あけぼの

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孤独死: 人生、かくも儚きもの

2009-02-14 03:55:49 | アート・文化

大学の日本語講師をやっていたビル・ピータース氏がアパートで座ったまま亡くなった。一年前のちょうど今頃、寒い頃だったので思い出した。外で会う約束をしていた友人が余り遅いので来てみて発見したという。脳卒中とか。後で人々の噂から伝わってきたことは親の遺産が入って10年続いた講師を辞めてしまった。59歳の一人者の死は同情を買うより興味本意な噂が多かった。

家を探し購入していたのは事実だった。日本語講師を辞してすぐ着手したのは家探しだった。ダンボールが三個運ばれていただけ、家の最終決定から僅か二週間しかその家を楽しんでいない。一人っきりの身内の妹さんが主催し、彼の買った家で追悼会があり大学からはワイフを含めて僅か三名が参加しただけだった。身内と友人13名ほどがガラーンとした家で生前の彼の集めた写真をコンピューターで見ながら彼を偲んだそうだ。彼の所持品の中から意味のありそうな写真を編集した妹の連れ合いを含め、写された画像を説明出来る人はいなかった。昨年我が家でパーティをした折ビルを招待したのだが、そのときビルが撮った着物姿の教え子や我々の招待客、三味線奏者の袴姿が目立ったのだろう。珍しいので編集の対象になったようだ。写真を説明できたのはワイフが一番だったとは。わが家のパーティに招待したのが彼とのご縁だったが、大学で彼と親しく付き合った人はいなかったのか。

彼との係わりは三年前、「日本文化について話してくれ」とワイフがクラスに招待されて始まった。そのときは聞きもしないのに「絶対この地位は誰にも渡さんぞ」と宣言していたそうだ。そういう大事な職場を突然手放し、家を買い、その持ち家を二週間楽しんだだけでの突然死だった。遺産が彼を狂わしたのか、遺伝的疾患がもたらした結果なのか、あっけない幕切れだった。「あると思うな親と金、ないと思うな運と災難」。脳卒中は現代の複雑社会の生活に起因することが多いと思うが、ビルのように突然に寿命を終焉することもあるのだ。人生は儚いものである。自悠人


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