<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

岩の上の狼になる。不届きな狼になる。

2024年07月02日 15時07分20秒 | Weblog

よぼよぼのお爺さんだから、よぼよぼしているのが、もっともふさわしいのだけれど。

ちょっとばかし、よぼよぼ爺だってことを、忘れる。

そうしよう、そうしよう。

忘れよう。

忘れたら、いきなり風が爽やかになった。

爽やかな風の中から、あの人が現れて、手を振った。あの人は、首に、真っ赤なスカーフを巻いている。

スカーフを風がうしろに靡かせる。長い髪が真似をする。

というのに、あの人の声は聞こえない。

口がわたしを呼んでいるというのに。

お爺さんはよぼよぼでなければならない、ってことも、ないのではないか。

生きて来た歳月に拘束されていねければならない、ってことも、ないのではないか。

そういう不届きな考えが、岩の上の狼になる。

岩の上にも青空。岩の上にも爽やかな夏風。

軽くジャンプをしただけで、狼は太平洋まで飛び去って行ってしまった。

平原を越え、川と谷を幾つも超えて。

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