<越前、猫の寺>
越前そば屋「森六」のすこし離れた駐車場に戻り、一服点けながらナビをセットする。
「ええと、福井県越前市、庄田町・・・と」
とにかくそこの町まで行ってから訊けばいいやと、適当な番地をみつくろって確定して車を走らせる。
庄田町に入ると、みつけたコンビニの駐車場に乗り入れた。
「このへんに猫で有名なお寺があると思うんですが・・・どのへんかわかりますか」
適当な飲み物と煙草を買い、金を払いながら店員に訊く。
「それ、よく訊かれるんですけどね・・・」
けどね、の後が聞きたいので黙って待つ。どうやらこのへんには寺社が多いらしい。
「あそこに高速の高架が見えますよね、あの下を通って右側あたりにあると思いますよ」
おっさんお前も猫好きかよと、あからさまに顔に出ているお姐さんに礼を言って車に戻り、北陸自動車道の高架に向けて走る。
大の猫好きのわたしには一度訪れたいところがある。
宮城県石巻から船に乗ると田代島(たしろじま)というところがあって、猫の島として知られているのだ。
この島ではかつて養蚕が盛んに行われ、蚕の天敵であるネズミを猫が駆除してくれるので昔から大事にされていた。
だから今では島民数よりも猫のほうが多い。天敵の犬はもちろん島内持ち込み禁止である。
島には猫神社があり、大漁の守護神の「猫神様」が祀られているそうだ。
・・・その島もあの大震災にみまわれてしまい、行くにはまだ早い。そこで越前にある猫寺を訪ねたのだ。
あった、ここだ。

正式名称「御誕生寺」の石塔の横にはさすが猫寺だ、「猫を叱るより魚を置くな」と書かれていて思わず頬がゆるむ。
ゆるやかな坂を昇りきると、本堂の前に広い駐車場があった。

右手の方の一面には無数の小さな仏像が二段にびっしりと並んでいる。
今日は他の観光客の車は一、二台と少ない。ゆっくり車を進めて適当なところに止めた。

車から歩きだすと、すぐさま遠くから猫が一匹出迎えにきてくれる。ぴんと立てた尾っぽは歓迎のしるしだ。わたしの衣類に飼い猫の匂いが沁みついているのかもしれない。
いい子だねよしよしと、頭をなでてやろうした瞬間、脚の間をするりと抜けて離れていってしまう。まあ、こういう一筋縄ではいかないところが猫の猫たる面白いところだ。
ちょうど昼食後の昼寝の時間のようだ。
あちこちで、猫たちが思い思いに眠りを貪っている。たぶん見えない、それぞれのお気に入りのところでもまだいっぱいの猫が寝ているに違いない。


どの猫も心から安心しきって寝ているので触ってもだいじょうぶである。ただし、ソフトに、だ。

椅子で寝ている猫のそばで寝顔を携帯で撮影していた同病(猫好き)の若い男性に着信があり、彼女(たぶん)にあれこれと現状報告していた。今度は二人でくるのかもしれない。
会津大内宿で見かけた「猫つぐら」があって覗くと、中で猫が丸まってすやすやと寝ている。

遅い昼食を食べている猫もいたが、もしかしたら軽くひと眠りしてのおやつかもしれない。

体調のすぐれない猫を収容しているのか「にゃんにゃん堂」という建物もあり、覗くと檻に入れられた猫と眼があってしまう。

ふむ、だいぶ癒された時間を持てたぞ。
猫のための募金箱にお金を入れると、出迎えの猫に先導されて車に向かう。気に入られたものかあるいは気まぐれなのか、名旅館の女将のように見送りまでしてくれるようである。

もし、次に来ることがあればぜひとも食事時に「にゃあーみゃあー」と賑わういっぱいの猫たちをぜひ見てみたいものである。
→「越前そばにハズレなし」の記事はこちら
→「永平寺初参詣(1)」の記事はこちら
→「永平寺初参詣(2)」の記事はこちら
→「永平寺初参詣(3)」の記事はこちら
越前そば屋「森六」のすこし離れた駐車場に戻り、一服点けながらナビをセットする。
「ええと、福井県越前市、庄田町・・・と」
とにかくそこの町まで行ってから訊けばいいやと、適当な番地をみつくろって確定して車を走らせる。
庄田町に入ると、みつけたコンビニの駐車場に乗り入れた。
「このへんに猫で有名なお寺があると思うんですが・・・どのへんかわかりますか」
適当な飲み物と煙草を買い、金を払いながら店員に訊く。
「それ、よく訊かれるんですけどね・・・」
けどね、の後が聞きたいので黙って待つ。どうやらこのへんには寺社が多いらしい。
「あそこに高速の高架が見えますよね、あの下を通って右側あたりにあると思いますよ」
おっさんお前も猫好きかよと、あからさまに顔に出ているお姐さんに礼を言って車に戻り、北陸自動車道の高架に向けて走る。
大の猫好きのわたしには一度訪れたいところがある。
宮城県石巻から船に乗ると田代島(たしろじま)というところがあって、猫の島として知られているのだ。
この島ではかつて養蚕が盛んに行われ、蚕の天敵であるネズミを猫が駆除してくれるので昔から大事にされていた。
だから今では島民数よりも猫のほうが多い。天敵の犬はもちろん島内持ち込み禁止である。
島には猫神社があり、大漁の守護神の「猫神様」が祀られているそうだ。
・・・その島もあの大震災にみまわれてしまい、行くにはまだ早い。そこで越前にある猫寺を訪ねたのだ。
あった、ここだ。

正式名称「御誕生寺」の石塔の横にはさすが猫寺だ、「猫を叱るより魚を置くな」と書かれていて思わず頬がゆるむ。
ゆるやかな坂を昇りきると、本堂の前に広い駐車場があった。

右手の方の一面には無数の小さな仏像が二段にびっしりと並んでいる。
今日は他の観光客の車は一、二台と少ない。ゆっくり車を進めて適当なところに止めた。

車から歩きだすと、すぐさま遠くから猫が一匹出迎えにきてくれる。ぴんと立てた尾っぽは歓迎のしるしだ。わたしの衣類に飼い猫の匂いが沁みついているのかもしれない。
いい子だねよしよしと、頭をなでてやろうした瞬間、脚の間をするりと抜けて離れていってしまう。まあ、こういう一筋縄ではいかないところが猫の猫たる面白いところだ。
ちょうど昼食後の昼寝の時間のようだ。
あちこちで、猫たちが思い思いに眠りを貪っている。たぶん見えない、それぞれのお気に入りのところでもまだいっぱいの猫が寝ているに違いない。


どの猫も心から安心しきって寝ているので触ってもだいじょうぶである。ただし、ソフトに、だ。

椅子で寝ている猫のそばで寝顔を携帯で撮影していた同病(猫好き)の若い男性に着信があり、彼女(たぶん)にあれこれと現状報告していた。今度は二人でくるのかもしれない。
会津大内宿で見かけた「猫つぐら」があって覗くと、中で猫が丸まってすやすやと寝ている。

遅い昼食を食べている猫もいたが、もしかしたら軽くひと眠りしてのおやつかもしれない。

体調のすぐれない猫を収容しているのか「にゃんにゃん堂」という建物もあり、覗くと檻に入れられた猫と眼があってしまう。

ふむ、だいぶ癒された時間を持てたぞ。
猫のための募金箱にお金を入れると、出迎えの猫に先導されて車に向かう。気に入られたものかあるいは気まぐれなのか、名旅館の女将のように見送りまでしてくれるようである。

もし、次に来ることがあればぜひとも食事時に「にゃあーみゃあー」と賑わういっぱいの猫たちをぜひ見てみたいものである。
→「越前そばにハズレなし」の記事はこちら
→「永平寺初参詣(1)」の記事はこちら
→「永平寺初参詣(2)」の記事はこちら
→「永平寺初参詣(3)」の記事はこちら
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