地球に夢中研究所

肺ガンIV期。自身のガンを治しつつ、世界の人々の健康への貢献を目指す、「地球に夢中研究所」代表 太田和廣の日記。

書評、サカキマンゴー「親指ピアノ道場!~アフリカの小さな楽器でひまつぶし~」

2010-10-04 20:12:50 | 文化
この本は単なる教則本ではない
音楽魂のすべてが詰まってる
ところどころに教則本的な内容を織り交ぜながら、サカキマンゴーさんの親指ピアノ修行の旅がほぼ時間軸にそって語られる
純粋に面白く読んだが、あとがきまで読んでわかった
面白さなんかがねらいじゃない
ゆっくりと歴史の中に消えゆく楽器へのサウダージ、
伝統をしっかり守るものたちへのリスペクト、
伝統を新たな技術と融合させ新境地を切り開くものたちへのリスペクト、
そして、日本人として他国の伝統音楽にどう向き合うべきかの深い洞察

読み終わったときに胸と目頭が熱くなったのは何も先日アフリカへ行ったからってわけでもないさ
ジャズやボサノバを愛するあなたの心をもきっと鷲掴み
すべての音楽家必読の書

なお、サカキマンゴーさんは2008年にタンザニアのザンジバルの国際的音楽祭に出演、2009年にこの本を書いて、その時点でその年の富山の「スキヤキミーツザワールド」に出演予定という、めちゃめちゃ旬な本である

それにしてもなあ、旅の前に読んでたらなあ…

CD評、小澤征爾セレクション・フォー・キッズ

2010-03-29 19:56:26 | 文化
ほとんど小学校の授業以来に聴くクラシック
子供の音楽教育?まあちゃん、またまた~、なんて思ってたらすっとこどっこい、カポエイラ行き帰りの二時間、毎週、マークン共々私も首ったけ
有名曲の第何タラ楽章、おいしいとこ集めたから当然面白い、てのもあるけどそれはそれとして、この面白さ、衝撃的
例えば一曲目、チャイコフスキーのクルミ割り人形、これでもかと跳ねまくる主旋律を支えるコントラバス軍団の地を這うエイトビート
昔聴いたんこんなんやったっけ?
天下の小澤征爾指揮で演奏はパリやベルリンやらフィルハーモニーなんたら、まさかアレンジ変えるわけないし、これ聴いたんやろなあ
この面白さがわからなかったなんて信じられない、でもわからなかったんだなあ
マークンは五才でこれが楽しめていいなあ

数少ないクラシック体験、昔アイザック・スターンのベートーベン「春」を気に入って、あえて別のバイオリン奏者のも買ってみて聞き比べて明らかにスターン最高だった
今回も聞き比べたくなる
アレンジ変わらずとも、小学校のとき聴いたやつより、この小澤征爾のがいいんだぜ、多分

映画評「アバター」(追記・再掲)

2010-01-28 16:19:40 | 文化
「善」対「悪」の戦い!
耐えに耐えた末ついに我慢の限界、侵略者たちに決死の反撃!
今時どないやねん!と口々に叫ぶ私とまあちゃんの間で、「鳥に乗って戦うとこ面白かったよ」とマークン
そうやな、そこは面白かったよ

例えば「テロとの戦い」の場合、世界にはいろいろな立場の人たちがいて、ある場所での正義は別の場所では正義ではなくて、つまり、「真」の「正義」なんて存在しなくて、でも、我々の生活を守るために、やつらを「悪」、我々を「善」と見立てた「テロとの戦い」というファンタジーを設定して戦おうじゃないか、愛する人たちを守るため、あえて業を背負おうじゃないか、という暗黙の了解があるんだと思い込んでいた
でもアメリカは心の底から善悪二元論なのだということがよくわかった
この国と同盟組んでて大丈夫なのだろうか

いや、アメリカは悪、と言いたいんじゃないよ
病的に感じたんだ

アメリカは先住民を侵略してできた国
独立戦争という、同族との戦いで出来た国
南北戦争という、国民同士の戦いで「正義」を貫いた国
それらのトラウマに支配された国

日本とアメリカ、絶対わかりあえないよ、と思い知らされた

でもジャズ、この国で生まれたんやあ
ちょっとヤバい
本当の戦いが始まった!

---

先日ここまで書いて投稿して、ちょっと悪く書きすぎたかなと反省して削除した
よくよく考えると、侵略はともかく国内部の戦いは日本も同じだ
病的という意味でも日本も同じ
私がいい例だ
私はアメリカが嫌いである
にも関わらずマクドでテキサスバーガーをほおばりながら「次はニューヨークバーガー」てポスターのニューヨーク風景みてうっとりし、サンフランシスコと聞けば俺の街だと叫び、今までで一番音楽を楽しんだ街はと問われればリオでもバイーアでもなくシカゴと答える

こんな風に病んでない人はアバター楽しめると思うよ

書評、角田光代「空中庭園」

2010-01-23 16:02:09 | 文化
風貌から賢そうな人やな、多分この人の小説は好みやないな、て思い込んで敬遠してたけど、読んでみると、やはり賢い人で、でもべらぼうに面白い
これは家族の物語
何処にでもいそうで、でも少しずれてる

アダルトチルドレン
親から子への負の連鎖

そのへんがテーマなんだろうけど、もろそれじゃなくって、微妙だけど普通の家族の領域、俺たちだって全く別の世界じゃないよな、てなさじ加減がすごい
だからドキドキする

ここまでが読んだ直後の感想
その後黒川伊保子さんの「ラブブレイン」を読んで気づいた
これは男性脳と女性脳のずれの物語でもあったんだ
角田光代、とことん賢い人だ
ラブブレインと合わせて読まれたし
親から子への負の連鎖についてはスーザン・フォワード「毒になる親」が参考になる

ライブ鑑賞報告、藤井カルテット?@じゃず家

2010-01-20 23:45:56 | 文化
バンド名はハテナ
我らがサックス藤井氏、今をときめく若き(まだ学生?)スーパーピアニスト大友氏と共演!

やっぱありえんフレーズが聴けるのは楽しいよ、半分は大友氏目当てだったけど期待を裏切られず
そして、藤井氏
この人の体の中には、音楽がギッシリ詰まってる
どんどん出てくるんだ、ブラボー、久々に堪能した

最後の最後、一番乗ってきたところで咳が来た
必死で抑えてて集中できず
トホホ
まあまた次があるさ

今度は昨年のスーパーカルテット(藤井氏、あかぎ女史、光岡氏、東野氏)再演を頼む
ずっと待ってるんだ

書評、黒川伊保子「LOVE brain」

2010-01-20 07:20:26 | 文化
副題は、
「行為を紡ぐ男性脳、言葉を紡ぐ女性脳」

これを読んでわかったこと2つ

その1
少し前に内田さんの「日本辺境論」を読んで感銘したが、あれって男性脳の世界やな
中国から漢字がわたってきてその後仮名が誕生したのが日本の辺境性を決定づけた一つ、と読み取ったが、それは空間認識に長けた男性の物語
時間認識脳の女性にしたら、やっと自在に話がかける、とばかりに一気に日本文学最盛期を起こしたわけだ
日本男性を辺境性から救うのは、武士道ではなく女性かもな

その2
少し前に泉谷閑示さんの「「普通がいい」という病」を読んで感銘した
そこでは「頭」vs「心と体」という図式で説明されてたが、黒川さん曰わく、「脳が本当に喜ぶこと」=「体が本当に望むこと」をせよ
切り口は違えど達人が言うことは結局似たようなもんだ

この「その2」で更に感じたこと
全ての病気はストレスが形を変えたものとする考え方がある
喘息、蓄膿を本当に完治させようと思ったら、何かもっと根本を変えないといかんのやろな

なおこの本は愛についてのエッセイでもある
黒川さんの本は以前にも紹介したが、いつも軽くて深い

書評、泉谷閑示、「普通がいい」という病

2009-12-24 20:22:00 | 文化
精神科医、日本の精神風土の問題点と我々個々人が取り組むべき方向性を語る
まあちゃんが買ってきた本
もし私が本屋で手にしてたら、まず間違いなく出だしで辟易して戻してただろう
だってキーワードは「本当の自分」だぜ、そんなもんどこにもないさ、今の自分が自分だ!
だが読み進むうちにわかった
ここで言う「本当の自分」とは、限りなく「体」に近い「心」のこと
旧約聖書、横尾忠則、中原中也、ミシェル・フーコー、フロイト、シェイクスピア、パスカル、ニーチェ、ルソー、イソップ、夏目漱石、エーリッヒ・フロム、谷川俊太郎、密教、親鸞、などなど素敵な引用とわかりやすい説明
一昨日、会社帰りに読み終わった私の中で、何かが発動した
意識下に抑圧されていたこと「私はアホだ」、突如頭で暴れ出す
昨日(祝日)、ふらふらの私はマークンの遊ぼう攻撃にいつものように応えられない
野球、オセロ、トランプ、風船バレーのみ
おっとっと遊びは断った
散髪行ったけど「今月の散髪直後」撮らず、こんなん初めて
晩飯のときマークン「今日は面白くなかった。お父さんとあまり遊ばなかった」
悪いことした
今朝出勤途中、突如覚醒
私はアホだ、それがどうした、いいところも沢山ある(はず)さ!
私は一旦死んだ
そして生まれ変わった
多分私は共感力が強すぎる
この本、内容が面白い上に、終盤、著者がなんでこんな考えに至ったかの説明があって、それがぐっと来たためもの凄く影響を受けてしまった
真実を知りたければ是非読んで
一旦死ぬのが怖かったらやめておいた方がいいよ

この本を取り上げたまあちゃんに感謝
そして一昨日~昨日はいろいろ悪かった

書評、灰谷健次郎「兎の眼」

2009-12-16 21:46:08 | 文化
めっちゃ昭和だ
多分私が小学生だった頃の少し前の小学校が舞台
そのころの空気だ
実際には身の回りに殴り合いする教師はいなかったが、どこかにはいそうなそんな時代
時代なり場所なりの空気が感じられる作品が好きだ
通勤電車で読み終わった時、私の眼はまさに兎の眼だった
このところ仕事こんがらがっててうつむき加減へなちょこモードだったんだけど、そうだ、人生は戦いじゃないか、と、電車降りるなり背筋ピン、さっそうと歩いたもんだ
人生は戦いだ
灰谷さん有難う

映画評「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイドMOVIE大戦2010」

2009-12-12 23:25:21 | 文化
ディケイドは旅先の異次元世界で、何者だと問われいつも言う。
「通りすがりの仮面ライダーだ。」
クールだ。
だが映画は更にクールだった。
全てのライダーを情け容赦なく叩き潰す。
冒頭の、空からディケイドを探索するスカイライダーを襲うシーンは、圧巻だった。

ダブルは怪人と対決する際にいつも言う。
「お前の罪を数えろ。」
ハードボイルドだ。
だが映画は更にハードボイルドだった。
ダブルに変身する両名、ショウタロウとフィリップは、それぞれに罪を抱えて生きていたのだ。

見事なコラボレーション。
ディケイドは言う。
「俺は旅を続ける。旅こそが人生だから。」
ダブルは言う。
「この町での生活こそが俺の人生だ。」

なんと書けば伝わるだろう。
これは、哲学的ですらある、最高の映画だ。
「釣り吉三平」の時も思ったけど、この手の子供ものは、
普段映画見ない人がうようよ来る(釣り吉三平はそれすらままならなかったが)。
正当に評価してくれる人の目に留まらぬまま去っていくなんて、もったいなすぎる。
テレビシリーズを見てなくても十分伝わるから、映画ファンは是非出向いて欲しい。

涙のライブ鑑賞報告の補足2

2009-12-08 23:38:42 | 文化
真の「宮古の君」音源、マイスペース(ブックマーク)にあげました
セッションの時あらためて聞いたところ、「エメラルド」の「ド」はやはり重要ポイントだったようで、翻訳者から沖縄の「ト」「ド」は「ット」「ッド」だと電話口で何度もダメ出しくらったとのことだ
ライブ毎に一曲これだけは届けたいと決めてる曲があって、今回は「宮古の君」だったって
そんな話を聞くと、もっと喜ばれたい、いい歌作りたい、て思います

それにしてもハチマスターの編曲は凄い
この曲、狙ったわけじゃないけど小節数が変則的で、
A(16)A(16)B(8)C(8)C(8)
なんだけど、最後のCの前のCの終わりであえて終わりっぽいコードを使って最後のCを印象的にする
オープニング明るい沖縄フレーズで入って、それを地味にアレンジしたフレーズで転調やエンディングを決める
本来AABCC歌った後Aでソロやった後ABCCと歌うんだけど、つまり二番はA一回分歌詞が少ないんだけど、それを利用して、最初のAABCCは丸ごと標準語と宮古言葉でやって、二回目のAABCCは最初のAを標準語、次のAを宮古言葉、続いてBCCを両方同時!
もはや、この曲は本来そうすべきやろ、としか思えない完璧な展開だ

本当にカホウ者です

涙のライブ鑑賞報告、G-8(ゲーハチ)@インタープレイハチ

2009-12-05 20:20:49 | 文化
泣いてしまいました
年に二回のゲーハチライブ
いきなりオープニング、3拍子アレンジの「おいしい水」、その後もそれぞれに過激アレンジ、アキさんの素晴らしい歌とマスターの素晴らしいギター
でもそれらの記憶もあの一曲でぶっ飛んでしまった
「宮古の君」だ
あの曲は本来こういうふうに演奏されたかったんだ
泣いた
ライブ後、馬鹿な私は一番大事なことは言わなくても伝わってると勘違いして伝え忘れた
宮古の君について曰わく、
マスターのリードボーカル初めて聴いたけど素敵だった
宮古言葉を組み合わせるアイデア、軽く考えてたけど実際は凄くよかった
マスターの標準語とアキさんの宮古言葉の絡ませ方、そうきたか!でした
ギターの沖縄フレーズがこんなに合うなんて知らなかった
など
音源聞き返したら私のコメントも入っててそれ聞いて気づいたけど一番大事なこと伝わってないよ
私はアキさんの歌に泣いたんだ
宮古言葉の出だし、「みゃあくぬいんま、くぬエメラルド(宮古の海はこのエメラルド)」
完璧な沖縄発音
「エメラルド」は文字にすると宮古言葉も標準語も同じだけど実際は違うんだ
特に「エメラルド」の「ド」、なんて宮古なんだ!
短い間にどれだけ歌いこなしてくれたんだろう
音源、ほどなく私の鼻をすする音が混じる
台無しだ
でも今日明日のうちに音源アップするだろう

この日12/4(金)インタープレイハチにて真の「宮古の君」が誕生した

書評、内田樹「日本辺境論」

2009-12-03 20:41:36 | 文化
常にどこかに世界の中心を必要とする辺境の民、それが日本人
我々の独特な感性の多くはそこに起因する
そんなのこれからはわからないって?グローバル社会においては世界は均一化するって?
いやいや甘いぜ、日本語を使う限りそれは無理、日本語の中に既に辺境性が入り込んでるんだ
でも悲しむことはないぜ
辺境性に起因するメリットデメリットを理解し、強みを鍛えればいい

なんて語りながら俺だって読んだ直後は絶望的な気分だった
藤原さんの「国家の品格」を読み返し、その後再度本書を読み返してやっと理解した
要するに大事なのは武士道精神だ
(違ったらゴメン)
真実を求めるなら是非読んで
絶望が怖かったらやめといたほうがいいよ

映画評、ヴィヨンの妻、の補足

2009-11-09 21:13:34 | 文化
原作を読み返してみてぶったまげた
これがあの映画になったなんて!
原作はもっと殺伐としていて悲惨だ
その中に僅かなユーモアと人間性、ほんの僅か
だから最後の言葉が印象的になる
映画はそんなことは十分承知の上で捉え方を大きく変えた
例えば冒頭、松たか子と伊武雅刀と室井滋が揃って深刻的な話をしてる中笑ったらいけない場面何故かついつい笑いがこぼれる場面
原作は悲惨そのもの
でも映画は微妙につられ笑いしそうなぎりぎりユーモア側だ
この微妙な狙いを脚本、演出、役者がみな共有してひとつの世界を作った
私、原作を読んでたけど中身まるで忘れてたけど、もし覚えてたら行ってなかったんじゃないかなあ、だって原作悲惨すぎるから
そんな人のため、少しだけネタばれさせて
飲み屋の若いお客さん、原作では最悪な展開を繰り広げるが(そこ、映画に行きたくなくなるポイントだと思う)、映画ではまるで違う
妻夫木くんが演じてるんだけど、彼がまたええ味出してるんだ
かなり地味な性格の役だが、画面のすみっこにいるだけでワクワクしてしまうような

結論
原作は読まなくていいから映画観るべし

ライブ鑑賞報告、劇団オズメイト「スリーライフ」

2009-11-08 18:20:56 | 文化
予想通り、歌の先生は踊りも格別だった
なんなんやろう、あの上手さは
先生以外にも上手い人はいたけど、根本的に違うんだ
技がすごいんじゃなくて、リズムに対する打点というか
腕を伸ばす動作ひとつ取っても違う
昔ブラジルのバイーアで見たカポエイラチームの練習風景
ご存知カポエイラは逆立ちしての蹴りやバクチュウを組み合わした大技踊りが特徴だけど、そういうことじゃなくて、基本的なステップに深いグルーヴを感じる踊りに魂奪われて、そして、そんな踊りをする人こそパーカッションもやはりそういう意味でかっこよかった
そんなことを思い出した
劇団オズメイト代表、歌も踊りも天下一、脚本を書き歌詞を書き、おそらく私と変わらない年か、もしかしたらもっと上?でもまだまだ夢へ向かってバクシン中、なんと来年は東京公演、いやはやすごい人に教えを頂いてるもんだ
私はまだまだ基本的な歌の修行が必要だけど、ある程度達成したら、歌そのものよりも踊りの修行が必要かもね
音楽はグルーヴなんだ