まるぞう備忘録

無題のドキュメント

ミスを起こした「こと」を怒ってはいけない理由。

2015-03-05 08:28:17 | まるぞう経営学
昨日はある営業マンの方と一緒に仕事をしておりました。
IT業界の敏腕営業マンでありました。
その彼からA社の話を聞きました。


技術力で急成長したあるベンチャー企業でした。
時代の先取りをして、その分野では国内のシェアトップでした。
ところがその会社がここにきて、急降下で凋落しているという内輪話でした。


当然そういう話は表のホームページにも出ませんから、裏を知る業界マンからの貴重な情報でした。
その会社はずっとA社の製品を一押ししていましたが、もうその製品は「売るな」とトップから指示が出ているということでした。


その営業マンさんの会社だけでなく、業界の他の会社も軒並みA社の製品を扱わない方向に動いており、A社の大口顧客だった企業も次々と解約して、他社製品に乗り換え出しているとのことでした。


凋落の原因は、完全にユーザー視点ではなくなったから。ということでした。
製品に問題が生じてA社に話をしても、対応が行われないということでした。


初期の頃は技術ベンチャーでありましたから、懇切丁寧に顧客の要望を聞いていましたが、急成長とともに天狗になり、顧客のクレームは徐々に無視するようになっていったそうです。


人でも企業でも富や名声を得られると、人生を踏み外す誘惑には抗いがたくなるという典型でありました。


業界ではトップシェアであり、大手の営業会社が軒並みA社を扱っておりました。
優秀な人材が他の超有名な会社からどんどん転職してA社は大きくなっておりました。
売上は伸び続けておりましたが、もうその頃から土台は腐り始めていたようです。


好事魔多し。
売上が最も伸びている時が最も危ない時でした。
カリスマ経営者と成金長者は紙一重であったようです。


A社の凋落の原因は、風通しの悪さであったと営業マンは教えてくれました。
顧客のクレームがいつの間にかもう社長には届かなくなったと教えてくれました。
クレームを社長に知られると非常に怒られるので、もう誰もあげることなく、社内でクレームを隠す社風になっていったと言います。
まだ人数のそれほど大きくない急成長したベンチャー企業でありますから、腐り出すと朽ちるのも早いです。


その営業マンさんはそのA社製品で大口顧客が炎上するのを目の当たりにしました。
彼は人脈を駆使してその社長にあげることができたそうですが、いずれも社長はその炎上を全く知らなかったそうです。


その社長は社風を改めることなく、「なぜこんな重要なクレームを報告しなかったのか」と担当者を激怒したことでしょう。社員たちは逆にますます隠すようになったようです。


社風の腐りれは加速していき、昨年は立て続けに顧客から訴訟を起こされ、有能な社員がごっそり退職していきました。
顧客と社長の間に挟まれていた社員が「もうやってられない」と辞めていきました。
そうすると更に顧客の声は会社トップに届かなくなり、また社風も更にギスギスしたものとなり、負のスパイラルが回っていきました。


私は経営者として自戒しているのは、社員を感情的に怒ってはいけないということでした。
最初に入社したサラリーマンで習ったことは、問題を起こした社員に対して、その問題を起こしたことを怒ってはいけないということでした。


業務の中で問題が起きたということは、その業務フローに問題があったということです。
ですからたとえば顧客のクレームが炎上するような重大事件があったとしたら、それは担当者の責任ではなく、業務のフローに問題があったということだ。という考えです。


顧客のクレームであるならば、それは担当者が板挟みになるのではなく、トップから先にする仕組みであるべきです。
納期遅れがクレームならそれは開発のフローに問題があるのです。
遅れが生じることはままあるとしても、少なくとも遅れが事前にマネージャーが察知できる開発方法であるべきです。とか。


もし社員が叱られるのであれば、それは規定のフローやルールを守らなかった場合のみです。
それにしても、守ることが困難なフローやルールでないことが前提でありますが。



このA社の社長のように、クレームが起こったこと自体で担当者を責めては決していけないのです。



そして私が自戒していることは、顧客に謝りにいくのは社長の仕事だということです。
誰でも人に頭を下げるのは嫌なものです。
クレームを起こしたのは社員だから、その社員と上司がいくべきだ。普通の社長はそのように思うことでしょう。


しかしそれでは社風の風通しはどんどん硬直化する原因となるのです。
大きな会社では社長がいちいち謝りにいくことは難しいでしょうが、その場合でも心はクレームを言った顧客に謝まっていること不可欠なのです。


私がココイチが好きなのは、そのカレーの味もさることながら、社長は毎日午前中かけて全国からあげられた顧客のクレームを読むことを仕事としているという点でした。
2代目社長に代わりましたが、2代目もその習慣は受け継いだということです。


会社が大きくなると顧客がお金を払ってくれることがアタリマエになるのでしょうね。
天狗になると社風が腐り出すのは本当に短い時間です。
振り子が振れるように、絶頂の時にはもう内部は腐りだしているということを、経営者は本当に用心深くあるべきであります。



以下2ちゃんねるの書き込み抜粋です。
==========
6: 名刺は切らしておりまして 2015/02/23(月) 23:48:25.22 ID:NXmAcoJI.net

誰にも注意されないから、どんどん勘違いした裸の王様か、ナッツのお姫様になってるのを
自分で気付いて律しないと、社長のくせに
「お前、◯◯人か?」と、他人に思われている人結構居ると思う


60: 名刺は切らしておりまして 2015/02/24(火) 07:40:33.29 ID:tQO8jsP2.net

頭を下げるのは金がかからん
これの意味が分からない奴は商売人向いてないね


70: 名刺は切らしておりまして 2015/02/24(火) 08:31:31.73 ID:ikTDlKhh.net

>>60
客に対してもそうだけど、従業員に偉そうなヤツ、意味分からない。従業員が頑張るから企業の業績は上向くのにね。
俺は従業員120名の中小企業の社長だけど、社長に限らず役職ってのは役割分担だってのが理解出来ないヤツは上に立つべきじゃない。


74: 名刺は切らしておりまして 2015/02/24(火) 08:35:11.83 ID:ikTDlKhh.net

でも、上司になった途端に先輩に対しても偉そうにする勘違いクンって結構いるんだよね。
管理職って、自分の部下にいかに気持ち良く(じゃなくても良いけど)働いて貰って結果を出させるかが重要なのに。
==========


今日のような記事を読むとサラリーマン時代の私なら、「あ~あ、自分の会社の社長に読ませたい」「あ~あ、自分の上司に読ませたい」と間違いなく思っておりました。しかし自分のこととして「自分が部下や後輩に接するときはよくよく注意深くならなければならないな」と自戒される読者の方々は、本当に魂が大人で滋味の方々であろうと思います。



おひさま、ありがとうございます。


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7 コメント

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うちの職場のことかと… (おかか)
2015-03-05 15:33:32
活火山に水を注いでも、水蒸気爆発を起こして逆効果となるように…。
そう、冷静に判断できないトップには何を言っても無駄なのだなあ…と…。
私も見切りをつけて離れる一人です。
気付くことが出来て、いつでも初心に帰れる自分でありたいと思います。
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経営に限らず (一読者)
2015-03-05 17:57:04
まるぞうさん、いつも拝読させて頂いております。

今回のお話、経営トップに限らず、様々な場面で言えることなのでは、と感じさせて頂きました。

家庭では、子供に接する両親に当てはめても案外同じようなこともあるのでは、と思います。
外で何かをしでかしてきた子供を頭ごなしに怒っても、子供には子供なりの言い分もあるでしょうし、何故そのようなことをしたのか、ということもあると思います。

会社に対するクレームの対処の仕方ということとは多少ニュアンスが違うとは思いますが、何故そのようになったのかという部分の焦点を当てて、そこから考えていくことがいるのでは、と感じました。


また、書き込みのなかの抜粋された中にある、誰にも注意されないからどんどん勘違いして自らが律していないと、一体何様?と思われている人、というのは、己自身を顧みて、肝に銘ずべきことだ、とつくづく感じております。

そうは言っても、なかなかそのように成れていない自分を今一度自分自身で戒めたいと思います。


まるぞうさん、気づかせて下さった皆さん、いつもありがとうございます。
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質問です (匿名で失礼します)
2015-03-05 20:31:39
まるぞうさん
毎日勉強になる記事をありがとうございます。
お忙しい中、質問しても宜しいでしょうか。
Web関連会社にweb制作を依頼した際、
支払いは一括のみが常識、これは殆どの会社に当てはまる事でしょうか。
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匿名さんへ。 (まる(=・3・=)ぞう)
2015-03-05 21:55:20
Webコンテンツ納品研修後、翌月末一括払いが一般的であろうと思います。
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お礼です (匿名で失礼します)
2015-03-05 22:54:21
まるぞうさん
早速のご回答を頂きまして、
ありがとうございます!
一般的ではない事を、交渉するよう命じられました。
仕事も生活も色々ありますね。
一呼吸置いて、色んな想定をして、思いやりも忘れずに、何事にも向き合いますね。
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思考と判断の責務の放棄【=偶像、虚像、 (BARTH)
2015-03-06 06:29:03
統率と支配による服従とは、思考と判断の責務、自己責任を、他人や社会組織、会社組織、権力者、国家組織を頭とし、自分は首から頭と思考を切り取り、命をすべてを隷属させることだと錯覚させます。。
それゆえにトップダウン方式の情報分配の仕切りを作りたがりますから、情報伝達系統はピラミッド型になりますね。機密情報の隠蔽と開示権限をトップが掌握しているゆえに、流出と漏洩を未然に防止、防御する為に国境を定め、言語体系、民族を形成しているようにです。
江戸時代まで、幕藩体制主流の暗号、隠語、方言や、文字を読めない身分階級をわざわざ作ってまで、情報を固めていたことは現代も同じですね。私生活でも情報を怖れますし、情報体系と性質に振り回されない人はいませんし、、情報伝達と情報処理能力、分析、判断も問われますし、情報伝達の過不足が組織を活性化したり人類を腐敗させていることも事実ですね。近代の日本にも目玉クラブの秘密を知りたがる特権?階級をステージ、ステータスだと履き違えているクラブ活動家の社長さんたちがお盛んですが、、生活の足元、基礎である道徳の柱を大切にする風紀と綱紀に溢れた経営、運営の経済志向が日本国土、愛国へと昇華発展、生活向上の太一の柱が再建されますように。
もっと贅沢を言えば、伊雑宮のお田植え祭りでも、太一の柱をみなで建立する、支え合うお祭りになりますように。これまでは太一の柱をみなで倒したまま、終わりましたから。
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失敗とミスと、反射と反応 (BARTH)
2015-03-06 10:47:53
クレームや失敗が発生する仕組みを正知し、最善の良心を行動する努力の継続を増してゆくとゆうことは、交通事故や、自然災害、損害、被害、被災を無難に軽減し、生活を向上【霊性進化の本質、連帯責任と自己責任の合一、一体感】させてゆく方向と、ふべてを虚無【退化、破壊喪失、シンドローム、隠蔽、孤独、コストオーバー】の正反対の方向を明確にし、進化と退化の亀裂と分断の隙間を発生させるギャップ【執着、固着、固定化のギブス】を治癒してゆくことも精錬されてゆくことを意味しています。そんな意味で、個人的には、企業に勤務する人々が、大地を潤す森のような関係性であるようなイメージや、ビジョン、精神性がなければ、、自動時にピラミッド【エゴイズム】構造に流されて腐敗、崩壊してゆくのだろうと思ってます。森と海を護国鎮護する氏神を崇敬する人々の良心【心魂】が、日本人の愛国心の原点の要となり、生活を継続してきたようにです。
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