私的CD評
オリジナル楽器によるルネサンス、バロックから古典派、ロマン派の作品のCDを紹介。国内外、新旧を問わず、独自の判断による。
 



Mechanische Musikinstrumente aus dem Musikinstrumenten-Museum der Universität Leipzig: Instrumentarium Lipsiense I
RAUMKLANG RK 9703

18世紀に作られ始めた自動演奏機械の最初は、キャビネット型のオルガンであった。このような自動演奏機械を、日本で「オルゴール」と呼ぶのは、オルガンのドイツ語「オルゲル(Orgel)」からきたものである。
 一般にオルゴールと呼ばれているものには、シリンダー型とディスク型がある。いずれも音を発するのは櫛形をした金属の板で、櫛の歯それぞれが異なった高さの音を発する。シリンダー型では、回転する筒状のものにピンを植え、このピンが櫛の歯を弾いて音を出す。一方ディスク型は、金属の円盤に小さな穴が開いていて、円盤を回転させると、この穴が星の形をした小さな円盤を回し、その突起が櫛の歯を弾いて音を発する。


CDケースの見開きには収録されている自動演奏機械の美しい写真が載っている。

 ライプツィヒ大学楽器博物館には、様々な形の自動演奏機械が所蔵されているそうで、このCDでは、その内の10台の演奏を紹介している。特にポリフォン社(Polyphon Musikwerke AG)やシンフォニオン(Symphonion Fabrik AG)などライプチヒで製作されたもの多い。そのほかシュタインヴェク社製の自動ピアノや小型の自動パイプオルガン、小箱にシリンダーと小さなベルを組み込んだものやクリスマスツリー型の置物にオルゴールを組み込んだものなどもある。
 録音は、博物館で行われたが、家具型のオルゴールでは、戸を開けた状態や閉めた状態で録ったり、自動ピアノでは、弾くために鍵盤の前に座った場合の頭の位置にマイクを据え、ライティング・ビュロー型のオルゴールでは、書き物台の前に座った人の頭の位置にマイクを置いて録っている。また、楽器によっては、ゼンマイを巻いたり、機構がゴトゴトと動く音なども録られている。部屋の残響も取り入れた、臨場感のある録音である。
 全部で19トラックあるが、そのうち4トラックには、ヨハネス・ボブロヴスキ(Johannes Bobrowski)という作家の音楽を讃える文章を朗読したものが収められている。ドイツ語が分からない人や興味のない人は、そのトラックに来たら飛ばすしかない。
 収録されている曲は、ヘンデルのラールゴや、ヴェーバーの魔弾の射手から狩人の合唱、メンデルスゾーンの結婚行進曲、ワルツやレントラーなどポピュラーな小品が多い。自動ピアノでは、ショパンの華麗なるワルツ作品34の第1と第2が演奏されている。第1はエリー・ナイ(Elly Ney)、第2はアルフレート・ライゼンアウアー(Alfred Reisenauer)の演奏によるものである。
 このCDは、ライプツィヒ大学の楽器博物館の企画制作になるもので、博物館所蔵の楽器による演奏を収録した”Instrumentarium Lipsiense(ライプツィヒの楽器)”シリーズとして、他にもピアノやギターなど合計4枚が発売されている。発売しているのは、ドイツ、ザクセン=アンハルト州のブルゲンラント地方、ザーレ河沿いにあるゴセックという町にある、ラウムクランク社である。その名前が示すとおり、空間の響きを、加工を加えることなくとらえるよう、ワンポイントマイクにより録音しているそうである。ケースも最近増えてきた紙製の美しいデザインのものである。

発売元:RAUMKLANG

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