温泉クンの旅日記

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中崎山荘 奥飛騨の湯

2014-06-22 | 温泉エッセイ
  <中崎山荘 奥飛騨の湯>

「あ・・・、これはたしか、湯雨竹だ・・・」



 わたしは別府の鉄輪温泉の足湯で見たことがあった。
 高温の温泉を適温に冷ますにはいろいろな方法がある。一番目は浴槽に少しずつ溜めることで、二番目は水を加える、三番目はタンクなどで溜め置きする、四番目にはクーリングタワーや熱交換機を使うなどがある。



 ただ、時間がかかることや、加水は温泉成分が薄まってしまうのと水道代がかかる。タンクは費用がかかる。いまはどうかわからないが、杖立温泉では高温の温泉を川のなかのパイプに通して冷していた。
 そこで、流下式塩田の仕組みを使った冷却装置「湯雨竹」を大分県が開発した。百度以上ある高温の温泉を、竹枝を伝わらせて落ちる間に、源泉をそのままになんと四十五度ぐらいまで冷却させてしまう非常に優れ物の装置である。



 露天風呂なので、風情だけでなく眼隠しにもなっている。

 奥飛騨の蒲田川沿いの路を走っていると、右手に見なれた巨大暖簾が出現して新穂高にまた来たことを実感する。



 さらに車を走らせると、やがて突きあたりに新穂高ロープウェイの乗り場がある。高所恐怖症のわたしだが、標高二千メートルからの絶景を一度だけでも観てみたい。
 今回は覚悟を決めて来たのであった。



 今日の天気は悪いが、山頂は雲の上であるから晴れているかもしれない。二階にあるライブカメラの画像を確認すると、山頂の現在はまるで雲か霧のなかのようであったので、あっさりと諦めることにした。すこし残念だが、先送りにできた安堵もたっぷりある。
 戻る途中、せっかくなので日帰りで温泉に入っていくことにしたのである。



 内湯は露天の透明な硫黄泉の湯と違い、奥飛騨でも珍しい乳白色のアルカリ単純泉の湯で、入浴剤(ツムラ日本の名湯・新穂高の湯)のモデルになったそうである。



 やはり透明な湯よりこちらの白濁の湯のほうが、効き目があるような気がする。
 露天風呂を二回と内風呂を三回入って、最後に飲泉もしてみた。



 熱い湯なのでよく冷ましてから飲泉し、冷たい湧水で口中をさっぱりさせた。

 この中崎山荘だが、井上靖の「氷壁」や新田次郎の「白い壁」などの小説にも登場するくらい知る人ぞ知る湯宿だったのが、蒲田川の砂防工事のため多くの登山家たちに惜しまれつつ平成十九年に閉館したそうだ。そして三年後の平成二十二年、元の場所の正面、川の対岸に日帰り入浴施設として再開したのである。



 休憩処と食事処がありカレーやラーメン、飛騨牛メニューや丼物、スパゲティや湧水を使った珈琲などもある。

 二種類の泉質の湯をすっかり気に入ってしまったわたしは、ぜひ一度ゆっくり宿泊してみたいとご主人に言ってみたが、申し訳ないが当分は日帰り専門の施設でいくとの回答でいかにも残念であった。



  →「別府八湯[7]鉄輪温泉」の記事はこちら
  →「杖立温泉」の記事はこちら

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