あけぼの

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歴史の重み感じたドブロクニクの城壁歩き

2010-11-26 11:55:00 | ブログ

 085 城壁から見るアドリア海

アドリア海に沿い、ローマ時代から波乱万丈の歴史を経てきたクロアチアを訪れた。ヨーロッパの真珠とも称されるクロアチアは旧ユーゴースラビアから独立して20年、隣合う国同士が血で血を洗う民族抗争を行ってきたが、その復興振りは目を見張るものだった。近年世界中から観光客を惹きつけインフラ整備が目覚ましい。筆者の訪問は紅葉最盛期を一週間ほど過ぎていたが、数珠繋ぎの宝石―海岸沿いの街々―を旋風観光しつつ美しさに溜め息をつき続けた。イタリア半島と対峙するクロアチアはまとめて6つの世界遺産が見られる宝庫、海岸沿いにバスで宝石から宝石へ、城塞都市から城壁内旧市街へと世界遺産を追い求めて移動すれば、左側は切り立った裸岩の断崖とその下の松の緑に最盛期のオリーブの木々、空は抜けるような紺碧、眼下は世界一汚れのない清澄なアドリア海だ。 

 まずは宝石の女王、欧州の真珠、世界遺産のドブロヴニクへ。沿岸から見るアドリア海は紺青、山側は不毛の石の地肌のせいか断崖が連なり宇宙基地の街の趣だ。断崖の下部は雨の流出を止め、段々畑とし、イチジク、ザクロ、オリーブ、葡萄が植わっている。この葡萄が生み出すワインは名物で、どこに行っても安価で美味なワインがあり、昼も夜も気軽に乾杯した。街全体が世界遺産のドブロヴニクではオレンジ色のテラコッタの屋根が目に新鮮だ。ドブロヴニクの旧市街は1667年の大地震や1991年のユーゴスラヴィア軍の攻撃で大打撃を受けたが完璧に修復され、熾烈な内戦の跡は目に定かではなく、どこもここも15、6世紀の街並みを彷彿とさせる美しさだ。大地震にも倒壊しなかった城壁は観光のハイライト、遊歩道は旧市街をそっくり取り囲み、高さは最高25m。この遊歩道から紺碧のアドリア海を見はるかす。旧港や停泊中の船も見え、城塞海港都市として古くから開けていたと察するに難くない。スポンザ宮殿、オノフリオ噴水やプラツァ通り、フランシスコ修道院、大聖堂等、全てがパノラマ風景で眺望出来、息を呑みつつ思わず二周もしてしまった。(彩の渦輪)