「越後屋、お主も悪よのう」
「いえいえ、御代官様にはかないません」
「むっ、こやつ、ハ、ハハハハハハハ!」
時代劇の悪徳商人といえば越後屋!というイメージがすっかり定着している感がありますが、しかし時代劇ファンの方々、本当にそうですか?
私も時代劇は大好きで、「時代劇専門チャンネル」を一日中見ていてもまったく飽きない。ずーっとみていると、まあ、悪徳商人が次から次からへとでてきます。
でも、その悪徳商人の中に、「越後屋」の屋号を持つ商人は、ほとんど、いや、まったくと言っていいほどに出てこない。
2005年の週刊文春の記事によれば、時代劇に登場する悪徳商人の屋号ランキングは
1位、西海屋。
2位、湊屋。
3位、真砂屋、川上屋、三崎屋等々。
このように、越後屋はまったく出てこないようです。
これはどういうわけだろう?どうやら原因はCМにあるらしい。
いつのころのCМだったか、時代劇の悪役俳優として超有名なお二方。
川井伸旺さんと田口計さんのお2人が出演された、カンロのど飴のCМで、
お二方はそれぞれに、「悪代官」と「悪徳商人」として出演され、その中でアドリヴで発せられたセリフが
【越後屋、お主も悪よのう】
だったのです。
川井伸旺
田口計
これがさらに、ビートたけしなどのお笑い芸人さんがギャグとして多用するようになって、そうして一般的に広まった、というのが真相のようです。
「越後屋」は悪くない!
ではなぜ、「越後屋」だったのか?
これはよくわかりません。ただ、時代劇の中で「越後」といえば、ある特定の人物が思い浮かばないでしょうか。
そうです、「黄門様」こと、水戸光圀公です。
時代劇『水戸黄門』の中で水戸光圀公が諸国行脚の度に、世を忍ぶ仮の姿として名乗るのは
【越後の縮緬問屋の隠居、光右衛門】
そう、なぜか「越後」なんですよね。
水戸なんだからそれこそ「常陸」の○○問屋でもよさそうなものですが、なぜか越後。まあ、なるべく水戸から遠い方が良いとの判断だったのかどうか、よくわからない、
しかし、黄門様が越後の商人を名乗ったことで、世の悪人たち、というか悪役俳優さんたちは、越後の商人に毎回やり込められることになってしまった。
川井さんも田口さんも、『水戸黄門』には何度も出演されている悪役界の超ベテラン。それこそ「越後の商人」には何度もやり込められているわけです。
ですから、このアドリヴで出たというセリフ「越後屋、お主も悪よのう」の越後屋とは、
越後の縮緬問屋光衛右衛門への、水戸光圀公への、黄門様への
冗談交じりの皮肉、だったのではないでしょうか。
あくまで冗談としてですよ。本気で皮肉っているわけでも、揶揄しているわけでもありません。
こうして考えてみると、なんだか面白いですねえ。
そういうわけで、越後屋は悪くない!
越後は悪くない!
だから、越後=新潟は悪くない!
良かったねえ新潟県、これで「悪役」にならずに済んだ。
えっ?なんの話?
みんなもっと米を食べよう。守れ日本の食文化!
なんのこっちゃ(笑)