巨匠マーティン・スコセッシが遠藤周作の小説『沈黙』を映画化し、日本全国で上映中だ。主人公ロドリゴのモデルはジュゼッペ・キアラ神父だ。夫が入院・手術した病院に近い調布市の有形文化財、キアラ神父の墓碑と、彼が長く幽閉された文京区の「切支丹屋敷跡」へ、病院付き添いの合間に聖地巡礼をした。墓碑のある調布市サレジオ神学院ではガエタノ・コンプリ資料館長に話を聞いた。この神父さんは来日60年以上の宣教師、教育者、著作家で多文化共生の講演も行う人気者。朝日新聞天声人語のキアラ紹介のお蔭で見学者が増え昨今大忙しだ。「こんな大切な場所に今気づくなんて灯台下暗しですよ!」と冗談を言いつつ嬉しそうに解説した。異教を禁じた江戸幕府の拷問、むごい拷問に耐えきれず、「転んで」(踏絵に足を乗せて)棄教、幽閉されてしまう宣教師たちについて語った。棄教した先輩、フェレイラ神父を救出しようと来日したキアラも、信者の拷問を目の前に踏絵を迫られ耐えきれず棄教、その後日本名を与えられ、切支丹屋敷に43年監禁され、1685年、84歳で病死した。棄教したとは言われるが心の中では信仰を保った、と。コンプリ神父は先輩チマッティ神父の紹介もした。チマッティは学位を2つ持つ偉大な音楽家で、ここサレジオ神学院に化石の膨大な蒐集があり、950曲作曲、最大の作品はオペラ「細川ガラシア」だ。「調布にこんな凄いものがあるなんて長い間誰も知らなかったんですよ!」と強調した。キアラを始め多くの宣教師たちが棄教後長く幽閉された文京区茗荷谷の切支丹屋敷跡は実にひっそりと建っている。付き添いの合間に映画館に駆け込み、「沈黙」の後半を観たが、5人の信者が土中に逆さ吊りされ、「それを助けないのか!」と信者の命と引き換えにキアラが棄教を迫られるシーンには息が詰まった。江戸時代の鎖国禁教政策の犠牲になった多くのキリスト教徒や神父たちの拷問にも「沈黙」している主、キリストへの疑問、自己内奥の葛藤と責め苦、汚名に耐え、死より辛い人生を生きたキアラや当時の日本のキリスト教徒たちに思いを馳せ、信教の自由の無い恐怖社会が再来しないよう願った。どこかの国ではちょっと危なくなくなりかけているようで心配ですが。(彩の渦輪) 写真1.帽子が特徴、ジュゼッペ・キアラ神父の墓碑 2.茗荷谷にあるキリシタン屋敷跡の記念碑
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