、こういう素晴らしい文章を書くんですね。立川一門恐るべし。


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