風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

なんじゃこりゃ!?

2018-06-20 06:28:52 | 名ゼリフ





松田優作という人の持つ、暴力的なほどの野性味、それでいてどこかユーモラスで、尚且つ寂しげな佇まい。



日本人の父と韓国人の母との間に非嫡出子として生まれ、遊郭の片隅で育ったという生い立ちを、とても悩んでいたという証言もあり、複雑な環境の中で、優作さん独自の生き方というものを編み出していったものかもしれません。



私のような、のほほんと生きてきた人間には、とても想像できないような、複雑な人生であったのかもしれません。



刑事ドラマ『太陽にほえろ!』のジーパン刑事役で人気を博し、その殉職シーンで叫んだセリフ。



【なんじゃこりゃ!?】



予想外の人物からの銃撃を受け、己の肉体から流れ出る血をみて思わず叫んだセリフ。このシーンは脚本にはなく、優作さんが撮影現場で自分で作り上げていったものだそうです。

若いみそらで死んでいかねばならない悔しさ、哀しさ。

ジーパン刑事は同僚のシンコ刑事(関根恵子)と婚約したてで、前途洋々としていた中で突然迎える死に、ジーパン刑事は己に起きている事態を受け入れることができない。


「なんで俺が死ななきゃならないんだよ?」と、泣きながら死んでいくジーパン刑事。



「なんじゃこりゃ!?」というセリフは、死にゆく者の怒りと悲しみと寂しさを表しながら、それでいてどこかユーモラスで、


とても優作さんらしいセリフだったように、私には思える。



松田優作。1989年11月。膀胱がんのため死去。享年40歳。







ジーパン刑事「青春」のテーマ。演奏・井上堯之バンド。



井上堯之氏は、GSバンド「ザ・スパイダース」のギタリストでした。


ザ・スパイダース解散後、元ザ・テンプターズのヴォーカル萩原健一(ショーケン)や、元ザ・タイガースのヴォーカル沢田研二(ジュリー)らとPYG(ピッグ)を結成。やがてショーケンが『太陽にほえろ!』にマカロニ刑事役で出演することが決まり、その流れでPYGのメンバーだった大野克夫氏がドラマの音楽を作曲、そのままPYG=井上堯之バンドが演奏を担当することとなったようです。


『太陽にほえろ!』の音楽は同時代のドラマの音楽に比べて、ある意味とても異質だったように思う。ロックやブルーズを基調としたその音楽は、強烈な印象を我々に残しています。



日本の音楽シーンに数多くの業績を残した井上堯之氏。今年の5月、77歳で逝去されました。


ご冥福をお祈りいたします。

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4 コメント

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Unknown (チャメゴン)
2018-06-20 09:24:25
あの懐かしい曲は、ジーパン刑事のテーマソングだったのですね‼︎ 井上堯之さんの作曲・演奏で!!今聴いてもとてもいい曲ですよね〜。
松田優作さんはとても複雑な環境で育ったのですね…。野性味溢れていながら、どこか哀しさに満ちていて…。息子さん達も、役者として大活躍!!お兄さんのほうがお顔もよりお父さま似で、やはり個性的で。応援している若い役者さん達です!!
井上堯之さんのご冥福をお祈り致します。
松田優作さん、どうぞ安らかに…。
Unknown (薫風亭奥大道)
2018-06-20 15:55:23
チャメさん、優作さんが出演した刑事ドラマ『大都会PART2』で、優作さんは乱暴な暴力刑事を演じていたんですが、この刑事、ただ乱暴なだけじゃなくて、妙にユーモラスなところがあって、単に怖い人じゃないんですよね。そういう人間の多面性というか、そういうことを感じさせる俳優さんだったように思います。相当な修羅場を潜ってきた方だなというのを感じましたね。
息子さん方はお父さんに比べると、やはりイマドキの子という感じだし、父親の野性味を受け継ぎながらも、どこか品が良かったりする。あれがあの兄弟の面白さなのかな、と思ってます。
Unknown (美樹枝)
2018-06-20 17:07:19
大藪春彦さんのバイオレンス小説を好きな頃、原作にひかれて優作さん主演の映画、見に行きました「甦る金狼」。  うん!山ちゃん(山里さん)、ラストの優作さんのお顔、似てますよ、、は、関係なくて~それから優作さんのファンになりました。「野獣死すべし」は、かなり原作と違ってました、加賀たけしさん?のデビュー作でもあったのかな。 心が凍てつくような殺人者やら、あったかい探偵さんや、普通の人や、、「ブラックレイン」捕らえられた後のホッとされたような表情。素敵な役者さんでした。
Unknown (薫風亭奥大道)
2018-06-21 04:37:15
美樹枝さん、「木星には何時に着くんだ?」のセリフのあと、ガクッとするあの顔ですね。『野獣死すべし』は原作と全然違う話になってましたね。優作さんは頬をコケさせるために奥歯を抜いて、カメラが回っている間は瞬きをしない演技で、まるで幽霊のような男を演じてました。鹿賀丈史さんはデビューさくだったかどうかわかりませんが、後の鹿賀さんからは想像もつかないような暴力的な役を好演していましたね。
ラストシーン。コンサートホールが一人出てくる優作さんが銃で撃たれる。優作さんは日本の俳優の中では、撃たれる演技が一番上手かった方でした。この作品でも、作品自体は大して面白くもなかったけれど、ラストの撃たれるシーンは秀逸でしたね。
この作品の後、優作さんはアクションから意図的に離れて仕事を選ぶようになっていきます。そうして念願のハリウッド進出で、再び暴力的な役に戻ってくる。優作さんとしてはこれを足掛かりとして、ハリウッドでも本格俳優として活動したいと思っていたんだろうけど、願いは叶いませんでした。悔しかっただろうなあ……。

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